ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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土留めの破壊現象とは?粘性土のヒービングと砂質土のボイリング、対策の向き

けんせつる

けんせつる

ヒービングって、砂の地盤?粘土の地盤?

対策の問題は、何を見れば分かるの?

この記事の要点

土留めの破壊現象とは、土留め壁を用いて深く掘ったときに掘削底面が壊れる現象のことです。4つあります。

  • ヒービング軟らかい粘性土。掘削底面が盛り上がる(土が動く)。
  • ボイリング砂質土。地下水位以下を掘ると砂が吹き上がる(水が動く)。
  • パイピング=砂質土の水みちに沿ってボイリングがパイプ状に進む。
  • 盤ぶくれ=難透水性地盤の下の被圧地下水で底面がふくれ上がる。

対策の問題は、誤り肢がすべて「安定性を下げる側」に書き替えられています。向きだけ見れば選べます。

まず、4つの現象と地盤の対応を押さえます。

4つの破壊現象

現象 地盤 何が起きるか
ヒービング 軟らかい粘性土 掘削底面下の土の強度不足から、掘削底面が隆起(盛り上がる)
ボイリング 砂質土 地下水位以下を掘削したとき、掘削底面から水と土砂が湧き出し、底面下の地盤が受働抵抗を失う
パイピング 砂質土 土の中の浸透水で水みちができ、そこを通ってボイリングがパイプ状に進む
盤ぶくれ 難透水性地盤(粘性土など)の下に被圧帯水層 被圧地下水によって掘削底面がふくれ上がる
ヒービングとボイリング(模式図) ヒービング(軟らかい粘性土) 土が回り込んで盛り上がる ★動くのは「土」 ボイリング(砂質土) 水が流れ込んで砂が吹き上がる ★動くのは「水」
ヒービングとボイリング(模式図)。形状は実物どおりではありません。

なぜ粘性土と砂質土で分かれるのか

4年続けて地盤を入れ替えた肢が出ています。丸暗記でも解けますが、理屈で押さえると忘れません。鍵は水の通しやすさです。

粘性土は水を通しにくい。だから水はほとんど動きません。代わりに動くのは土そのものです。掘って荷重のバランスが崩れると、掘削底面下の土が強度不足になり、外側の土が壁の下を回り込んで底面を押し上げます。これがヒービングです。

砂質土は水を通す。だから地下水位以下を掘ると、外側の高い水位から水が流れ込んできます。その上向きの流れが砂粒を持ち上げ、水と土砂が一緒に湧き出します。これがボイリングです。

動くのが土ならヒービング(粘性土)、水ならボイリング(砂質土)。この一行で地盤の取り違えは防げます。

パイピングは、そのボイリングが局所的に進んだ形です。砂質土の弱いところに水が集中して水みちができ、ボイリングがパイプ状に進行します。「ヒービングがパイプ状に生じる」は誤りです。パイプ状になるのはボイリングのほうです。

対策は「安定させる向き」に動かす

対策を問う問題には、はっきりした型があります。正しい肢は安定性を高める向き、誤り肢は下げる向きに書かれています。

現象 正しい対策 出題された誤り
ヒービング 掘削底面下の地盤改良で土のせん断強さを増やす —(これが正解の肢)
盤ぶくれ 不透水層の層厚を確保する(押さえる土の重さを保つ) 「層厚を薄くするとよい」
ボイリング ディープウェルやウェルポイントで地下水位を低下させる 「背面側の地下水位を上昇させる」

誤り肢を並べると、不透水層を薄くする/地下水位を上げる/プレロードを解除すると、どれも危ないほうへ動かす記述になっています。中身を知らなくても、向きだけを見れば選び分けられます。

理屈もつながっています。ヒービングは土が弱いことが原因なので、土を強くする(地盤改良)。ボイリングと盤ぶくれは水の力が強いことが原因なので、水圧を下げるか、押さえる重さを増やす。原因を裏返せば対策になります。

施工管理での確認ポイント

  • 地盤の種類を確認する:粘性土ならヒービング、砂質土ならボイリングを想定する。
  • 被圧帯水層の有無を調べる:難透水層の下に被圧地下水があれば盤ぶくれに備える。
  • 地下水位を下げる手段を用意する:ディープウェル・ウェルポイント。上げる方向の措置はしない。
  • 掘削底面を観察する:わずかな隆起や湧水は前兆。早い段階で気づく。
  • 不透水層を掘りすぎない:層厚が薄くなると盤ぶくれの危険が増す。

混同しやすい用語

ヒービング と ボイリング

地盤と動くものが違います。ヒービング軟らかい粘性土で、掘削底面下の土の強度不足から底面が盛り上がります(動くのは土)。ボイリング砂質土で、地下水位以下を掘ると水と土砂が湧き出します(動くのは水)。地盤の種類と土の動きを入れ替えた肢が4年続けて出ています。

パイピング と ボイリング

パイピングボイリングが局所的に進んだ形です。砂質土の弱いところに水が集中して水みちができ、そこを通ってボイリングがパイプ状に進行します。「ヒービングがパイプ状に生じる」は誤りです。パイプ状になるのはボイリングです。

過去問でどう問われたか

土留めの破壊現象は2級でほぼ毎年、1級では対策の形で出ます。引っかけは2型です。

  • 地盤の入れ替え……ヒービングを砂質土、ボイリングを粘土質地盤とする。
  • 対策を危ない向きにする……層厚を薄く、地下水位を上昇、プレロードを解除。
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和5年度 2級後期(No.11)ボイリングを「軟弱な粘土質地盤を掘削した時に掘削底面が盛り上がる」→ 誤り。それはヒービング ←①(正答3)
令和5年度 2級前期(No.11)ヒービングを「砂質地盤で地下水位以下を掘削したときに砂が吹き上がる」→ 誤り。それはボイリング ←①(正答3)
令和4年度 2級後期(No.11)パイピングを「砂質土の弱いところを通ってヒービングがパイプ状に生じる」→ 誤り。ボイリング ←①(正答4)
平成27年度 2級(No.4)ヒービングを「ゆるい砂質土地盤を掘削する場合に起こる」→ 誤り ←①(正答3)
令和5年度 1級(No.15)正しいのはヒービングに地盤改良でせん断強さを増やす。他は層厚を薄く・地下水位を上昇・プレロード解除と、すべて安定性を下げる側 ←②(正答1)

管理人からのコメント

2級は4年続けて地盤の取り違えで出ています。名前と地盤の組合せさえ固めれば、ほぼ確実に1点になります。粘土=ヒービング(土が動く)、砂=ボイリング(水が動く)。この対応だけです。

1級の対策問題は、もっと機械的に解けます。誤り肢は全部「危ないほうへ動かす」記述でした。層を薄くする、水位を上げる、プレロードを外す。読んでいて「それは危ないのでは」と感じたら、それが誤りです。専門知識より安全側かどうかの感覚で選べます。

理解度チェック

問題:ヒービングとボイリングは、それぞれどんな地盤で起こるか。動くのは何か。

ヒービング軟らかい粘性土で、掘削底面下の土の強度不足から底面が盛り上がります(動くのは)。ボイリング砂質土で、地下水位以下を掘ると水と土砂が湧き出します(動くのは)。粘性土は水を通しにくいので土が動き、砂質土は水を通すので水が動く、と考えると取り違えません。

問題:ボイリングに対する安定性が不足するとき、地下水位はどうするか。

ディープウェルやウェルポイントで地下水位を低下させます。ボイリングは外側の高い水位から水が流れ込むことで起きるので、その水位差を小さくします。「背面側の地下水位を上昇させる」は逆で、水位差を大きくして危険を増やします。(令和5年度1級 No.15)

問題:盤ぶくれの対策で、不透水層の層厚を薄くしてはいけないのはなぜか。

盤ぶくれは被圧地下水が下から押し上げる現象で、それに抵抗しているのが上に載っている不透水層の重さだからです。層厚を薄くすると押さえる重さが減り、下からの水圧に負けやすくなります。対策は層厚を確保する方向です。(令和5年度1級 No.15)

まとめ

  • ヒービング=軟らかい粘性土。掘削底面下の土の強度不足で底面が盛り上がる(土が動く)。
  • ボイリング砂質土。地下水位以下を掘ると水と土砂が湧き出し、底面下が受働抵抗を失う(水が動く)。
  • パイピング=水みちに沿ってボイリングがパイプ状に進む。「ヒービングがパイプ状」は誤り。
  • 盤ぶくれ=難透水性地盤の下の被圧地下水で底面がふくれ上がる。
  • 対策=ヒービングは地盤改良でせん断強さを増やす、ボイリングは地下水位を低下、盤ぶくれは不透水層の層厚を確保
  • ★対策問題の誤り肢はすべて安定性を下げる側。向きだけ見れば選べる。

土留めの工法そのものは土留め工、地盤を強くする方法は地盤改良工法で確認できます。

参考資料

  • 日本道路協会「道路土工-仮設構造物工指針」
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
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土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

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