けんせつる
河川堤防の盛土って、ふつうの盛土と違うの?
築堤って、何に気をつけるの?
この記事の要点
築堤は、河川堤防を盛土でつくる工事です。土を層状にまき出して締め固め、水を防ぐ均質な堤防に仕上げます。
すでにある堤防を広げるときは、段切りをしてから腹付けします。施工の注意点と過去問での問われ方を押さえます。
河川堤防は、洪水のときに水を防ぐ土の構造物です。荷重を支える盛土とは違い、水を通さない均質さが大切になります。
築堤は、河川堤防を盛土でつくる工事で、土を層状にまき出して締め固め、水を防ぐ均質な堤防に仕上げます。
堤防は支持力よりも、水を通さない均質さ(耐水性)が重視されます。そのため、一層ずつていねいに締め固めます。
ここが道路の盛土といちばん違うところです。道路の盛土は上から押される力に耐えればよく、多少むらがあっても全体で支えられます。堤防は違います。1か所でも水を通す弱い部分があれば、そこから水が入り、やがて穴が広がって破堤します。堤防の強さは、いちばん弱いところで決まります。だから「平均して締まっている」では足りず、どこも同じに締まっていることが要ります。
盛土は、一度に高く盛らず、層を重ねるように施工します。断面で見ると流れがつかめます。
盛土は一層ずつまき出して締め固め、一層の仕上がり厚さは30cm以下を目安とします。締固めは堤防の法線に平行に行い、締固めの幅が重なるようにして、すき間のない均質な堤防に仕上げます。
すでにある堤防を広げる(拡幅する)ときは、新しい土を付け足します。これを腹付けといいます。
そのまま盛ると旧堤防と新しい土がうまく一体化しないため、旧堤防の法面を段切り(階段状に切る)してから腹付けします。段切りで接合をよくし、すべりや段差を防ぎます。
段切りをしない場合、新しい土は旧堤防の斜面の上に載っているだけになります。斜面と土のあいだにすべりやすい面が1枚できて、そこが弱点になります。
雨が降れば、この面に沿って水が流れます。水を含めば摩擦が落ちて、新しく盛った部分だけがずり落ちます。堤防は水に接する構造物なので、この危険が現実に起こります。
階段状に切ると、面が水平と垂直に折れ曲がります。水平な段は新しい土を下から支え、垂直な立ち上がりは横へのずれを止めます。すべり続けられる1枚の面が無くなる——これが段切りの働きです。
盛土材の配置は、水の通り道を設計していると考えると筋が通ります。
洪水のとき、水は川表側から堤防に浸み込もうとします。ここに透水性の小さい材料を置けば、入ってくる量そのものを減らせます。
それでも水は少しずつ入ります。このとき川裏側まで透水性が小さいと、入った水が抜けずに堤体の中にたまります。土は水を含むと重くなり、粒どうしの摩擦が落ちて弱くなります。川裏に透水性の大きい材料を置くのは、入った水をすみやかに抜くためです。
入りにくく、抜けやすく——川表と川裏で逆にすると、この向きが崩れます。「川表は透水性が大きいもの」とする肢が誤りになるのは、水を呼び込む形になるからです。
一層の仕上がり厚さを30cm以下に抑えるのも同じ考え方です。厚く盛ると、締固め機械の力が下まで届きません。上だけ締まって下がゆるいと、そこが水の通り道になります。薄く重ねるほど、水を通さない均質な堤体になるわけです。
盛土材の含水比が高い粘性土の場合は、施工機械でわだち掘れが起きやすいので、接地圧の小さい機械を使うなどの注意が要ります。
基礎地盤が軟弱な場合は、地盤改良などの対策を行ってから築堤します。仕上がった法面は、芝などで保護して浸食を防ぎ、水が当たる部分は護岸で守ります。
堤防の盛土材は、置く場所で透水性を変えます。水が当たる川表側には透水性の小さい(水を通しにくい)材料、その反対の川裏側には透水性の大きい(水を抜きやすい)材料を置くのが原則です。
川表で水の浸み込みを抑え、堤体に入った水は川裏側へ抜くことで、堤防が水を含んで不安定になるのを防ぎます。
混同しやすい用語
腹付け と 段切り
セットで出てきますが、別の作業です。腹付けは、堤防を広げるために新しい土を付け足す工事そのものです。段切りは、その腹付けの前に、旧堤防の法面を階段状に切って、新旧の土の接合をよくする下準備です。土を足すのが腹付け、足す前に階段状に切るのが段切りです。
河川堤防は、1級・2級とも築堤の施工が正誤判定で問われます。問われ方は3つの型に分かれます。
①盛土材の透水性の配置(川表と川裏)の取り違え、②腹付けの段切りの有無、③築堤に使う発生土の可否です。
盛土材は、川表に透水性の小さいもの、川裏に透水性の大きいものを置きます。これを逆にした記述は誤りです。川表で水を防ぎ、川裏で水を抜く、と向きで覚えます。
| 年度・級 | No. | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 平成22年度・1級 | No.3 | 建設発生土の築堤利用。礫質発生土を「すべての区域でそのまま利用できる」とする誤り(区域や対策の条件がある) |
| 平成25年度・1級 | No.21 | 河川堤防の盛土施工。盛土材を「川表に透水性の大きいもの、川裏に透水性の小さいもの」とする誤り(配置が逆) |
| 平成26年度・2級後期 | No.15 | 築堤・腹付けの施工。段切り・軟弱地盤の対策・法面保護・腹付けを行う位置が問われた |
覚えるのは、川表は透水性の小さいもの・川裏は透水性の大きいものという盛土材の向きと、腹付けの前には必ず段切りをすることです。
問題:築堤の盛土は、土を層状にまき出して締め固め、一層の仕上がり厚さは30cm以下を目安とする。
〇か×か。
答え:〇
築堤は一層ずつまき出して締め固め、一層の仕上がり厚さは30cm以下が目安です。締固めは法線に平行に、幅が重なるように行います。
問題:腹付けでは、旧堤防の法面を段切りしてから新しい土を付け足す。
〇か×か。
答え:〇
腹付けの前に旧堤防の法面を段切り(階段状に切る)し、新旧の土の接合をよくしてから盛ります。平成26年度(2級後期)No.15でも、腹付けの段切りや軟弱地盤の対策などが出題されました。
問題:堤防の盛土材は、川表側に透水性の大きいもの、川裏側に透水性の小さいものを用いる。
〇か×か。
答え:×
配置が逆です。川表側に透水性の小さいもの、川裏側に透水性の大きいものを置きます。川表で水の浸み込みを防ぎ、入った水は川裏側へ抜きます。平成25年度(1級)No.21では、この配置を逆にした記述が誤りとして問われました。
築堤は、河川堤防を盛土でつくる工事です。
土を層状にまき出して締め固め、堤防を広げるときは段切りしてから腹付けするのが基本です。
水を防ぐ均質な堤防に仕上げるため、含水比の管理や法面の保護にも注意します。
参考資料
※ 数値・施工方法は標準的な目安です。基準の改定や現場条件で変わるため、最新の資料で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年6月
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