ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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擁壁の各部名称とは?裏込め材・裏込めコンクリート・直高の違いを整理

けんせつる

けんせつる

裏込め材と裏込めコンクリート、どっちがどっち?

直高って、斜めに測るんだっけ?

この記事の要点

擁壁の各部名称とは、擁壁の断面図で、壁体・背面の層・底版・高さの測り方に付いた呼び名のことです。

2級では断面図に名称と記号を当てさせる問題として、令和5年度から令和8年度まで4年続けて出ています。問われる語はほぼ同じです。

  • 裏込めコンクリート:ブロックの背面に打つコンクリート
  • 裏込め材:そのさらに背面に入れる栗石・砕石などの透水性材料
  • 直高:擁壁の垂直方向の高さ。斜面に沿って測るのり長とは別
  • つま先版・かかと版:底版の前面側がつま先版、背面側がかかと版。

裏込め材と裏込めコンクリートの取り違えが、この問題の核心です。

まず、ブロック積擁壁の断面がどう重なっているのかを押さえます。

擁壁の断面はどう重なっているか

ブロック積擁壁は、コンクリートブロックや石を積み上げてつくる擁壁です。前面から背面へ、性質の違う4つの層が順に並びます。

ブロック積擁壁の各部名称(模式図) 背面の土 直高 (垂直) のり長 (斜距離) ブロック 胴込めコンクリート 裏込めコンクリート 裏込め材(栗石・砕石) 基礎コンクリート 水抜き穴
ブロック積擁壁の各部名称(模式図)。位置関係をつかむためのイメージで、寸法・比率は実物どおりではありません。試験で使われる断面図とは別のものです。
名称 位置 役割
胴込めコンクリート ブロックの間 ブロックどうしを一体化する
裏込めコンクリート ブロックの背面 胴込め・基礎とともに擁壁を一体化する
裏込め材 裏込めコンクリートのさらに背面 栗石・砕石などの透水性材料。背面の水を排水し、水圧を減らして擁壁を安定させる
基礎コンクリート 擁壁の底部 擁壁を支える
水抜き穴 壁体の下部 背面にたまった水を前面へ逃がす

前面から背面へブロック → 胴込めコンクリート → 裏込めコンクリート → 裏込め材の順です。コンクリートが2つ並び、その外側が石という並びで覚えます。

ブロック積・もたれ式・逆T型の違い

擁壁の形式が変わると、断面図に出てくる名称も変わります。2級で問われるのはブロック積ともたれ式、1級ではこれに逆T型の配筋が加わります。

形式 支え方 断面図に出る名称
ブロック積擁壁 ブロックと背面のコンクリートで一体化 直高・のり長・胴込め・裏込めコンクリート・裏込め材・基礎コンクリート・水抜き穴
もたれ式擁壁 背面の地山や切土のり面にもたれかかり、自重で土圧に抵抗 擁壁高・たて壁・底版(つま先版・かかと版)
逆T型擁壁 広い底版と、その上に載る土の重さで安定 たて壁・かかと版・つま先版(1級では配筋も)

もたれ式は壁をうすくできる

もたれ式擁壁は、壁を背面へ傾けて地山にもたせかけます。壁が後ろに倒れているぶん、背面から受ける土圧が小さくなります。だからたて壁を比較的うすくできます。逆に言えば、地山から離して据えると寄りかかる相手がなく、この形式は成立しません。

底版は、前面側の張出しがつま先版、背面(裏込め側)の張出しがかかと版です。人の足の向きで考えると迷いません。前がつま先、後ろがかかとです。

直高とのり長

  • 直高……擁壁の垂直方向の高さ。基礎から天端までの垂直距離。
  • のり長……斜面に沿って測った長さ(斜距離)。

ブロック積擁壁は前面が斜めなので、この2つは一致しません。断面図の記号がどちらを指しているかで正誤が分かれます。

なぜ裏込め材が透水性の材料なのか

擁壁が倒れる原因の多くは、背面にたまった水です。土だけなら土圧に耐えられる設計でも、そこに水圧が加わると設計を超えます。だから水を抜いて、土圧に水圧を足させないのが基本の考え方です。

その役割を担うのが裏込め材と水抜き穴です。

  • 裏込め材(栗石・砕石)……粒が粗いので、すき間を水が通り抜けます。背面の水を集めて水抜き穴へ導きます。細かい土を使うと水が抜けず、逆に水圧をためこみます。
  • 水抜き穴……集めた水を前面へ逃がします。詰まっていれば付いていないのと同じです。

裏込めコンクリートが「コンクリート」で、その外側の裏込め材が「石」なのも、この役割分担から来ています。一体化はコンクリート、排水は石です。名前が似ていても、材料もはたらきも別です。構造物の背面の埋戻しは裏込め・埋戻しにまとめています。

逆T型の配筋(1級)

1級では、擁壁の配筋図から引張鉄筋を選ばせる問題が問題BのNo.3に出ています。部位ごとに、どちら側が引張になるかが変わります。

  • かかと版……上に載る背面土や上載土の重さで曲げられる。引張になる側に主筋を置く。
  • つま先版……地盤反力で下側が引張になる。
  • たて壁……背面側が引張になる。
  • 図ではD22が主筋、D13が配力筋のように、鉄筋径の太いほうが主筋です。

施工管理での確認ポイント

擁壁は仕上げると背面が完全に隠れます。裏込め材も水抜き穴も、埋め戻した後では確認できません。

  • 背面の層順を確認する:ブロック → 胴込め → 裏込めコンクリート → 裏込め材の順で施工されているか。裏込め材を先に入れてしまう手戻りが起きやすい。
  • 裏込め材の材料を確認する:設計で指定された栗石・砕石が使われているか。細粒分の多い材料が混ざっていないかを見る。
  • 水抜き穴の位置・間隔・通水を確認する:設計どおりの位置に付いているか、施工中に詰まっていないかを確認する。埋戻し前が最後の機会。
  • 直高で測る:設計図の高さが直高かのり長かを確認してから測る。前面が斜めの擁壁では値が違う。
  • もたれ式は据える位置を確認する:斜面脚部に接して据わっているか。離れていれば設計と違う。
  • 記録を残す:裏込め材の投入状況と水抜き穴は、埋戻し前に写真で残す。

混同しやすい用語

裏込めコンクリート と 裏込め材

裏込めコンクリートは、ブロックの背面に打つコンクリートです。裏込め材は、そのさらに背面に入れる栗石・砕石などの透水性材料で、背面の水を排水して水圧を減らします。名前が似ていますが、材料もはたらきも別です。断面図で背面のコンクリート部分を指すなら裏込めコンクリート、その外側の粒の粗い層なら裏込め材です。

直高 と のり長

直高は垂直方向の高さ、のり長は斜面に沿った斜距離です。前面が傾いている擁壁では値が違います。

つま先版 と かかと版

底版の前面側がつま先版、背面(裏込め)側がかかと版です。もたれ式の断面図では、擁壁高がH1、つま先版がB1、かかと版がB2といった記号で示されます。

過去問でどう問われたか

擁壁の各部名称は、2級のNo.45・No.50で令和5年度から令和8年度まで4年続けて出ています。引っかけは大きく3パターンです。

  • 名称の取り違え……背面のコンクリート部分を「裏込め材」、透水性材料を「裏込めコンクリート」と入れ替える。
  • 記号の取り違え……直高を示す記号にのり長の記号を当てる。擁壁高をH1でなくH2とする。
  • 前後の取り違え……つま先版とかかと版を入れ替える。
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和8年度 2級(No.50)切土法面のもたれ式擁壁。擁壁高H1・つま先版B1が2つとも適当な組合せ ←②記号
令和7年度 2級(No.50)もたれ式擁壁。擁壁高はH1(H2は誤り)、底版かかとはB2(B1は誤り)←②記号
令和6年度 2級前期(No.50)背面のコンクリート部分は裏込めコンクリート。直高との組合せで正誤が分かれる ←①名称
令和5年度 2級前期(No.45)背面の透水性材料は裏込め材。直高をのり長と取り違えないか ←①名称・②記号
令和7年度 1級 問題B(No.3)逆T型擁壁のかかと版の引張鉄筋を選ぶ。D22が主筋、D13が配力筋
令和5年度 1級 問題B(No.3)擁壁のかかと部の引張鉄筋を選ぶ。部位ごとに引張になる側が変わる

つまり背面のコンクリートが裏込めコンクリート、その外の石が裏込め材。直高は垂直、のり長は斜め。前がつま先版、後ろがかかと版。この3組で2級のNo.50はほぼ取れます。

管理人からのコメント

裏込め材と裏込めコンクリートは、現場では別々のタイミングで施工するものです。コンクリートを打って、固まってから石を入れます。手順として見ていれば混ざりません。図の上でしか見たことがないと、名前の似た2つが並んで見えるだけになります。

水抜き穴は、埋め戻したら二度と確認できません。施工中に詰まることもあるので、背面を埋める前に通水を見ておきます。設置漏れより、詰まったまま埋めるほうが起きやすい失敗です。

理解度チェック

問題:裏込め材に、細かい土ではなく栗石・砕石のような粒の粗い材料を使うのはなぜか。

粒が粗いとすき間を水が通り抜けるため、背面の水を集めて水抜き穴へ導けるからです。擁壁が倒れる原因の多くは背面にたまった水で、土圧に水圧が加わると設計を超えます。細かい土では水が抜けず、逆に水圧をためこみます。

問題:もたれ式擁壁を、斜面脚部から離して据えてはいけないのはなぜか。

もたれ式は、背面の地山や切土のり面に寄りかかることで安定する形式だからです。離して据えると寄りかかる相手がなく、成立しません。斜面下部から離して据え、崩壊土砂を待ち受けるのは待受式です。(令和7年度2級 No.50)

問題:断面図の高さを読むとき、直高とのり長を区別しなければならないのはなぜか。

ブロック積擁壁は前面が斜めなので、垂直に測る直高と、斜面に沿って測るのり長で値が違うためです。直高は基礎から天端までの垂直距離を指します。(令和5年度2級前期 No.45)

まとめ

  • ブロック積擁壁は、前面からブロック → 胴込めコンクリート → 裏込めコンクリート → 裏込め材の順に重なる。
  • 裏込め材は栗石・砕石などの透水性材料。背面の水を排水し、土圧に水圧を足させない。
  • 直高は垂直方向の高さ。斜面に沿ったのり長とは別。
  • もたれ式擁壁は背面の地山にもたれ、自重で土圧に抵抗する。壁を後傾させるぶんたて壁をうすくできる。
  • 底版は、前面側がつま先版、背面側がかかと版
  • 1級の配筋問題では、かかと版・つま先版・たて壁で引張になる側が変わる。太い鉄筋が主筋。
  • 裏込め材と水抜き穴は、埋め戻す前が確認の最後の機会。

のり面そのものの保護はのり面保護工、がけ側の対策は急傾斜地崩壊防止工で確認できます。

参考資料

  • 公益社団法人 日本道路協会「道路土工-擁壁工指針」
  • 都道府県のブロック積擁壁工設計基準
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答

※ 記号(H1・B1・B2など)は各年度の断面図に付されたものです。図は年度ごとに異なるため、記号の対応は問題の図で確認してください。

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土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

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