編集部
「同じ0.1 mol/LでどれのpHが小さい?」は、強酸か弱酸か・何価かで決まります。中和は、酸のH⁺と塩基のOH⁻のmol差を全体積で割るだけ。余ったのが酸か塩基かで道が分かれます。
この記事の要点
強酸の水素イオン濃度=濃度×価数。pH=−log[H⁺]。同じ濃度なら2価の強酸(硫酸)がpH最小、弱酸(酢酸・フッ化水素酸)はpH最大。
中和はH⁺のmolとOH⁻のmolの差を、混合後の全体積で割る。塩基が余ったときは[OH⁻]を出し、水のイオン積([H⁺][OH⁻]=1.0×10⁻¹⁴)から[H⁺]を求めます。
pHと中和は、分析に関する概論の問5・問6・問11あたりで毎年出ます。「どの酸のpHが最も小さい(大きい)か」「希釈・中和後の水素イオン濃度」が中心です。
酸の強弱と価数、そしてmolで考える中和、この2点が核になる計算分野です。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| pHの定義 | pH=−log[H⁺] | [H⁺]が大きいほどpHは小さい |
| 強酸の[H⁺] | 濃度 × 価数 | 完全に電離する(塩酸・硝酸・硫酸など) |
| 弱酸の[H⁺] | 濃度×価数より小さい | 一部しか電離しない(酢酸・フッ化水素酸など) |
| 水のイオン積 | [H⁺][OH⁻]=1.0×10⁻¹⁴ | 塩基性側で[H⁺]を出すのに使う |
| 酸 | 強弱 | 価数 | 0.1 mol/Lでの[H⁺]の目安 |
|---|---|---|---|
| 塩酸・硝酸・ヨウ化水素酸 | 強酸 | 1価 | 約0.1(=濃度×1) |
| 硫酸 | 強酸 | 2価 | 約0.2(=濃度×2)→pH最小 |
| 酢酸・フッ化水素酸・炭酸 | 弱酸 | 一部のみ電離 | 0.1より小さい→pH大きい |
「0.1 mol/LでpHが最も小さいのは?」(令和6年2月 問5・令和7年8月 問12)の答えは硫酸です。2価の強酸なので[H⁺]が約0.2と最も大きくなります。
逆に「0.1 mol/LでpHが最も大きいのは?」(令和8年2月 問6)はフッ化水素酸で、弱酸なので電離が一部にとどまり[H⁺]が小さくなります。
強酸を水で薄めると、[H⁺]も同じ割合で薄まります。「14 mol/Lの硝酸10 mLを水で1000 mLに希釈したときの[H⁺]は?」(令和7年2月 問5)。
公表正答は0.14 mol/Lです。同じ問いで「200 mLに希釈」(令和7年8月 問5)なら、14×(10÷200)=0.70 mol/L で[H⁺]は0.70 mol/L(公表正答)です。
中和はH⁺のmolとOH⁻のmolを比べ、差を混合後の全体積で割ります。
「2.00×10⁻² mol/Lの塩酸10.0 mLと1.00×10⁻² mol/Lの水酸化ナトリウム10.0 mLを混合したときの[H⁺]は?」(令和6年2月 問11)。
公表正答は5.0×10⁻³ mol/Lです。
混同しやすいところ
強酸 と 弱酸
強酸(塩酸・硝酸・硫酸など)は完全に電離し[H⁺]=濃度×価数。弱酸(酢酸・フッ化水素酸・炭酸)は一部しか電離せず、同じ濃度でも[H⁺]が小さくpHは大きくなります。
価数
同じ強酸でも、硫酸は2価なので[H⁺]は1価の塩酸・硝酸の2倍。同濃度ではpHが最も小さくなります。
酸過剰 と 塩基過剰
中和でH⁺が余れば[H⁺]=余り÷全体積。OH⁻が余れば、まず[OH⁻]を出し、水のイオン積(1.0×10⁻¹⁴)から[H⁺]を求めます。
pH・中和は、分析に関する概論の問5・問6・問11・問12あたりで毎年(令和5年8月〜令和8年2月)形を変えて出ています。
| 年度 | 問 | 問われ方・型 | 公表正答 |
|---|---|---|---|
| 令和8年2月 | 問6 | 0.1 mol/LでpHが最大の酸(弱酸) | フッ化水素酸 |
| 令和8年2月 | 問11 | 塩基が余る中和後の[H⁺](水のイオン積を使う) | 1.0×10⁻¹² |
| 令和7年8月 | 問5 | 14 mol/Lの硝酸を200 mLに希釈した[H⁺] | 0.70 mol/L |
| 令和7年8月 | 問12 | 0.001 mol/LでpHが最小の酸(2価強酸) | 硫酸 |
| 令和7年2月 | 問5 | 14 mol/Lの硝酸を1000 mLに希釈した[H⁺] | 0.14 mol/L |
| 令和6年2月 | 問5 | 0.1 mol/LでpHが最小の酸(2価強酸) | 硫酸 |
| 令和6年2月 | 問11 | 酸が余る中和後の[H⁺] | 5.0×10⁻³ |
計算の型は次に整理できます。
強酸の[H⁺]=濃度×価数、pH=−log[H⁺]。硫酸は2価でpH最小、弱酸はpH最大。中和はH⁺とOH⁻のmol差を全体積で割り、塩基が余れば水のイオン積から[H⁺]を出します。価数の見落とし・強弱の取り違えが定番の引っかけです。
問題:同じ0.1 mol/Lの水溶液では、硫酸が最もpHが小さい。
〇か×か。
答え:〇
硫酸は2価の強酸なので[H⁺]が約0.2と最も大きく、pHが最小です(令和6年2月・令和7年8月 分析概論)。
問題:14 mol/Lの硝酸10 mLを水で1000 mLに希釈すると、水素イオン濃度は0.14 mol/Lである。
〇か×か。
答え:〇
硝酸は1価の強酸。14×(10÷1000)=0.14 mol/L、[H⁺]も0.14 mol/Lです(令和7年2月 分析概論 問5)。
問題:2.00×10⁻² mol/Lの塩酸10.0 mLと1.00×10⁻² mol/Lの水酸化ナトリウム10.0 mLを混合すると、水素イオン濃度は5.0×10⁻³ mol/Lである。
〇か×か。
答え:〇
H⁺=2.0×10⁻⁴ mol、OH⁻=1.0×10⁻⁴ mol、余り1.0×10⁻⁴ mol÷0.020 L=5.0×10⁻³ mol/Lです(令和6年2月 分析概論 問11)。
pHは−log[H⁺]で、強酸の[H⁺]は濃度×価数です。同じ濃度なら2価の硫酸がpH最小、弱酸(酢酸・フッ化水素酸・炭酸)はpH最大になります。希釈では[H⁺]も同じ割合で薄まります。
中和はH⁺とOH⁻のmol差を混合後の全体積で割り、塩基が余ったときは水のイオン積(1.0×10⁻¹⁴)から[H⁺]を出します。価数の見落としと強弱の取り違えが引っかけです。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
編集部メモ
pH問題は、最初に「強酸か弱酸か」「何価か」を判定するだけで選択肢が絞れます。中和はmolで考えて、最後に全体積で割るのを忘れないことです。塩基が余るパターンは水のイオン積を使います。