編集部
「一次標準物質は滴定で純度を決める」と書かれると迷いますよね。一次標準物質は高純度で安定なので、はかり取るだけで基準になります。
この記事の要点
試薬特級の純度は日本産業規格(JIS)で規格化。一次標準物質は高純度・安定で、秤量で基準にできる(滴定で純度を規定する必要はない)。酸類と塩基類は別々に保管します。
精製水は蒸留・逆浸透・イオン交換で作ります。逆浸透は浸透圧を超える圧力をかける方法、イオン交換では中性の有機成分は除けません。
分析用の試薬と精製水は、分析に関する概論の問9あたりで出ます。試薬の等級・標準物質・保管、精製水の作り方が問われます。
用語の意味(一次標準物質・逆浸透・イオン交換)を正確にすると、正誤が判定できます。標定は容量分析と滴定とつながります。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| 試薬特級 | 純度が日本産業規格(JIS)で規格化されている試薬 |
| 特殊規格の試薬 | 特定の分析を目的に、不純物の種類・濃度の許容レベルを定めた試薬 |
| 一次標準物質 | 高純度で安定。秤量するだけで濃度の基準にできる(滴定で純度を決める必要はない) |
| 保管 | 酸類と塩基類は、災害時の危険を避けるため別々に保管する |
空気中の二酸化炭素を吸って純度が下がる試薬(水酸化ナトリウムなど)もあります。試薬は性質に応じて適切に保管します。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 蒸留 | 蒸発・凝縮で精製。金属製・ガラス製の装置からはイオンの溶出がある |
| 逆浸透(RO) | 浸透圧を超える圧力をかけて水を膜に通し、イオンなどの不純物を除く |
| イオン交換 | イオンを除く。中性の有機成分は除けない |
| ろ過 | メンブランフィルター(孔径0.1〜0.2μm程度)で微粒子を除く |
混同しやすいところ
一次標準物質 と 滴定
一次標準物質は高純度・安定で、秤量するだけで濃度の基準にできます。滴定で純度を規定する必要があるとするのは誤りです(滴定で標定するのは一次標準物質を使って濃度を決める二次的な溶液のほうです)。
逆浸透 と 浸透圧
逆浸透は浸透圧を超える圧力をかけて水を通します。「浸透圧を超えてはならない」は誤りです。
イオン交換 と 有機成分
イオン交換はイオンを除きますが、中性の有機成分は除けません。
試薬と精製水は、分析に関する概論の問9あたり(令和5年8月〜令和8年2月)で「誤っている記述」を選ばせる形で出ます。
| 年度 | 問 | 誤りとされた記述 |
|---|---|---|
| 令和8年2月 | 問9 | 逆浸透法における加圧は、原料水の浸透圧を超えてはならない(実際は超える圧力をかける)。 |
| 令和6年8月 | 問9 | 一次標準物質は、滴定により純度を規定する必要がある(実際は秤量で基準にできる)。 |
| 令和5年8月 | 問9 | 一次標準物質は、滴定により純度を規定する必要がある(実際は秤量で基準にできる)。 |
引っかけは次の型に整理できます。
試薬特級はJISで規格化、一次標準物質は秤量で基準にでき滴定で純度を決めるものではない、逆浸透は浸透圧を超える圧力をかける、イオン交換は中性有機成分を除けない。これらの取り違えが定番の引っかけです。
問題:一次標準物質は、滴定により純度を規定する必要がある。
〇か×か。
答え:×
一次標準物質は高純度・安定で、秤量するだけで濃度の基準にできます(令和5年8月・令和6年8月 分析概論 問9)。
問題:逆浸透法における加圧は、原料水の浸透圧を超えてはならない。
〇か×か。
答え:×
逆浸透は浸透圧を超える圧力をかけて水を膜に通す方法です。超えなければ逆浸透が起こりません(令和8年2月 分析概論 問9)。
問題:イオン交換法では、中性の有機成分を除くことはできない。
〇か×か。
答え:〇
イオン交換はイオンを除きますが、中性の有機成分は除けません(令和8年2月 分析概論 問9の論点)。
分析用の試薬は、試薬特級(JISで規格化)・特殊規格・一次標準物質(秤量で基準にできる)があり、酸類と塩基類は別々に保管します。
精製水は蒸留・逆浸透・イオン交換で作り、逆浸透は浸透圧を超える圧力をかけ、イオン交換は中性の有機成分を除けません。
引っかけは、一次標準物質を滴定で純度規定する・逆浸透の加圧は浸透圧を超えてはならない、です。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
編集部メモ
試薬と精製水は、「一次標準物質は秤量で基準にできる」「逆浸透は浸透圧を超える」の2つの引っかけが繰り返し出ます。一次標準物質は容量分析と滴定の標定で、二次的な溶液の濃度を決めるのに使います。