けんせつる
橋の手前でガタンと揺れるの、あれ何?
裏込めって、擁壁でもシールドでも聞くけど同じもの?
この記事の要点
構造物の裏込めとは、橋台やカルバートなどの構造物の背面に良質な土を入れて、段差や沈下を防ぐ施工のことです。掘った部分を土で埋めもどす埋戻しとセットで扱われます。
「圧縮性の大きい材料」「透水係数の小さい材料」はどちらも誤りです。また「裏込め」は4つの別物を指します。ここが検索でも試験でも混ざります。
まず、構造物の裏込め・埋戻しが何のための施工かを押さえます。
橋台やカルバートのような構造物は、基礎で支えられているのでほとんど沈みません。ところが背面の盛土は、時間とともに沈下します。この沈下量の差が、境目の段差になります。橋の手前でガタンと揺れるのは、これです。
構造物の裏込め・埋戻しは、この境目に良質な材料をていねいに締め固めて入れる施工です。沈下そのものをゼロにはできませんが、盛土側の沈下を小さくして、差を減らします。
裏込め・埋戻しの材料は、細粒分の少ない粗粒土が基本です。求められる性質は3つです。
| 求められる性質 | なぜ必要か | 誤りの肢(試験) |
|---|---|---|
| 透水性がよい(透水係数が大きい) | 背面に水がたまらず排水できる。水がたまると土圧が増え、土もゆるむ | 「透水係数の小さい材料を用いる」 |
| 圧縮性が小さい | 荷重がかかっても縮まないので、構造物との段差が出にくい | 「隙間や段差が生じないように圧縮性の大きい材料を用いる」 |
| 締固めがしやすい | 狭い場所を小型機械で確実に締め固められる | 細粒分が多く塑性指数の大きい土を使う |
なお、そのままでは扱いにくい高含水比の粘性土や泥土も、自硬性をもたせるなどの機能を付加すれば埋戻し材として利用できます。セメントや石灰による安定処理は、土質によって所定の強度が出ないことがあるので、事前の試験で性状を確かめます。
ここは「段差を防ぐ」という目的から逆に考えると、間違えません。
段差は、構造物側がほとんど沈まないのに背面側が沈むから出ます。だから背面側の沈下を減らせば段差は小さくなります。沈下を減らすとは、荷重をかけても縮まない土を使うということ、つまり圧縮性が小さい土です。
ところが試験では「隙間や段差が生じないように圧縮性の大きい材料を用いる」という肢が出ます。「段差が生じないように」という正しい目的の後ろに、逆の手段をつなげてあります。目的の部分だけ読んで正しいと思うと、そのまま引っかかります。
透水性も同じ理屈です。水がたまると土は軟らかくなって沈みやすくなり、さらに構造物には水圧が加わります。だから水を早く抜ける土=透水係数の大きい土を使い、それでも入ってくる浸透水は地下排水溝で外へ出します。
「裏込め」は土木のあちこちで使われる語で、指すものが場面ごとに違います。検索でも試験でも混ざるところなので、分けて覚えます。
| 呼び方 | どこの何か | 目的 |
|---|---|---|
| 裏込め(この記事) | 橋台・カルバートなど構造物の背面に入れる良質な土 | 構造物と盛土の段差・沈下を防ぐ |
| 裏込め材・裏込めコンクリート | 擁壁の壁体の背面。ブロック積擁壁では栗石や割ぐり石、コンクリート | 壁体の安定と排水。底版の背面側を「裏込め側」と呼ぶ |
| 裏込め注入 | シールド工法で、セグメント外周にできるすき間(テールボイド)へ入れる注入材 | 地盤の緩み・沈下を防ぐ。掘進と同時か直後に速やかに行う |
| 裏込め土砂 | 河川護岸の法覆工の裏側にある土砂 | 基礎工がこれの流出を防ぐ |
共通しているのは「表から見えない側を埋めるもの」という意味です。埋める中身が土なのか、栗石なのか、注入材なのかが場面で変わります。
混同しやすい用語
裏込め と 埋戻し
セットで使われますが、指す範囲が違います。裏込めは橋台や擁壁の背面など、構造物に接する特に重要な部分に良質な土を入れることです。埋戻しは掘削した部分をふたたび土で埋めもどすこと全般を指します。どちらも良質な材料をていねいに締め固める点は共通です。
透水係数が大きい と 小さい
裏込め材に必要なのは透水係数が大きい(水を通しやすい)土です。「透水係数の小さい材料を用いる」は誤りです。水を通しにくい土を使うのは、遮水が目的の場合(堤防の遮水ゾーンなど)で、裏込めとは目的が逆です。
圧縮性 と 透水性
両方とも「小さい・大きい」で問われるので、方向を取り違えやすいところです。圧縮性は小さい方がよい(縮まないから段差が出ない)、透水性は大きい方がよい(水が抜けるから土圧が増えない)。求める向きが逆になります。
構造物の裏込め・埋戻しは、1級・2級ともに問われます。引っかけは3パターンです。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和6年度 1級(No.9) | 建設発生土の埋戻し利用。「隙間や段差が生じないように圧縮性の大きい材料を用いる」→ 誤り。圧縮性の小さい材料 ←① |
| 令和7年度 2級(No.8) | 道路の盛土の施工。構造物裏込め部で雨水の流入を防ぎ、浸透水を地下排水溝で処理する記述が正しい肢 ←② |
| 令和8年度 2級(No.34) | シールドの裏込め注入。「地盤の安定後に行う」→ 誤り。掘進と同時か直後に速やかに ←③ |
| 令和7年度 2級(No.50) | もたれ式擁壁の各部名称。底版の背面側=裏込め側がかかと版、前面側がつま先版 ←③ |
| 令和7年度 2級(No.21) | 河川護岸。基礎工は法覆工を支持し、洗掘から保護して裏込め土砂の流出を防ぐ ←③ |
年度をまたいで問われる核心は材料の性質の向きです。透水性は大きく、圧縮性は小さく。この2つを取り違えなければ、①は必ず切れます。
問題:裏込め材に圧縮性の小さい材料を用いるのはなぜか。
段差は、ほとんど沈まない構造物と、沈む背面の盛土との沈下量の差で出ます。圧縮性が小さい土は荷重をかけても縮まないので、この差が小さくなります。「隙間や段差が生じないように圧縮性の大きい材料を用いる」は、目的は正しいのに手段が逆で、誤りです。(令和6年度1級 No.9)
問題:裏込め材に透水係数の大きい粗粒土を使うのはなぜか。
背面に水がたまると、土が軟らかくなって沈みやすくなり、さらに構造物に水圧が加わるためです。水を早く抜ける土を使い、それでも入る浸透水は地下排水溝で外へ出します。「透水係数の小さい材料」は誤りです。
問題:構造物のすぐそばの裏込めを、大型機械で厚く締め固めてはいけないのはなぜか。
大型機械は構造物に近づけず、狭い場所では締固めが行き届かないためです。また構造物に過大な土圧や衝撃を与えます。薄く敷き均して、タンパ・ランマ・小型の振動ローラでていねいに締め固めます。
問題:シールド工法の「裏込め注入」は、構造物の裏込めと何が違うか。
入れる場所も材料も目的も違います。裏込め注入は、シールドの掘進でセグメント外周にできるすき間(テールボイド)へ注入材を入れるもので、地盤の緩みや沈下を防ぐのが目的です。掘進と同時か直後に速やかに行い、「地盤の安定後に行う」は誤りです。(令和8年度2級 No.34)
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
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管理人からのコメント
裏込めの問題は、覚えるより目的から逆算するほうが速いです。目的は「段差を出さない」。段差は背面が沈むから出る。だから沈まない土、つまり圧縮性の小さい土。水がたまると沈むから、水を抜く土。この2行で肢が切れます。
もう一つ、「裏込め」という語が4か所で別の意味に使われている点は、はじめは戸惑うところです。橋台の背面の土、擁壁の背面の栗石、シールドのテールボイドへの注入材、護岸の法覆工の裏の土砂。どれも「見えない裏側を埋めるもの」ですが、論点はまったく別です。過去問を解いていて話がかみ合わないと感じたら、どの裏込めの話か確かめてください。