編集部
気体の問題は「PV=nRT」一本で大半が解けます。分圧も分子量も密度も、状態方程式から派生します。標準ガスのppm換算も、突き詰めると気体の体積とモル数の話です。
この記事の要点
理想気体の状態方程式 PV=nRTが軸。物質量 n=PV/RT、分子量 M=質量÷n。25℃・1気圧のモル体積は約24.4 L/mol(気体定数R=0.082 atm L mol⁻¹K⁻¹)。
分圧=全圧×モル分率。気体の密度は圧力に比例・絶対温度に反比例(P/Tに比例)。温度は必ず絶対温度(K)で計算します。
気体の計算は、分析に関する概論の問4・問7あたりで毎年出ます。
分圧・分子量・密度・標準ガスのppm換算と形は変わりますが、どれも理想気体の状態方程式 PV=nRT から導けるのが特徴です。
温度をセルシウス(℃)のまま使わず、絶対温度(K=℃+273)に直すのが共通の注意点です。
| 求めるもの | 式 | ポイント |
|---|---|---|
| 物質量 n | n = PV / RT | R=0.082 atm L mol⁻¹K⁻¹、温度はK |
| 分子量 M | M = 質量 ÷ n | nを状態方程式から先に出す |
| 分圧 | 全圧 × モル分率 | モル分率=その成分のmol ÷ 全体のmol |
| 密度の比 | ρ₂/ρ₁ = (P₂/P₁)×(T₁/T₂) | 密度はP/Tに比例(同じ気体) |
| モル体積 | 25℃1気圧で約24.4 L/mol | RT/P=0.082×298÷1 |
「メタン4 g と二酸化炭素11 g の混合気体を1.0気圧にしたとき、メタンの分圧は?」(令和6年2月 問4)。
公表正答は0.5気圧です。分圧は質量比ではなくモル比(モル分率)で決まるのが要点です。
「容積5.0 Lの容器に液体X 1.0 gを入れ127℃にすると完全に気化して0.084気圧を示した。Xの分子量は?R=0.082」(令和7年2月 問4)。
公表正答は78です。温度をKに直さず400を400℃などと扱うとずれます。
「ある気体の密度が27℃・1.0気圧で1.3 g/L。117℃・2.0気圧での密度は?」(令和7年8月 問4)。
公表正答は2.0 g/Lです。圧力を上げると密度は増え、温度を上げると密度は減ります。
標準ガスは体積比(ppm)で扱います。「液体トルエン3.0 mg(モル質量92)を気化させ100 Lにしたときの濃度は?25℃・1気圧、R=0.082」(令和6年2月 問7)。
公表正答は8 ppmです。
逆に「10 ppmの標準ガス100 Lに必要なメチルエチルケトン(モル質量72)の質量は?」(令和6年8月 問8)は、気体の体積=10×10⁻⁶×100 L=1.0 mL、物質量=1.0÷24400=4.1×10⁻⁵ mol、質量=×72=約3.0 mg(公表正答3.0 mg)です。
混同しやすいところ
分圧 と 質量比
分圧は全圧×モル分率で、モル比で決まります。質量比で分けるのは誤りです。
温度 ℃ と K
状態方程式・密度・分圧の計算は、必ず絶対温度(K=℃+273)で行います。℃のまま計算すると値がずれます。
気体のモル数 と 圧力
体積・温度が一定なら、圧力は気体のモル数に比例します。反応でモル数が変わらなければ圧力も変わりません。
気体計算は、分析に関する概論の問4・問7あたりで毎年(令和5年8月〜令和8年2月)形を変えて出ています。
| 年度 | 問 | 問われ方・型 | 公表正答 |
|---|---|---|---|
| 令和8年2月 | 問4 | 炭素と酸素の燃焼後のCO₂の圧力(モル数不変) | 1.0気圧 |
| 令和7年8月 | 問4 | 気体の密度の温度・圧力換算(P/Tに比例) | 2.0 g/L |
| 令和7年2月 | 問4 | 気化させた物質Xの分子量(PV=nRTの逆算) | 78 |
| 令和6年8月 | 問4 | 炭素と酸素の燃焼後のCO₂の圧力(モル数不変) | 1.0気圧 |
| 令和6年8月 | 問8 | 10 ppm標準ガス100 Lに必要なMEKの質量 | 3.0 mg |
| 令和6年2月 | 問4 | 混合気体中のメタンの分圧(全圧×モル分率) | 0.5気圧 |
| 令和6年2月 | 問7 | 気化させたトルエンの標準ガス濃度(ppm) | 8 ppm |
計算の型は次に整理できます。
PV=nRTが軸。分圧は全圧×モル分率(モル比)、分子量は質量÷n、密度はP/Tに比例。温度は必ず絶対温度(K)で計算。℃のまま使う・質量比で分圧を出すのが定番の引っかけです。
問題:メタン4 g(分子量16)と二酸化炭素11 g(分子量44)の混合気体を1.0気圧にすると、メタンの分圧は0.5気圧である。
〇か×か。
答え:〇
どちらも0.25 mol、モル分率0.5、分圧=1.0×0.5=0.5気圧です(令和6年2月 分析概論 問4)。
問題:液体X 1.0 gを5.0 Lの容器で127℃にすると0.084気圧を示した。Xの分子量は約78である(R=0.082)。
〇か×か。
答え:〇
n=PV/RT=(0.084×5.0)÷(0.082×400)=0.0128 mol、分子量=1.0÷0.0128=約78です(令和7年2月 分析概論 問4)。
問題:炭素と酸素を密閉容器で燃やし酸素をすべて二酸化炭素にすると、温度・体積が同じでも圧力は2倍になる。
〇か×か。
答え:×
O₂→CO₂で気体のモル数は変わらないため、温度・体積が同じなら圧力も同じ(1.0気圧のまま)です(令和6年8月・令和8年2月 分析概論 問4)。
気体の計算は、理想気体の状態方程式 PV=nRT が軸です。分圧は全圧×モル分率、分子量は質量÷n(n=PV/RT)、密度はP/Tに比例します。
標準ガスは体積比(ppm)で、25℃・1気圧のモル体積24.4 L/molを使って気体の体積に直します。
共通の注意点は、温度を絶対温度(K)に直すことと、分圧をモル比で分けることです。℃のまま計算する・質量比で分圧を出すのが引っかけです。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
編集部メモ
気体の問題は、最初に「温度をKに直す」「molに直す」の2手を機械的にやると、あとは状態方程式に入れるだけになります。標準ガスのppm換算は標準ガスの調製とつながります。