平成28年度 地質調査技士 現場調査部門 No.31を解説、孔内事故対策
平成28年度 地質調査技士資格検定試験 現場調査部門 No.31は、ボーリングの孔内事故対策に関する問題です。この問題では、4つの記述のうち最も不適切なものを1つ選びます。
この問題のポイント
ボーリングでは、孔壁の崩壊・押出し、ロッド切断、工具の落下、抑留などの孔内事故が起こります。問われるのは、その対策の正しさです。
引っかけの核心は、ケーシングの使い方です。膨張性の粘土を含む岩石は孔壁が押し出されるため、押し出されるからこそケーシングで保護するのに、選択肢2は「挿入しない」と逆にしています。
※ 問題文そのものは、一般社団法人 全国地質調査業協会連合会(全地連)が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢2(最も不適切な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 記述の要旨 | 正誤 |
|---|---|---|
| 1 | ロッド切断事故の原因は、使い過ぎによる強度低下が最も多い | ○ |
| 2 | 膨張性粘土鉱物を含む岩石の掘削では孔壁の押出しがあるため、一般にケーシングは挿入しない | ×(誤り) 正答。押出すからこそ挿入して保護 |
| 3 | 孔口から工具を落下させたら、小さな器具でも回収が必要 | ○ |
| 4 | 抑留事故は発生箇所や原因を詳細に把握することが最も重要 | ○ |
選択肢1・3・4は、孔内事故の対策を正しく述べています。選択肢2だけが、ケーシングの使い方を逆にしています。
選択肢2のポイント(ここが誤り)
膨張性の粘土鉱物を含む岩石は、水を吸って膨らみ、孔壁を内側へ押し出します。孔壁が押し出されて崩れるのを防ぐため、ケーシングを挿入して孔壁を保護します。
選択肢2は「押出しがあるため、一般にケーシングは挿入しない」としていますが、押し出されるからこそケーシングで保護します。
孔壁が押し出されるからこそ、ケーシングを挿入して保護するのが正しい対策です。
「押出しがあるからケーシングを挿入しない」という向きが誤りです。
ロッド切断は使い過ぎによる強度低下が主因(選択肢1)、落下工具は小さくても回収(選択肢3)、抑留は原因把握が重要(選択肢4)で、いずれも正しい記述です。
選択肢2は、孔内事故対策の記述として最も不適切です。膨張性粘土で孔壁が押し出される岩石ほど、ケーシングで孔壁を保護すると押さえます。
覚え方
- 孔壁が押し出される岩石(膨張性粘土)ほど、ケーシングを挿入して保護する
- ロッド切断は使い過ぎによる強度低下が主因、落下工具は小さくても回収する
- 抑留事故は発生箇所・原因を詳しく把握して対処方法を選ぶ
理解度チェック
問題:膨張性粘土鉱物を含む岩石の掘削では、孔壁の押出しがあるため、一般にケーシングは挿入しない。
〇か×か。
答えを見る
答え:×
孔壁が押し出されるからこそ、ケーシングを挿入して孔壁を保護します。挿入しないのは逆です。
問題:孔口から小さな工具を落下させても、掘進に支障がなければ回収しなくてよい。
〇か×か。
答えを見る
答え:×
小さな器具でも掘進に支障を来すため、回収が必要です(選択肢3は正しい記述)。
出典・参考資料
- 一般社団法人 全国地質調査業協会連合会(全地連)「平成28年度 地質調査技士資格検定試験 現場調査部門 試験問題」/全地連「技術者向け現場管理ハンドブック」
- 全地連 技術フォーラム(砂地盤における孔内事故とその対応)ほか(孔内事故=孔壁崩壊・押出し・抑留・逸水・ロッド落下等。対策はケーシングによる孔壁保護・掘削水管理・異常の早期察知)
※ 手順の詳細は、最新の一次資料で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年7月