けんせつる
ダウエルバーとタイバー、どっちがどっち?
路盤紙って、何のために敷くの?
この記事の要点
コンクリート舗装の目地とは、版の膨張・収縮やひび割れに対応するために設けるつなぎ目のことです。向きで名前と役割が変わります。
コンクリート舗装は剛性舗装。版の「曲げ抵抗」で荷重を支えます。「引張抵抗で支える」は誤りです。
まず、コンクリート舗装がどうやって荷重を支えているかを押さえます。ここが目地の必要性につながります。
コンクリート舗装は剛性舗装と呼ばれます。剛性の高いコンクリート版が板のようにたわみに抵抗し、輪荷重を広い面積に分散して路盤・路床へ伝えます。アスファルト舗装(たわみ性舗装)が荷重の直下でたわんで支えるのとは、仕組みが違います。
ここで大事なのは何で支えているかです。荷重を支える主機構は版の曲げ抵抗(曲げ剛性)であって、コンクリートの引張抵抗ではありません。荷重で版には曲げが生じ、版の下面には曲げ引張応力が出ます。コンクリートは引張に弱いので、この応力はひび割れを進める側です。支えている力ではありません。
そしてコンクリート版は、気温の変化や硬化収縮でそれ自体が伸び縮みします。この動きを無理に止めると、版の内部に大きな引張力が生じてひび割れます。だからあらかじめ動く場所を決めておく。これが目地です。
コンクリート版は、目地や鉄筋の入れ方でいくつかの種類に分かれます。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 普通コンクリート版 | あらかじめ目地を設け、ひび割れを目地に誘導する。最も一般的 |
| 連続鉄筋コンクリート版 | 横目地を省き、出てくる横ひび割れを縦方向の鉄筋で細かく分散させる |
| 転圧コンクリート版 | かたいコンクリートをローラで締め固める |
施工の工法は、型枠を用いるセットフォーム工法、型枠を用いないスリップフォーム工法、そして転圧工法があります。また、版を均一に支えるために路盤の最上部にアスファルト中間層を設けることがあります。
目地は向きで名前が変わり、役割も変わります。ここが試験でいちばん入れ替えられるところです。
| 横目地 | 縦目地 | |
|---|---|---|
| 向き | 車線に直交 | 車線に平行 |
| 役割 | 版の温度変化(膨張・収縮)を受け持つ | 隣り合う版を連結し、車線方向のひび割れや段差を抑える |
| 入れるバー | ダウエルバー(丸鋼・片側にすべる処理) | タイバー(異形棒鋼) |
| バーの働き | 荷重を伝えて上下ずれを防ぎながら、伸縮は許す | 版どうしを締結して、目地の開きや段差(くい違い)を防ぐ |
| 目地の内訳 | 膨張目地と、収縮に対応するダミー目地 | ダミー目地(割れる位置を誘導し、段差を防ぐ) |
ダミー目地とは、版にあらかじめ弱点をつくって、割れる位置をそこへ誘導する目地です。どうせひび割れるなら、決めた線で割れてもらう。そのために目地溝を切ります。切ったあとはタイバーやダウエルバーが段差を抑えます。
ダウエルバーが丸鋼で片側にすべる処理をしてあるのは、伸縮を止めないためです。異形棒鋼だとコンクリートに食いついて動けません。逆にタイバーが異形棒鋼なのは、版どうしをしっかり締結したいからです。棒の種類の違いは、そのまま役割の違いです。
版と路盤の間には路盤紙を敷きます。ここが引っかけになります。
路盤紙の目的は、版が膨張・収縮しないようにすることではありません。逆で、版と路盤の間の摩擦を小さくして、版が自由に伸縮できるようにするためです。版が動きたがっているのに路盤が押さえつけると、内部に引張力が生じてひび割れます。だから摩擦を減らして、動きを邪魔しないようにします。
あわせて、打設したコンクリートのセメントペーストが路盤に流れ込むのを防ぐ役割もあります。
同じ考え方で、路盤上に厚さ2cm程度の砂利を敷設して、版の伸縮を路盤に拘束させないこともあります。目地も路盤紙も砂利も、全部「版を自由に動かすため」の仕掛けです。これで一本につながります。
混同しやすい用語
ダウエルバー と タイバー
使う目地も棒の種類も役割も違います。ダウエルバーは横目地に入れる丸鋼で、荷重を伝えつつ版の伸縮を許します(片側にすべる処理)。タイバーは縦目地に入れる異形棒鋼で、版どうしを締結して目地の開きや段差を防ぎます。伸縮を許すのがダウエルバー、締めるのがタイバーです。
横目地 と 縦目地(向き)
「縦」「横」が道路のどちら向きかで迷うところです。横目地は車線に直交(道路を横切る)、縦目地は車線に平行(道路に沿う)です。温度変化による膨張・収縮を受け持つのは横目地で、縦目地ではありません。向きと役割の両方を入れ替えた肢が出ます。
曲げ抵抗 と 引張抵抗
コンクリート舗装が荷重を支えるのは版の曲げ抵抗(曲げ剛性)です。版の下面に生じる曲げ引張応力は曲げの結果であって、荷重を支えている力ではありません。コンクリートは引張に弱く、この応力は繰り返し作用でひび割れを進めます。「主として引張抵抗で支える」は誤りです。
普通コンクリート版 と 連続鉄筋コンクリート版
目地の扱いが逆です。普通コンクリート版はあらかじめ目地を設けて、ひび割れを目地に誘導します。連続鉄筋コンクリート版は横目地を省いて、出てくる横ひび割れを縦方向の鉄筋で細かく分散させます。目地で受けるか、鉄筋で分散させるかの違いです。
コンクリート舗装は2級でほぼ毎年出ます。引っかけは4型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和5年度 2級後期(No.22) | 縦目地を「版の温度変化に対応するよう、車線に直交する方向に設ける」→ 誤り。向きも役割も逆 ←①(正答3) |
| 令和7年度 2級(No.27) | 路盤紙を「コンクリート版が膨張・収縮しないように」敷くとする → 誤り。伸縮を妨げないため ←③(正答4) |
| 令和5年度 2級前期(No.22) | 「主としてコンクリートの引張抵抗で交通荷重を支える」→ 誤り。版の曲げ抵抗 ←④(正答2) |
| 令和6年度 2級後期(No.27) | 粗面仕上げを「表面の水光りが消える前に」→ 誤り。消えてから。横目地に膨張目地とダミー目地を設けるのは正しい肢(正答2) |
| 令和4年度 2級後期(No.22) | 「版が温度変化に対応するように、車線に直交する横目地を設ける」が正しい肢(正答1) |
| 令和7年度 1級(No.37) | 初期養生を「表面の乾燥を速めるために行う」→ 誤り。乾燥を防ぐため(正答2) |
2級は目地と路盤紙、1級は養生と目地溝の切削が中心です。どちらも「版が自由に伸縮できるようにする」「乾燥させない」という2本の筋で説明がつきます。
問題:路盤紙を敷くのはなぜか。
版と路盤の間の摩擦を小さくして、版が自由に伸縮できるようにするためです。版は温度変化や硬化収縮で伸び縮みし、それを路盤が押さえつけると内部に引張力が生じてひび割れます。あわせてセメントペーストが路盤に流れ込むのを防ぎます。「膨張・収縮しないように敷く」は目的が逆で誤りです。(令和7年度2級 No.27)
問題:ダウエルバーが丸鋼で、タイバーが異形棒鋼なのはなぜか。
役割が逆だからです。ダウエルバーは横目地に入れて伸縮を許しながら荷重を伝えるので、コンクリートに食いつかない丸鋼にし、片側にすべる処理をします。タイバーは縦目地で版どうしを締結するので、食いつく異形棒鋼を使います。
問題:コンクリート舗装が荷重を支えているのは、版の曲げ抵抗か、コンクリートの引張抵抗か。理由も。
版の曲げ抵抗(曲げ剛性)です。剛性の高い版が板のようにたわみに抵抗し、輪荷重を広い面積に分散して路盤・路床へ伝えます。版の下面に生じる曲げ引張応力は曲げの結果で、コンクリートは引張に弱いため、この応力はむしろひび割れを進める側です。(令和5年度2級前期 No.22)
問題:粗面仕上げを、表面の水光りが消えてから行うのはなぜか。
水光りが残っているうちは表面に水が浮いていて、ほうきやブラシで筋をつけても形が残らないためです。水が引いてから行います。「水光りが消える前に」は早すぎて誤りです。(令和6年度2級後期 No.27)
アスファルト舗装との違いはアスファルト混合物の種類、締固めの手順は初転圧・二次転圧・仕上げ転圧で確認できます。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
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管理人からのコメント
コンクリート舗装は覚えることが多そうに見えますが、目地・路盤紙・砂利は全部同じ目的です。版は必ず伸び縮みする。止めると割れる。だから動ける場所を作り、動きを邪魔するものを取り除く。この一本で説明がつきます。
令和7年度2級No.27の路盤紙は、まさにこの理解を問うものでした。「膨張・収縮しないように敷く」と書かれると、いかにも正しそうに読めます。でも版を止めたら割れる。だから逆です。
ダウエルバーとタイバーは、棒の種類から思い出せます。丸鋼はコンクリートに食いつかないのですべる=伸縮を許す。異形棒鋼は食いつくので締める。伸縮を許したいのは温度変化を受け持つ横目地なので、ダウエルバーは横目地。ここまで一続きです。