ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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アスファルト混合物の敷均しとは?温度110℃・フィニッシャと施工管理の確認ポイント

けんせつる

けんせつる

敷均しって、ただ広げるだけじゃないの?

温度が下がると、何がまずいの?

この記事の要点

敷均しとは、プラントから運んできた加熱アスファルト混合物を、アスファルトフィニッシャで所定の厚さ・幅・勾配に広げる工程のことです。

広げるだけの地味な工程に見えますが、ここで温度を落とすと、そのあとの転圧をいくら丁寧にやっても密度が出ません。押さえるのは3つです。

  • 温度:敷均し時の混合物の温度は、一般に110℃を下回らないようにする。
  • 機械:敷均しはアスファルトフィニッシャで行う。それ以外の機械を使うなら材料分離に留意する。
  • 降雨:作業は中止する。ただし、すでに敷き均した分は待たずに速やかに締め固める。

まず、敷均しが舗設のどこにあって、何をする工程なのかを押さえます。

敷均しとは何をする工程か

アスファルトフィニッシャは、ホッパで運搬車から混合物を受け取り、車体の下を通してスクリードという板で後方に広げる機械です。スクリードの高さと幅を変えることで、所定の厚さ・幅・勾配に仕上げます。

敷均しは、運搬と締固めのあいだにあります。この位置がそのまま温度の話につながります。

敷均しの位置と温度(模式図) 運搬 シートで保温 敷均し 110℃以上 初転圧 110〜140℃ 二次転圧 終了70〜90℃ 交通開放 50℃以下 アスファルトフィニッシャ ホッパで受けてスクリードで広げる 工程が進むほど温度は下がる。戻すことはできない
敷均しの位置と各工程の温度の目安(模式図)。温度は一方向に下がるだけで、途中で上げ直すことはできません。

舗装全体の層の重なりはアスファルト舗装の構成、敷均しのあとの締固めは初転圧・二次転圧・仕上げ転圧にまとめています。

敷均し機械の使い分けと材料分離

加熱アスファルト混合物の敷均しには、アスファルトフィニッシャを使います。では、ブルドーザやモータグレーダで代用するとどうなるのでしょうか。

フィニッシャは、混合物をいったんホッパで受けてから、スクリューで幅方向に配ってスクリードで押さえます。この流れの中で粒の大小が混ざったまま出ていきます。これに対してブルドーザやモータグレーダは、ブレードで押し広げるだけなので、大きい粒が先に転がって片側に寄ります。これが材料分離です。粗骨材が偏った場所は空隙が多くなり、あとから水が入ってはがれの起点になります。

だから、フィニッシャ以外で敷き均す場合は材料分離に留意する、という決まりになっています。

材料 敷均し機械 理由
表層・基層の加熱アスファルト混合物 アスファルトフィニッシャ 加熱した混合物で、粒度を保ったまま広げる必要がある
加熱アスファルト安定処理路盤 アスファルトフィニッシャ 上層路盤だが、中身は表層・基層と同じ加熱アスファルト混合物
粒度調整路盤・セメント安定処理・石灰安定処理 モータグレーダ 常温の砕石系なので、ブレードで敷きならせる
コンクリート舗装 スプレッダ 締固めと表面仕上げはコンクリートフィニッシャが受け持つ

上層路盤は材料で機械が変わります。「上層路盤だからモータグレーダ」と決めつけると、加熱アスファルト安定処理路盤で誤ります。路盤の材料そのものは路盤の工法で確認できます。

なお、乳剤散布装置を搭載したアスファルトフィニッシャもあります。タックコートの散布と敷均しを1台で続けて行えるので、散布したコート面を車輪で荒らさず、周辺も汚しません。コートそのものはプライムコートとタックコートにまとめています。

なぜ110℃を下回ってはいけないのか

敷均し時の混合物の温度は、アスファルトの粘度にもよりますが、一般に110℃を下回らないようにします。

理由はアスファルトの性質にあります。アスファルトは温度が下がるほど粘りが強くなり、常温では固体に近くなります。混合物が冷えると次の2つが同時に起きます。

  • 広げられなくなる:スクリードで押しても混合物が動かず、表面が荒れて平坦に仕上がりません。
  • 締め固まらなくなる:粒どうしが動いて詰まることで密度が出ますが、アスファルトが硬いと粒が動きません。あとからいくら転圧回数を増やしても、空隙は残ったままです。

温度は工程が進むほど下がり、途中で上げ直すことはできません。だから敷均しの時点で110℃を割っていたら、その先の工程はすべて後手に回ります。

工程 温度の目安 下回るとどうなるか
敷均し 110℃を下回らない 混合物が硬くなり、平坦に広げられない
初転圧 110〜140℃ 粒が動かず密度不足になる
二次転圧(終了) 70〜90℃ 所定の締固め度に届かない
交通開放 舗装表面温度50℃以下 (高いまま開放すると初期わだち掘れ)

混合物の種類で温度の扱いが変わる

  • 改質アスファルト混合物:通常の加熱アスファルト混合物より高い温度で舗設することが多く、温度管理に留意して速やかに敷き均します。
  • ポーラスアスファルト混合物排水性舗装):空隙が多く、そこを空気が通るので温度低下が早いです。敷均し終了後は速やかに初転圧します。
  • 寒冷期:運搬中に温度が下がりやすく、所定の締固め度を得にくいため、運搬中の保温を改善します。

いずれも「温度が下がると締め固まらない」という一点から出ています。改質アスファルトもあわせて確認しておくと、温度の話がつながります。

施工管理での確認ポイント

敷均しは、上に次の層がのると二度と確認できません。隠れる前に測って記録します。

  • 到着温度を測る:運搬車が到着した時点で混合物の温度を測る。プラントから遠い現場ほど110℃を割る危険が上がるので、遠距離ではシートによる保温の状態も確認する。
  • 敷均し温度を測る:フィニッシャの後ろで温度を測り、110℃を下回っていないかを確認する。下回っていたら敷き均さない。
  • 厚さ・幅・勾配を確認する:設計の厚さで敷き均されているか、スクリードの幅と勾配の設定が図面どおりかを確認する。
  • 材料分離を目視する:フィニッシャ以外で敷き均した場合は特に、粗骨材が片側に寄っていないか、表面に粒の粗い筋が出ていないかを見る。
  • 雨が降ったら:敷均し作業を中止する。すでに敷き均した混合物は、雨がやむのを待たずに速やかに締め固める。
  • 記録を残す:到着温度・敷均し温度・時刻・厚さを記録する。上の層をのせた後では確認も是正もできない。

混同しやすい用語

アスファルトフィニッシャ と スプレッダ

アスファルトフィニッシャは、加熱アスファルト混合物を敷き均す機械です。コンクリート舗装で敷均しを受け持つのはスプレッダで、締固めと表面仕上げを受け持つのがコンクリートフィニッシャです。同じ「フィニッシャ」でも、アスファルトでは敷均し、コンクリートでは締固め・仕上げと役割が逆になります。

アスファルトフィニッシャ と モータグレーダ

加熱した材料(表層・基層・加熱アスファルト安定処理路盤)はアスファルトフィニッシャ、常温の砕石系(粒度調整路盤・セメント安定処理・石灰安定処理)はモータグレーダです。「上層路盤かどうか」ではなく「加熱かどうか」で分かれます。

過去問でどう問われたか

敷均しは、2級では温度の数値、1級では機械と降雨時の処置として問われます。引っかけは大きく3パターンです。

  • 温度の入れ替え……敷均し110℃・初転圧110〜140℃・二次転圧終了70〜90℃・交通開放50℃以下を、工程どうしで入れ替える
  • 機械の取り違え……加熱アスファルト安定処理路盤を「モータグレーダで敷き均す」、コンクリートの敷均しを「フィニッシャーで行う」とする
  • 降雨時の処置……敷き均した混合物を「雨がやむのを待ってから締め固める」と、待つ側に変える
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和8年度 2級(No.25)「敷均し時の混合物の温度は一般に110℃を下回らないようにする」=正しい肢
令和6年度 2級前期(No.25)敷均し110℃・タックコート0.3〜0.6L/m²・初転圧10〜12tロードローラはいずれも適当
令和5年度 2級前期(No.20)初転圧温度を「90〜100℃」とした → 110〜140℃ ←①温度
令和7年度 1級(No.34)敷き均した混合物を「雨がやむのを待ってから締め固める」→ 待たずに速やかに ←③降雨
令和5年度 1級(No.29)降雨時は作業を中止し、敷き均した混合物は速やかに締め固める=正しい肢
令和6年度 1級(No.33)フィニッシャ以外で敷き均す場合は材料分離に留意=正しい肢 ←②機械
令和5年度 2級前期(No.19)加熱アスファルト安定処理路盤を「モータグレーダで敷き均す」→ フィニッシャ ←②機械
令和4年度 2級後期(No.22)コンクリートの敷均しを「フィニッシャーで行う」→ 敷均しはスプレッダ ←②機械
令和7年度 1級(No.36)ポーラスアスファルト混合物は敷均し後の温度低下が早く、速やかに初転圧=正しい肢

つまり敷均しは110℃、機械はアスファルトフィニッシャ、雨なら中止して敷いた分は待たずに締め固める。この3つで敷均しの肢はほぼ判定できます。

管理人からのコメント

敷均しの温度は、現場に着いた時点でほぼ決まっています。プラントから遠い現場ほど、到着時に110℃を割る危険が上がります。だからシートで保温し、荷を降ろす前に温度を測ります。試験に出る110℃という数字は、この「測って確かめる」対象そのものです。

降雨時の処置が問われるのも同じ理由です。敷き均した混合物は、その場で締め固めなければ二度と締まりません。雨がやむのを待つ、という一見ていねいな判断が誤りになるのは、温度が待ってくれないからです。

理解度チェック

問題:敷均し時の温度が110℃を下回ると、なぜあとの転圧で密度が出なくなるのか。

アスファルトは温度が下がるほど粘りが強くなり、混合物が硬くなるためです。締固めは粒どうしが動いて詰まることで密度が出ますが、アスファルトが硬いと粒が動きません。転圧回数を増やしても空隙は残ったままになります。温度は下がる一方で、途中で上げ直せません。

問題:加熱アスファルト安定処理路盤は上層路盤なのに、なぜモータグレーダではなくアスファルトフィニッシャで敷き均すのか。

上層路盤という位置は同じでも、材料が表層・基層と同じ加熱アスファルト混合物だからです。モータグレーダで敷き均すのは粒度調整路盤やセメント・石灰安定処理路盤といった常温の砕石系です。分かれ目は「上層路盤かどうか」ではなく「加熱かどうか」です。(令和5年度2級前期 No.19)

問題:敷均し中に雨が降ったとき、すでに敷き均した混合物を雨がやんでから締め固めてはいけないのはなぜか。

待っているあいだに温度が下がり、締め固められなくなるからです。さらに雨水を含んで締固め不良を招きます。これから敷き均す分は作業を中止しますが、すでに敷き均した分は温度が下がる前に速やかに締め固めます。(令和7年度1級 No.34)

まとめ

  • 敷均しとは、加熱アスファルト混合物をアスファルトフィニッシャで所定の厚さ・幅・勾配に広げる工程。
  • 敷均し時の温度は一般に110℃を下回らない。冷えると混合物が動かず、あとから転圧しても密度が出ない。
  • 温度は敷均し110℃以上 → 初転圧110〜140℃ → 二次転圧終了70〜90℃ → 交通開放50℃以下と下がる一方。
  • 敷均し機械は加熱かどうかで分かれる。加熱アスファルト安定処理路盤もフィニッシャ、常温の砕石系はモータグレーダ、コンクリート舗装はスプレッダ。
  • フィニッシャ以外で敷き均すと粗骨材が片側に寄る(材料分離)ため、留意が要る。
  • 降雨時は作業を中止し、敷き均した分は待たずに速やかに締め固める。
  • 到着温度・敷均し温度・厚さは、上の層で隠れる前に測って記録する。

混合物そのものの種類はアスファルト混合物の種類、継目の処理はアスファルト舗装の継目で確認できます。

参考資料

  • 公益社団法人 日本道路協会「舗装施工便覧」
  • 公益社団法人 日本道路協会「ポーラスアスファルト舗装技術指針」
  • 国土交通省「土木工事共通仕様書」

※ 温度・散布量は標準的な目安です。混合物の種類や気象条件で変わり、基準の改定もあるため、最新の便覧で確認してください。

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