編集部
「この物質にはどの捕集器具?」の組合せ問題は、毎年出ます。物質の状態(粒子かガスか)と性質(極性・水溶性)で器具が決まります。物質名を全部覚えなくても、見分けの軸を持てば不適当な組合せを見抜けます。
この記事の要点
粒子状物質(粉じん・ヒューム・ミスト)はろ過材(メンブランフィルター・ガラス繊維ろ紙)。有機溶剤の蒸気は活性炭管(固体捕集)。極性が高いガス状物質はシリカゲル管。反応性・水溶性のガスは液体捕集(ミゼットインピンジャー・バブラー・吸収管)です。
引っかけはガス状物質に当てる固体捕集剤を取り違える・粒子状物質を固体捕集にするパターンです。
有害物質と捕集器具・ろ過材の組合せは、デザイン・サンプリングの問9で毎年のように出ます。
捕集法の種類を前提に、物質の状態(粒子かガスか)と性質(極性・水溶性)で器具を選ぶ軸を持つと、組合せの正誤が判定できます。
| 物質の状態・性質 | 捕集器具・ろ過材 | 例 |
|---|---|---|
| 粒子状(粉じん・ヒューム・ミスト) | ろ過材(メンブランフィルター・ガラス繊維ろ紙) | 金属・コールタール・クロム酸ミスト |
| 非極性〜中極性の有機溶剤蒸気 | 活性炭管(固体捕集) | トリクロロエチレン・酢酸エチル・ヨウ化メチル |
| 極性が高いガス状物質 | シリカゲル管(固体捕集) | 極性の高い物質・アルコール類など |
| 反応性・水溶性のガス | 液体捕集(ミゼットインピンジャー・バブラー・小型ガス吸収管) | シアン化水素・硫化水素・水銀 |
活性炭は非極性の物質をよく吸着し、シリカゲルは極性の高い物質の吸着に向きます。水に溶けやすい反応性のガスは、捕集液に溶かす液体捕集を使います。
組合せ問題は、デザイン・サンプリングの問9で毎年(令和5年8月〜令和8年2月)「不適当(誤り)な組合せ」を選ばせる形で出ます。
| 年度 | 問 | 不適当(誤り)とされた組合せ |
|---|---|---|
| 令和8年2月 | 問9 | ヨウ化メチル × シリカゲル管(活性炭管が適当)。 |
| 令和7年2月 | 問9 | クロム酸ミスト × シリカゲル管(ミスト=粒子状なのでろ過材)。 |
| 令和6年8月 | 問9 | ヨウ化メチル × シリカゲル管(活性炭管が適当)。 |
| 令和5年8月 | 問9 | N,N-ジメチルホルムアミド × ミゼットインピンジャー(固体捕集が適当)。 |
引っかけは次の型に整理できます。
混同しやすいところ
活性炭管 と シリカゲル管
どちらも固体捕集の吸着管ですが、活性炭は非極性の物質、シリカゲルは極性の高い物質の吸着に向きます。有機溶剤の多くは活性炭管です。
固体捕集 と ろ過材
ガス・蒸気は固体捕集(吸着管)、粒子状物質(粉じん・ヒューム・ミスト)はろ過材です。ミストは液体の粒子で、粒子状として扱います。
固体捕集 と 液体捕集
反応性・水溶性のガスは、捕集液に溶かす液体捕集(ミゼットインピンジャー・バブラー・吸収管)を使います。
粒子状はろ過材、有機溶剤蒸気は活性炭管、極性ガスはシリカゲル管、反応性・水溶性ガスは液体捕集です。ガス状の有機溶剤にシリカゲル管を当てる・粒子状を固体捕集にするのが定番の引っかけです。
問題:ヨウ化メチルの捕集には、シリカゲル管を用いるのが適当である。
〇か×か。
答え:×
ヨウ化メチルは活性炭管(固体捕集)が適当です。シリカゲル管との組合せは不適当として出題されました(令和6年8月・令和8年2月 デザイン・サンプリング 問9)。
問題:クロム酸ミストの捕集には、シリカゲル管を用いるのが適当である。
〇か×か。
答え:×
ミストは液体の粒子状物質なので、ろ過材(メンブランフィルターなど)でとらえます。シリカゲル管は不適切です(令和7年2月 デザイン・サンプリング 問9)。
問題:硫化水素の捕集には、小型ガス吸収管などの液体捕集を用いることができる。
〇か×か。
答え:〇
反応性・水溶性のガスは液体捕集が適します。硫化水素×小型ガス吸収管は正しい組合せとして出題されました(令和6年8月 デザイン・サンプリング 問9)。
有害物質と捕集器具の組合せは、粒子状はろ過材、有機溶剤蒸気は活性炭管、極性が高いガス状物質はシリカゲル管、反応性・水溶性ガスは液体捕集、という軸で選びます。
引っかけは、ガス状の有機溶剤にシリカゲル管を当てる・粒子状を固体捕集にする、です。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
編集部メモ
この組合せ問題は、物質名を丸暗記しなくても「粒子かガスか」「極性か非極性か・水に溶けるか」で大半が判定できます。物質ごとの正式な分析法は作業環境測定基準や各物質の標準分析法で定まっていますが、試験で問われるのはこの大枠です。詳しくは捕集法の種類を参照してください。