編集部
「吸光度は比例、透過率は…?」で迷いますよね。吸光度は濃度にも光路長にも比例(A=εcl)。一方、透過率は反比例ではなく指数関数的に減ります。
この記事の要点
吸光度Aは透過率Tの逆数の対数(A=−log T)で、ランベルト・ベールの法則によりA=εcl(モル吸光係数ε×濃度c×光路長l)です。
吸光度は濃度と光路長に比例しますが、透過率は光路長に反比例ではなく指数関数的に減少します。検量線は直線範囲内で用い、可視領域の光源はタングステンランプです。
吸光光度分析法は、物質が光を吸収する性質を使って濃度を測る方法で、作業環境測定でも広く使われます。分析に関する概論の問13・問14でほぼ毎年問われます。
比例関係や用語の取り違えが引っかけの中心です。
吸光度A=−log T=εcl。吸光度は濃度・光路長に比例、透過率は反比例ではなく指数関数的に減少します。
吸光度と透過率の関係、そして濃度・光路長との関係が基本です。
A = −log T = log(1/T) = ε c l
このため、吸光度は濃度に比例し、光路長にも比例します。
一方、透過率は光路長に「反比例」するのではなく、指数関数的に減少します(吸光度が比例して増える=透過率は急に小さくなる)。
「透過率は光路の長さに反比例する」とするのは誤りです。
混同しやすいところ
吸光度 と 透過率
吸光度は濃度・光路長に比例(A=εcl)。透過率は光路長に反比例ではなく、指数関数的に減少します。比例するのは吸光度です。
可視 と 紫外(光源・セル)
可視はタングステンランプ・ガラスセル、紫外は重水素放電管・石英セルです。
吸収極大波長 と 溶媒
吸収極大波長は溶媒の種類で変化することがあります。「変化しない」は誤りです。
吸光光度分析法は、分析に関する概論の問13・問14で6回連続(令和5年8月〜令和8年2月)出題されています(問13が用語・装置、問14が計算)。比例関係・用語・装置が中心です。
| 年度 | 問 | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 令和8年2月 | 問13 | 「透過率は光路の長さに反比例する」とした選択肢が誤り(吸光度が光路長に比例)。 |
| 令和7年8月 | 問13 | 「吸光度は吸収極大波長で測定しなければならない」とした選択肢が誤り。吸光度は濃度・光路長に比例は正しい。 |
| 令和7年2月 | 問13 | 可視領域の光源を「重水素放電管」とした選択肢が誤り(タングステンランプ)。 |
| 令和6年8月 | 問13 | 「吸収極大波長は溶媒の種類を変えても変化しない」とした選択肢が誤り。 |
| 令和6年2月 | 問13 | 水中で青色を示す物質の可視部測定で、「測定波長の光は青色である」とした選択肢が誤り(青色の物質は補色の光を吸収するため)。 |
| 令和5年8月 | 問13 | 可視部に吸収があるのは銅イオン(Cu²⁺)。亜鉛・カルシウム・銀・バリウムは無色。 |
引っかけは次の型に整理できます。
吸光度A=−log T=εcl で濃度・光路長に比例。透過率は反比例でなく指数関数的に減少。可視の光源はタングステン、吸収極大波長は溶媒で変化します。
問題:透過率は、光路の長さに反比例する。
〇か×か。
答え:×
光路長に比例するのは吸光度です(A=εcl)。透過率は光路長とともに指数関数的に減少し、単純な反比例ではありません(令和8年2月 分析概論 問13の論点)。
問題:可視領域の吸光光度分析法では、光源に重水素放電管を用いる。
〇か×か。
答え:×
可視領域の光源はタングステンランプです。重水素放電管は紫外領域に用います(令和7年2月 分析概論 問13の論点)。
問題:吸光度は、測定対象物質の濃度に比例する。
〇か×か。
答え:〇
ランベルト・ベールの法則により、吸光度は濃度に比例し、光路長にも比例します(A=εcl)(令和7年8月 分析概論 問13の論点)。
吸光度Aは透過率Tの逆数の対数(A=−log T)で、ランベルト・ベールの法則によりA=εclです。
吸光度は濃度と光路長に比例し、透過率は反比例ではなく指数関数的に減少します。モル吸光係数は吸収極大波長で極大になり、検量線は直線範囲内で用います。
可視領域の光源はタングステンランプ、紫外は重水素放電管です。
問13・問14で毎年問われる引っかけは、透過率の比例関係、光源、吸収極大波長と溶媒、可視吸収のあるイオンです。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
色のある物質は可視部に吸収がある
可視部に吸収がある(色がついて見える)のは、銅イオン(Cu²⁺=青)などの遷移金属イオンです。亜鉛イオン・カルシウムイオン・バリウムイオン・銀イオンは無色で、可視部の吸収はほとんどありません。色の有無が可視吸光光度で測れるかの目安になります。