編集部
「モル濃度から質量%」を聞かれると手が止まりますよね。濃度計算は、溶質の量・溶液の量・密度・モル質量の4つを行き来するだけです。
この記事の要点
質量パーセント濃度=溶質の質量÷溶液の質量×100。溶液の質量は体積×密度で出します(体積でなく質量で割るのが要)。
モル濃度(mol/L)×体積(L)=物質量(mol)、物質量×モル質量=質量。希釈では溶質の量は変わらないのが計算の軸です。
濃度計算は、分析に関する概論で毎年のように出る計算問題です。質量パーセント濃度・モル濃度・希釈・物質量が、年度ごとに数値を変えて繰り返し問われます。
機器の原理と違って、「溶質の量」「溶液の量」「密度」「モル質量」をつなぐ式を覚えれば確実に得点できる分野です。
| 求めるもの | 式 | ポイント |
|---|---|---|
| 質量パーセント濃度 | 溶質の質量 ÷ 溶液の質量 × 100 | 分母は溶液(溶質+溶媒)の質量。体積でなく質量 |
| 溶液の質量 | 体積 × 密度 | 密度 g/cm³ なら体積は cm³(mL)でそろえる |
| 物質量(mol) | モル濃度(mol/L) × 体積(L) | mL は L に直す(÷1000) |
| 溶質の質量 | 物質量(mol) × モル質量(g/mol) | µg・mg まで桁をそろえる |
「6.0 mol/L の水酸化ナトリウム溶液(密度1.20 g/cm³)の質量%は?モル質量40.0 g/mol」(令和5年8月 問5)。
公表正答は20%です。密度を使って溶液の質量に直すのが要点です。
「20.0%の塩酸(密度1.10 g/cm³)100 mL に精製水(密度1.00 g/cm³)100 mL を加えると質量%は?」(令和6年8月 問6)。
公表正答は10.5%です。体積を足して半分(10.0%)にするのは誤りで、密度が違うため質量で計算します。
令和8年2月 問5は逆向きで、「40.0%の硫酸(密度1.30)100 mL を10.0%にするのに必要な水は?」。
溶質=100×1.30×0.40=52 g、10%にするには溶液全体=52÷0.10=520 g、もとが130 g なので水は520−130=390 mL(公表正答390 mL)です。
「硫酸銅 1.00×10⁻⁴ mol/L の水溶液1.00 mL 中の銅の質量は?銅の原子量63.5」(令和6年8月 問11)。
公表正答は6.35×10⁻³ mgです。
令和7年2月 問11も同型で、「フタル酸水素カリウム 0.100 mol/L の水溶液1.00 mL 中の質量(モル質量204)」=0.100×1.00×10⁻³×204=20.4 mg(公表正答)です。
混同しやすいところ
質量パーセント濃度 と 体積
質量%は溶質の「質量」を溶液の「質量」で割ります。体積で割ったり、希釈で体積を単純に足して半分にするのは誤りです。密度を使って質量に直します。
モル濃度 と 物質量
モル濃度(mol/L)は1Lあたりの量。物質量(mol)はモル濃度×体積です。体積はLにそろえます(1 mL=1×10⁻³ L)。
溶液 と 溶質・溶媒
溶液=溶質+溶媒。質量%の分母は溶液(全体)の質量で、溶媒だけの質量ではありません。
濃度計算は、分析に関する概論の問5・問6・問11あたりで毎年(令和5年8月〜令和8年2月)形を変えて出ています。
| 年度 | 問 | 問われ方・型 | 公表正答 |
|---|---|---|---|
| 令和8年2月 | 問5 | 40.0%硫酸を10.0%に希釈する必要水量(密度で質量に直す) | 390 mL |
| 令和7年2月 | 問11 | 0.100 mol/L 溶液1.00 mL中のフタル酸水素カリウム質量 | 20.4 mg |
| 令和6年8月 | 問6 | 20.0%塩酸に等体積の水を加えた後の質量% | 約10.5% |
| 令和6年8月 | 問11 | 1.00×10⁻⁴ mol/L 溶液1.00 mL中の銅質量 | 6.35×10⁻³ mg |
| 令和5年8月 | 問5 | 6.0 mol/L・密度1.20の溶液の質量% | 20% |
| 令和5年8月 | 問11 | CaCO₃ 0.400 gの分解で生じるCO₂の物質量 | 0.004 mol |
計算の型は次に整理できます。
質量%=溶質質量÷溶液質量×100、溶液質量は体積×密度。希釈は溶質量が一定。モル濃度×体積=物質量、物質量×モル質量=質量。体積で割る・桁の取り違えが定番の引っかけです。
問題:6.0 mol/L・密度1.20 g/cm³ の水酸化ナトリウム溶液(モル質量40.0)の質量パーセント濃度は20%である。
〇か×か。
答え:〇
溶液1Lの質量=1000×1.20=1200 g、NaOH=6.0×40.0=240 g、240÷1200×100=20%です(令和5年8月 分析概論 問5)。
問題:20.0%の塩酸(密度1.10)100 mLに水(密度1.00)100 mLを加えると、質量%はちょうど10.0%になる。
〇か×か。
答え:×
溶質22 g÷溶液210 g×100=約10.5%です。密度が違うため、体積を足して半分にはなりません(令和6年8月 分析概論 問6)。
問題:1.00×10⁻⁴ mol/L の硫酸銅水溶液1.00 mL中の銅(原子量63.5)の質量は6.35×10⁻³ mgである。
〇か×か。
答え:〇
1.00×10⁻⁴×1.00×10⁻³=1.00×10⁻⁷ mol、×63.5=6.35×10⁻⁶ g=6.35×10⁻³ mgです(令和6年8月 分析概論 問11)。
濃度計算は、質量%=溶質質量÷溶液質量×100、溶液質量=体積×密度、物質量=モル濃度×体積、質量=物質量×モル質量、の4式で解けます。
希釈では溶質の量が一定であることを軸にします。
引っかけは、質量でなく体積で割る・希釈で体積を単純に半分にする・mLとL、gとmgの桁を間違える、の3つです。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
編集部メモ
濃度計算は、機器分析の原理問題より得点が安定します。覚える式は4つだけで、あとは単位(mL・L、g・mg・µg)をそろえる作業です。本番では「質量で割るのか体積で割るのか」を最初に決めると、引っかけ選択肢に引き込まれにくくなります。