平成28年度 地質調査技士 現場調査部門 No.60を解説、ベントナイト濃度と泥水の性質
平成28年度 地質調査技士資格検定試験 現場調査部門 No.60は、未固結層の掘削中にベントナイト濃度を上げたときの泥水の性質変化に関する問題です。この問題では、4つの記述のうち最も不適当なものを1つ選びます。
この問題のポイント
ベントナイトは、水を含むとふくらんで粘り気を出す粘土です。
濃くすれば泥水は粘くなり、重くなり、孔壁に貼りつく泥壁も厚くなります。
引っかけの核心は1点、脱水量だけが逆に減るという点です。
※ 問題文そのものは、一般社団法人 全国地質調査業協会連合会(全地連)が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢1(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 濃度を上げたときの変化 | 正誤 |
|---|---|---|
| 1 | 脱水量は増大する | ×(誤り) 正答。脱水量は減る |
| 2 | 泥壁は厚くなる | ○(正しい) 粘土分が増えるので孔壁に貼りつく層が厚くなる |
| 3 | 粘性は増大する | ○(正しい) 濃くすれば粘くなる |
| 4 | 比重は大きくなる | ○(正しい) 粘土を足すぶん重くなる |
選択肢2・3・4は、濃くしたぶん値が大きくなる方向で揃っています。選択肢1だけが、逆に動く量です。
選択肢1のポイント(ここが誤り)
脱水量は、泥水から水が地層へ抜けていく量です。
水が抜けるのを止めているのは、孔壁にできる泥壁です。
ベントナイトを濃くすると粘土分が増え、泥壁が厚く緻密になります。
水の通り道がふさがれるので、抜けていく水は減ります。
選択肢2の「泥壁は厚くなる」と、選択肢1の「脱水量は増大する」は同時には成り立ちません。
泥壁が厚くなれば水は抜けにくくなるからです。
この設問は、他の選択肢と矛盾する記述を1つ混ぜています。
選択肢1が、性質の変化として最も不適当です。
覚え方
- ベントナイトを濃くすると、泥壁・粘性・比重は増える。脱水量だけが減る
- 脱水量が減る理由=泥壁が厚くなって水の通り道をふさぐ
- 「泥壁が厚くなる」と「水がよけい抜ける」は同時に成り立たない
- 良い泥水の泥壁は薄くて強靭(厚ければ良いわけではない)=平成28年度 No.25 の引っかけ
理解度チェック
問題:ベントナイト濃度を4%から8%に増やすと、泥水の脱水量は増大する。
〇か×か。
答えを見る
答え:×
減ります。粘土分が増えて泥壁が厚く緻密になり、水が地層へ抜けにくくなるためです。
問題:ベントナイト濃度を上げると、泥水の粘性と比重はどちらも大きくなる。
〇か×か。
答えを見る
答え:〇
粘土を多く入れるので、粘くなり重くなります。泥壁も厚くなります。増えない(減る)のは脱水量だけです。
出典・参考資料
- ボーリング泥水の性質(ベントナイト濃度を上げると泥壁厚・粘性・比重は増加し、脱水量は減少)。全地連 ボーリングポケットブック・地盤工学会「地盤調査の方法と解説」ほか。
- 一般社団法人 全国地質調査業協会連合会(全地連)「平成28年度(第51回)地質調査技士資格検定試験 現場調査部門 試験問題」。
※ 出題番号・正答は全地連が公開する資料で確認しています。
※ この記事の確認日:2026年7月