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容量分析と滴定(標定・終点・指示薬)|作業環境測定士

編集部

「この溶液は何で標定する?」がこんがらがりますよね。酸は炭酸ナトリウム、塩基はフタル酸水素カリウム…と、相手の酸塩基で組合せが決まります。中性塩の硝酸カリウムは標定に使えない、が定番の引っかけです。

この記事の要点

一次標準物質は化学的に安定な固体です。酸(塩酸・硫酸)の標定は炭酸ナトリウム、塩基(水酸化ナトリウム)の標定はフタル酸水素カリウムやアミド硫酸を使い、中性塩の硝酸カリウムは標定に使えません

硝酸銀は塩化ナトリウム、過マンガン酸カリウムはシュウ酸ナトリウム、EDTAは金属標準液で標定します。各滴定には対応する終点判別(指示薬)があります。

容量分析(滴定)は、濃度の分かった標準溶液を使って試料の量を求める方法です。分析に関する概論の問12でほぼ毎年、標定に使う試薬や滴定の終点が問われます。

標準溶液と標定物質の組合せの取り違えが引っかけの中心です。

酸の標定は炭酸ナトリウム、塩基の標定はフタル酸水素カリウム。中性塩の硝酸カリウムは標定に使えません。

一次標準物質と標定

標定とは、調製した標準溶液の正確な濃度を、純度の高い一次標準物質(化学的に安定な固体)を使って求めることです。

標定に用いる反応は、平衡定数が大きく、反応速度が大きいことが必要です。

標定する溶液標定に用いる物質
酸(塩酸・硫酸)炭酸ナトリウム
塩基(水酸化ナトリウム)フタル酸水素カリウム、アミド硫酸(スルファミン酸)
硝酸銀塩化ナトリウム
過マンガン酸カリウムシュウ酸ナトリウム
EDTA金属標準液(亜鉛など)

引っかけの定番は、水酸化ナトリウムの標定に硝酸カリウム(中性塩なので不可。

フタル酸水素カリウム等を使う)、EDTAの標定にチオ硫酸ナトリウムや硝酸カリウム(EDTAは金属標準液で標定)です。

滴定の種類と終点

滴定は反応の種類で分かれ、それぞれ終点を知る方法(指示薬など)があります。

滴定(反応)終点の判別
中和滴定(酸-塩基)pH指示薬の変色
沈殿滴定(塩化ナトリウム-硝酸銀)指示薬の変色(モール法=クロム酸銀の赤色沈殿)
酸化還元滴定(過マンガン酸カリウム-シュウ酸)過マンガン酸イオンの赤紫の着色
キレート滴定(EDTA)エリオクロムブラックT(EBT)の変色
ヨウ素滴定(チオ硫酸ナトリウム-ヨウ素)デンプン指示薬の青色の変化(滴定の方向により消色または発色)

沈殿滴定(モール法)の終点は、指示薬のクロム酸カリウムが反応して生じるクロム酸銀の赤色沈殿で判別します。

滴定の間ずっと生じる「塩化銀の沈殿生成」そのものを終点とするのは誤りです。

pHの大小(最も小さいpH=最も強い酸)

同じ濃度(例:0.001 mol L⁻¹)の酸でpHが最も小さいのは、最も電離して水素イオンを多く出す強酸です。硝酸(1価強酸)や硫酸(2価強酸)はpHが小さく、酢酸・フッ化水素酸・炭酸などの弱酸はpHが大きめです。濃度と価数・電離度で考えます。

混同しやすいところ

塩基の標定 と 硝酸カリウム

水酸化ナトリウムの標定にはフタル酸水素カリウムやアミド硫酸を使います。中性塩の硝酸カリウムは標定に使えません。

EDTAの標定

EDTAは金属標準液(亜鉛など)で標定します。チオ硫酸ナトリウム(ヨウ素滴定用)ではありません。

沈殿滴定の終点

沈殿滴定(モール法)の終点は指示薬のクロム酸銀の赤色沈殿で判別します。滴定中ずっと生じる塩化銀の沈殿そのものではありません。

過去問でどう問われたか

容量分析は、分析に関する概論の問12で繰り返し(令和5年8月〜令和8年2月の6回中、令和7年8月を除く5回)出題されています。標定の組合せと終点が中心です。

年度問われ方・引っかけ
令和8年2月問12「EDTA溶液の標定にチオ硫酸ナトリウム」とした選択肢が誤り(金属標準液で標定)。
令和7年2月問12沈殿滴定(塩化ナトリウム-硝酸銀)の終点を「塩化銀の沈殿生成」とした選択肢が誤り(終点は指示薬=クロム酸銀の赤色で判別)。
令和6年8月問12「水酸化ナトリウム溶液の標定に硝酸カリウム」とした選択肢が誤り(中性塩で不可)。
令和6年2月問12「EDTA溶液の標定に硝酸カリウム溶液」とした選択肢が誤り。
令和5年8月問12「炭酸ナトリウムは水酸化ナトリウム溶液の標定に用いる」とした選択肢が誤り(炭酸ナトリウムは酸の標定)。

引っかけは次の型に整理できます。

  • 標定の組合せを取り違える(酸=炭酸ナトリウム、塩基=フタル酸水素カリウム)。
  • 中性塩(硝酸カリウム)を標定に使う(使えない)。
  • EDTAの標定をチオ硫酸・硝酸カリウムとする(金属標準液)。
  • 沈殿滴定の終点を「塩化銀の沈殿生成」とする(終点は指示薬=クロム酸銀の赤色)。

酸の標定は炭酸ナトリウム、塩基はフタル酸水素カリウム、EDTAは金属標準液。中性塩の硝酸カリウムは標定に使えず、沈殿滴定の終点は指示薬(クロム酸銀の赤色)で判別します。

理解度チェック

問題:水酸化ナトリウム溶液の標定には、硝酸カリウムが用いられる。

〇か×か。

答えを見る

答え:×

硝酸カリウムは中性塩で標定に使えません。水酸化ナトリウムの標定にはフタル酸水素カリウムやアミド硫酸を使います(令和6年8月 分析概論 問12の論点)。

問題:EDTA溶液の標定には、チオ硫酸ナトリウムが用いられる。

〇か×か。

答えを見る

答え:×

EDTAは金属標準液(亜鉛など)で標定します。チオ硫酸ナトリウムはヨウ素滴定に用います(令和8年2月 分析概論 問12の論点)。

問題:過マンガン酸カリウム溶液の標定には、シュウ酸ナトリウムが用いられる。

〇か×か。

答えを見る

答え:

過マンガン酸カリウム(酸化還元滴定)の標定にはシュウ酸ナトリウムを用います。終点は過マンガン酸イオンの赤紫の着色です。

まとめ

一次標準物質は化学的に安定な固体です。

酸の標定は炭酸ナトリウム、塩基の標定はフタル酸水素カリウムやアミド硫酸、硝酸銀は塩化ナトリウム、過マンガン酸カリウムはシュウ酸ナトリウム、EDTAは金属標準液で行います。

中性塩の硝酸カリウムは標定に使えません。

問12で毎年問われる引っかけは、標定の組合せ、中性塩の使用、EDTAの標定、沈殿滴定の終点です。

参考資料

  • 容量分析・滴定(一次標準物質=化学的に安定な固体、酸の標定=炭酸ナトリウム、塩基の標定=フタル酸水素カリウム・アミド硫酸、硝酸銀=塩化ナトリウム、過マンガン酸カリウム=シュウ酸ナトリウム、EDTA=金属標準液、各滴定の終点・指示薬)は、分析化学の基礎による。中性塩(硝酸カリウム)は標定に使えない。
  • 過去問の問われ方は、安全衛生技術試験協会の公表試験問題(分析に関する概論 問12、令和5年8月〜令和8年2月)にもとづく・公表正答。

この記事を書いた人

作業環境測定士 独学ノート 編集部

作業環境測定士試験を独学で受ける人のための学習ノートの編集部です。