けんせつる
薬液を入れたら、水は通りやすくなるの?
工法の名前が多くて、どの分類か分からない…
この記事の要点
固結工法とは、地盤に安定材や薬液を入れて固め、支持力を高める地盤改良工法のことです。2つあります。
「薬液注入は透水性を高め排水を促す」「深層混合処理は沈下量が大きい」はどちらも誤りです。
まず、地盤改良の分類の中でどこに位置するかを押さえます。
軟弱な地盤を使えるようにする方法は、大きく4つに分かれます。
分類の全体像は軟弱地盤対策工法にまとめています。ここでは固結工法の中身を掘り下げます。
| 工法 | やり方と効果 | 出題された誤り |
|---|---|---|
| 深層混合処理工法 | 安定材と軟弱土を地中で混合し、柱状・ブロック状の改良体をつくる。機械攪拌方式がある。大きな強度が短期間で得られ、沈下防止に効果が大きい | 「沈下量が大きく、大きな強度が短期間で得られる」 |
| 薬液注入工法 | 地盤の透水性を減少させるために薬液を注入する。水質監視(地下水汚染防止)と周辺地盤の沈下・隆起の監視が必要 | 「地盤の透水性を高め排水を促す」 |
深層混合処理工法の誤り肢は巧妙です。「大きな強度が短期間で得られる」までは正しいので、前半で納得してしまいます。固めて支持力を高める工法なので、沈下量は小さくなります。「沈下量が大きく」は逆です。
「注入」という語から、何かを流し込んで水の通りをよくするように読めてしまいます。しかし逆です。
薬液注入工法は、地盤のすき間に薬液を入れて固める工法です。すき間が埋まれば、当然水の通り道はふさがります。だから透水性は下がります。止水が目的の工法です。
「地盤の透水性を高め排水を促す」は、向きを逆にして排水を促す工法に見せる引っかけです。排水を促すのはサンドドレーン工法などの圧密排水工法で、まったく別の分類です。
薬液を地中に入れる以上、副作用の監視が要ります。出題される監視は2つです。
「締固め工法に該当するものはどれか」という形でも出ます。工法名から分類を答えられるようにします。
| 工法 | 分類 | やっていること |
|---|---|---|
| バイブロフローテーション工法 | 締固め | ゆるい砂地盤に棒状の振動機を入れ、振動と水締めで締め固め、すき間に砕石を充填。低振動・低騒音で周辺地盤の変状が少ない |
| 石灰パイル工法 | 固結 | 生石灰を杭状に打設して地盤を固結させる |
| サンドドレーン工法 | 圧密排水(脱水) | 砂柱で水を抜いて圧密を促進 |
| 深層混合処理工法 | 固結 | 安定材を混ぜて改良体をつくる |
見分け方は「何で強くしているか」です。振動なら締固め、水を抜くなら圧密排水、固めるなら固結。工法名に含まれる言葉(バイブロ=振動、ドレーン=排水、石灰・混合=固める)がそのまま手がかりになります。
混同しやすい用語
薬液注入工法 と 圧密排水工法
水の扱いが逆です。薬液注入工法はすき間を薬液で埋めるので透水性が下がり、止水が目的です。圧密排水工法(サンドドレーン工法など)は水を抜いて圧密を促進します。「薬液注入は透水性を高め排水を促す」は、この2つを混ぜた誤りです。
深層混合処理工法の「沈下量」
安定材と軟弱土を混ぜて柱状・ブロック状の改良体をつくり、大きな強度が短期間で得られる工法です。固めて支持力を高めるので沈下量は小さく、沈下防止に効果が大きくなります。「沈下量が大きく」とする肢は誤りです。
固結工法は2級でくり返し出ます。引っかけは2型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和6年度 2級前期(No.9) | 深層混合処理工法を「沈下量が大きく、大きな強度が短期間で得られる」→ 誤り。沈下量は小さい ←②(正答4) |
| 令和4年度 2級前期(No.4) | 薬液注入工法を「地盤の透水性を高め排水を促す」→ 誤り。透水性は下がる ←①(正答2) |
| 令和6年度 2級後期(No.9) | 締固め工法に該当するのはバイブロフローテーション工法。石灰パイルは固結、サンドドレーンは圧密排水(正答1) |
| 令和7年度 1級(No.10) | 軟弱地盤対策工法 |
問題:薬液注入工法は、地盤の透水性をどちらに動かすか。理由も。
減少させます(下げます)。地盤のすき間に薬液を入れて固めるので、水の通り道がふさがるためです。止水が目的の工法です。「透水性を高め排水を促す」は逆で、排水を促すのは圧密排水工法(サンドドレーン工法など)です。(令和4年度2級前期 No.4)
問題:深層混合処理工法の沈下量は大きいか小さいか。
小さいです。安定材と軟弱土を混ぜて柱状・ブロック状の改良体をつくり、固めて支持力を高める工法なので、大きな強度が短期間で得られ、沈下防止に効果が大きくなります。「沈下量が大きく」は誤りです。(令和6年度2級前期 No.9)
問題:バイブロフローテーション工法・石灰パイル工法・サンドドレーン工法は、それぞれどの分類か。
バイブロフローテーション工法=締固め(振動と水締めで締め固め、すき間に砕石を充填)。石灰パイル工法=固結(生石灰を杭状に打設)。サンドドレーン工法=圧密排水(砂柱で水を抜く)。工法名の言葉が分類の手がかりになります。(令和6年度2級後期 No.9)
分類の全体像は軟弱地盤対策工法、薬液注入の詳細は薬液注入工法、排水で圧密を促す工法はバーチカルドレーン工法で確認できます。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
管理人からのコメント
固結工法の2つは、誤り肢がどちらも「逆」で作られています。薬液注入の透水性、深層混合処理の沈下量。どちらも工法の目的を考えれば向きが決まります。すき間を埋めれば水は通りにくくなる。固めれば沈まない。それだけです。
分類を問う問題は、工法名がヒントになっています。バイブロ(振動)=締固め、ドレーン(排水)=圧密排水、石灰・混合=固結。名前を分解すれば分類にたどり着きます。