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ろ過捕集法とフィルター(捕集機構・最大透過粒径・遊離けい酸)|作業環境測定士

編集部

「ろ過=小さい粒子ほど捕れない」と思い込むと間違えます。実は0.1〜0.3μmが最も捕れにくく、それより小さいと拡散でまた捕れます。捕集機構を知ると、引っかけに強くなります。

この記事の要点

ろ過捕集はフィルターで粒子状物質をとらえます。捕集機構はさえぎり・慣性衝突・拡散・静電気・重力捕集率は粒径0.1〜0.3μmで最も低く、それより小さい粒子は拡散効果でまた捕集されます。

石綿粉じんはオープンフェース型ホルダー+メンブランフィルター鉱物性粉じん中の遊離けい酸は分粒装置付きホルダーを使います。

ろ過捕集法は、デザイン・サンプリングの問12で毎年のように出ます。

捕集法の種類のうち粒子状物質をとらえる方法で、捕集機構・最も捕れにくい粒径・フィルターやホルダーの使い分けが問われます。

捕集機構と捕集率

フィルターは「網の目より小さければ通る」という単純なふるいではありません。次の機構で粒子をとらえます。

  • さえぎり(直接捕集)…繊維に触れてとらえる。
  • 慣性衝突…大きい粒子が流れを曲がりきれず繊維に衝突する。
  • 拡散…小さい粒子が不規則に動いて繊維に触れる。
  • 静電気・重力…帯電や重さでとらえる。

大きい粒子は慣性衝突、小さい粒子は拡散でよく捕れます。その中間の0.1〜0.3μm程度の粒子が最も捕れにくく、捕集率が最も低くなります(最も透過しやすい粒径)。

また、ろ過流速が速いほど、拡散作用による捕集率は減少します。

フィルターとホルダーの使い分け

対象フィルター・ホルダー
石綿粉じんメンブランフィルター+オープンフェース型ホルダー
鉱物性粉じん中の遊離けい酸分粒装置付きホルダー(吸入性粉じんを分けて捕集)
鉱物性粉じん(一般)グラスファイバー(ガラス繊維)フィルター

メンブランフィルターは表面で粒子をとらえる割合が大きく、ガラス繊維ろ紙に比べて粉じんの堆積による通気抵抗の増加が大きくなります。

遊離けい酸の分析では、肺の奥に達する吸入性粉じんを対象にするため、分粒装置(サイクロンなど)で大きい粒子を取り除いてから捕集します。オープンフェース型ホルダー(分粒しないで全部捕る)を遊離けい酸の捕集に使うとするのは誤りです。一方、石綿粉じんはオープンフェース型ホルダー+メンブランフィルターを使います。対象によってホルダーが変わる点が問われます。

混同しやすいところ

小さい粒子ほど捕れない という思い込み

最も捕れにくいのは0.1〜0.3μmの中間粒径です。それより小さい粒子は拡散効果でまた捕集されます。

ろ過流速 と 拡散捕集率

ろ過流速が速いほど、拡散作用による捕集率は減少します。「増加する」は誤りです。

オープンフェース型 と 分粒装置付き

石綿粉じんはオープンフェース型ホルダー、遊離けい酸(吸入性粉じん)は分粒装置付きホルダーです。

過去問でどう問われたか

ろ過捕集法は、デザイン・サンプリングの問12で毎年(令和5年8月〜令和8年2月)「誤っている記述」を選ばせる形で出ます。

年度誤りとされた記述
令和8年2月問12ろ過流速が速いほど拡散作用による捕集率は増加する(実際は減少)。
令和5年8月問12遊離けい酸の分析サンプルの捕集にオープンフェース型ホルダーを用いる(分粒装置付きが適切)。

引っかけは次の型に整理できます。

  • ろ過流速が速いほど拡散捕集率が増加するとする(減少する)。
  • 捕集率が最も低い粒径を取り違える(0.1〜0.3μmで最も低い)。
  • 遊離けい酸にオープンフェース型ホルダーを使うとする(分粒装置付き)。

捕集機構はさえぎり・慣性衝突・拡散など。捕集率は0.1〜0.3μmで最も低い。流速が速いほど拡散捕集率は減少。石綿はオープンフェース+メンブラン、遊離けい酸は分粒装置付き。これらの取り違えが定番の引っかけです。

編集部メモ

ろ過捕集は、「0.1〜0.3μmが最も捕れにくい」という直感に反する事実が問われます。捕集機構は、大きい粒子は慣性衝突、小さい粒子は拡散です。石綿(オープンフェース)と遊離けい酸(分粒装置付き)でホルダーが違います。じん肺・粉じんともつながります。

理解度チェック

問題:フィルターによる粒子の捕集率は、粒径が0.1〜0.3μm程度の粒子で最も低くなる。

〇か×か。

答えを見る

答え:

0.1〜0.3μmが最も透過しやすく捕集率が最も低くなります。それより小さい粒子は拡散効果でまた捕集されます(令和8年2月ほか デザイン・サンプリング 問12)。

問題:ガラス繊維ろ紙による微細粒子の捕集では、ろ過流速が速いほど拡散作用による捕集率は増加する。

〇か×か。

答えを見る

答え:×

ろ過流速が速いほど、拡散作用による捕集率は減少します(令和8年2月 デザイン・サンプリング 問12)。

問題:鉱物性粉じん中の遊離けい酸の分析サンプルの捕集には、分粒装置付きホルダーを用いる。

〇か×か。

答えを見る

答え:

遊離けい酸は吸入性粉じんを対象にするため、分粒装置付きホルダーを用います。オープンフェース型は誤りです(令和5年8月 デザイン・サンプリング 問12)。

まとめ

ろ過捕集法は、さえぎり・慣性衝突・拡散などの機構で粒子をとらえます。捕集率は0.1〜0.3μmで最も低く、ろ過流速が速いほど拡散捕集率は減少します。

石綿粉じんはオープンフェース型ホルダー+メンブランフィルター、遊離けい酸は分粒装置付きホルダーを使います。

引っかけは、最も捕れにくい粒径の取り違え・流速と拡散捕集率の関係・ホルダーの使い分けです。

参考資料

  • ろ過捕集の捕集機構(さえぎり・慣性衝突・拡散・静電気・重力)、捕集率が最も低い粒径(0.1〜0.3μm程度)、ろ過流速と拡散捕集率の関係、フィルター(メンブラン・ガラス繊維)とホルダー(石綿=オープンフェース型、遊離けい酸=分粒装置付き)の使い分けは、作業環境測定の捕集法・粉じん測定の基礎による。物質ごとの正式な捕集・分析法は作業環境測定基準等による。
  • 過去問の問われ方は、安全衛生技術試験協会の公表試験問題(デザイン・サンプリング 問12、令和5年8月〜令和8年2月)にもとづく。誤りとされた記述は公表正答による。

この記事を書いた人

作業環境測定士 独学ノート 編集部

作業環境測定士試験を独学で受ける人のための学習ノートの編集部です。