ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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アスファルト舗装の破損とは?ひび割れ3種とわだち掘れを向き・形で見分ける

けんせつる

けんせつる

ひび割れの名前が多すぎて、どれがどれだか…

わだち掘れって、縦の凹凸?横の凹凸?

この記事の要点

アスファルト舗装の破損とは、交通荷重や気象の影響で舗装に生じるひび割れ・わだち掘れ・凹凸などの傷みのことです。見分けるものは向きの2つだけです。

  • 亀甲状ひび割れ……網目状(亀の甲羅)。車輪の通るわだち部から発生する。車線中央部ではない。
  • 線状ひび割れ……直線状に縦・横へ長く。路盤支持力が不均一な箇所や施工の継目。
  • ヘアクラック……主に表層に、不定形で短く。初転圧時の過転圧など施工が原因。
  • わだち掘れ……道路の横断方向の凹凸。走行軌跡部・低速走行部。
  • 縦断方向の凹凸……道路の延長方向に比較的長い波長。どこにでも生じる。

わだち掘れを「延長方向の長い波長」と書いたら誤りです。向きが逆になっています。

まず、破損を見分ける2つの軸を押さえます。

破損を見分ける2つの軸

破損の名前は多く見えますが、問われているのは2つの軸だけです。

  • ひび割れか、凹凸か……割れているのか、へこんでいるのか。
  • 向きは横断方向か、延長(縦断)方向か……道路を横切る向きか、道路に沿う向きか。

この2つで並べると、名前と説明の対応がそのまま決まります。過去問の誤り肢は、必ずこのどちらかを入れ替えてつくられています。

アスファルト舗装の破損の分類(模式図) ひび割れ(割れる) 亀甲状(網目) わだち部から 線状(直線) ヘアクラック 短い・表層 凹凸(へこむ) わだち掘れ=横断方向 道路を横切る断面で見る 縦断方向の凹凸=延長方向 長い波長・どこにでも
破損の分類(模式図)。形状・比率は実物どおりではありません。

ひび割れ3種の違い

名称 出る場所 原因
亀甲状ひび割れ 網目状(亀の甲羅) 車輪が通るわだち部から。車線中央部ではない 交通荷重の繰り返しによる疲労、路床・路盤の支持力低下、混合物の劣化・老化
線状ひび割れ 直線状に縦・横へ長く 路盤支持力が不均一な箇所、施工の継目に沿って 支持力のむら、継目の弱さ
ヘアクラック 不定形で比較的短い 主に表層 初転圧時の過転圧など施工が原因

3つの関係は進行の順で見ると分かります。まずわだち部に走行方向の線状ひび割れが出ます。そこから雨水が路床・路盤にしみ込むと支持力がさらに落ち、線状ひび割れが網目状につながって亀甲状ひび割れになります。線状ひび割れが進行してつながったものが亀甲状です。ヘアクラックだけは別系統で、施工が原因の表層の傷みです。

わだち掘れと縦断方向の凹凸(向きが逆)

名称 向き 出る場所 原因
わだち掘れ 道路の横断方向の凹凸 走行軌跡部や低速で走るところ ①路床・路盤の沈下(沈下わだち掘れ)②表層混合物の塑性流動(流動わだち掘れ)
縦断方向の凹凸 道路の延長方向に比較的長い波長 どこにでも生じる 表層と基層の接着不良など。コルゲーション・うねりと呼ばれる

流動わだち掘れは、夏季の高温や設計を超える交通量、長時間の駐車などで、表層の混合物が塑性的に流動して起こります。車輪が通る位置が沈み込み、その両側が押し出されて盛り上がります。だから測るときも路面を横断する断面(横断プロフィル)で測ります。

ポットホールは、舗装が局部的に壊れて穴があく破損です。亀甲状ひび割れの部分がはがれ飛ぶなど、ほかの破損が進行した結果として発生することが多い破損です。

なぜ亀甲状ひび割れはわだち部から出るのか

ここが令和7年度の誤り肢になったところです。

亀甲状ひび割れは、路床・路盤の支持力が落ちて起こります。下の層が荷重を支えきれなくなると、その上のアスファルト層が繰り返しの輪荷重でたわみ、耐えきれずに割れます。

このたわみが最も大きくなるのは、車輪が繰り返し通過するわだち部です。荷重が集中する場所だからです。車線の中央は車輪が通らないので、たわみも小さく、ここから割れ始めることはありません。発生の起点は「荷重が集中する場所」であって、「車線の真ん中」ではありません。

そして一度ひび割れると、そこから雨水が路床・路盤にしみ込みます。水が入れば支持力はさらに落ち、たわみが大きくなり、ひび割れが広がる。この繰り返しで網目状に進行します。だから亀甲状ひび割れは、舗装の傷みとしては深いところまで来ている合図です。

施工管理での確認ポイント

  • 破損の向きを記録する:横断方向か延長方向か。ここで原因の見当が変わる。
  • わだち掘れは横断プロフィルで測る:路面を横断する断面で掘れ量を出す。両側の盛り上がりも見る。
  • 亀甲状ひび割れを見たら下を疑う:表層の打換えだけでは戻らない。路床・路盤の支持力を調べる。
  • 線状ひび割れは継目と支持力のむらを見る:施工継目に沿って出ていないか。路盤の締固めにむらがなかったか。
  • ヘアクラックは施工を振り返る:初転圧の過転圧が疑われる。転圧の温度と回数の記録を確認する。
  • ポットホールは元の破損を探す:穴だけ埋めても、元の亀甲状ひび割れが残っていれば再発する。
  • 流動わだち掘れは交通条件を確認する:夏季の高温、設計を超える交通量、長時間の駐車がなかったか。

混同しやすい用語

わだち掘れ と 縦断方向の凹凸

向きが逆です。わだち掘れは道路の横断方向の凹凸で、走行軌跡部に生じます。縦断方向の凹凸は道路の延長方向に比較的長い波長で生じ、どこにでも出ます(コルゲーション・うねり)。「わだち掘れは道路の延長方向の凹凸で、比較的長い波長で発生する」は、向きをすり替えた誤りです。

線状ひび割れ と 亀甲状ひび割れ

形が違います線状ひび割れは縦・横に直線状に長く生じます。亀甲状ひび割れ亀の甲羅のような網目状です。線状ひび割れが進行してつながると亀甲状になります。「線状ひび割れは、縦・横に生じる亀の甲羅のようなひび割れ」は形の説明が入れ替わった誤りです。

ヘアクラック と 線状ひび割れ

長さと原因が違います。ヘアクラックは主に表層に生じる不定形で比較的短いひび割れで、初転圧時の過転圧など施工が原因です。線状ひび割れ長く生じ、路盤の支持力が不均一な場合や舗装の継目に生じます。短いのがヘアクラック、長いのが線状です。

過去問でどう問われたか

アスファルト舗装の破損は2級でほぼ毎年出ます。引っかけは2型しかありません。

  • 向きの反転……わだち掘れを「延長方向の長い波長」とする。
  • 形・場所の入れ替え……線状ひび割れを「亀の甲羅のような」、亀甲状ひび割れを「車線中央部から」とする。
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和7年度 2級(No.26)亀甲状ひび割れを「主に車線中央部から発生する」→ 誤り。車輪が通るわだち部から ←②(正答2)
令和6年度 2級前期(No.26)線状ひび割れを「縦・横に生じる亀の甲羅のようなひび割れ」→ 誤り。直線状 ←②(正答4)
令和5年度 2級前期(No.21)流動わだち掘れを「道路の延長方向の凹凸で、比較的長い波長で発生する」→ 誤り。横断方向 ←①(正答4)
令和4年度 2級前期(No.21)「わだち掘れは、道路横断方向の凹凸で車両の通過位置が同じところに生じる」が正しい肢。他の3つは定義が入れ替わっている(正答3)

4年分を並べると、問われているのは毎回「向き」か「形」のどちらかだけだと分かります。名前と原因を丸暗記しなくても、この2軸の表が頭に入っていれば切れます。

管理人からのコメント

破損の名前は多く見えますが、過去4年分の誤り肢は全部「向き」か「形」の入れ替えでした。原因や工法の細かい話は誤り肢になっていません。まず向きと形の表を作ってしまうのが早道です。

亀甲状ひび割れの発生位置は、令和7年度で問われました。「車線中央部から」と書かれると、なんとなく通してしまいそうです。でも割れるのは荷重が集中する場所。車輪が通らない真ん中から割れる理由がありません。破損は荷重のかかるところから出る。この一行で判断できます。

もうひとつ、亀甲状ひび割れを見つけたら表層だけの問題ではありません。下の路床・路盤まで傷んでいる合図です。補修の方針も変わるので、現場では向きと形を記録しておくと後で効きます。

理解度チェック

問題:亀甲状ひび割れが車線中央部ではなくわだち部から発生するのはなぜか。

路床・路盤の支持力が落ちると、その上のアスファルト層が輪荷重でたわんで割れます。このたわみが最も大きくなるのは、車輪が繰り返し通過するわだち部だからです。車線の中央は車輪が通らないので、そこから割れ始めることはありません。(令和7年度2級 No.26)

問題:わだち掘れは道路のどちら向きの凹凸か。縦断方向の凹凸との違いも。

横断方向の凹凸です。車輪が通る位置が沈み、その両側が押し出されて盛り上がるため、路面を横断する断面(横断プロフィル)で測ります。一方縦断方向の凹凸は、道路の延長方向に比較的長い波長で生じ、どこにでも出ます(コルゲーション・うねり)。「わだち掘れは延長方向の長い波長」は誤りです。(令和5年度2級前期 No.21)

問題:線状ひび割れと亀甲状ひび割れは、形と進行の順でどう違うか。

線状ひび割れは縦・横に直線状に長く生じ、路盤支持力が不均一な箇所や施工の継目に出ます。これが進行してつながると、亀の甲羅のような網目状亀甲状ひび割れになります。「線状ひび割れは亀の甲羅のようなひび割れ」は形が逆で誤りです。(令和6年度2級前期 No.26)

問題:ヘアクラックだけ、ほかのひび割れと原因の系統が違うのはなぜか。

ヘアクラックは施工が原因だからです。初転圧時の過転圧などで、主に表層に不定形で比較的短いひび割れとして出ます。亀甲状・線状が路床・路盤の支持力や交通荷重の繰り返しによるのに対し、ヘアクラックは造ったときにできています。

まとめ

  • 破損はひび割れか凹凸か横断方向か延長方向かの2軸で見分ける。過去問の誤り肢は必ずどちらかを入れ替えている。
  • 亀甲状ひび割れ=網目状。わだち部から発生(車線中央部ではない)。路床・路盤の支持力低下・疲労・混合物の劣化。
  • 線状ひび割れ=直線状に縦・横へ長く。路盤支持力が不均一な箇所や施工の継目。進行すると亀甲状になる。
  • ヘアクラック=主に表層、不定形で短い。初転圧時の過転圧など施工が原因。
  • わだち掘れ=道路の横断方向の凹凸。沈下によるものと塑性流動によるものがある。横断プロフィルで測る。
  • 縦断方向の凹凸=道路の延長方向に長い波長。どこにでも生じる。
  • ポットホール=局部的な穴。ほかの破損が進行した結果として出ることが多い。

締固めの手順は初転圧・二次転圧・仕上げ転圧、混合物の選び方はアスファルト混合物の種類で確認できます。

参考資料

  • 日本道路協会「舗装点検必携」「舗装施工便覧」
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
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土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

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