編集部
固体捕集は「何で吸着するか」「どう脱着するか」が問われます。活性炭は非極性、シリカゲルは極性。脱着は溶媒か加熱か。問11は毎年この軸で問われます。
この記事の要点
固体捕集は、吸着剤の管に空気を通してガス・蒸気を吸着させる方法です。活性炭は非極性物質、シリカゲルは極性物質の吸着に向きます。有機溶剤蒸気の捕集容量は活性炭がポーラスポリマーより大きいです。
脱着は溶媒脱着(二硫化炭素など)と加熱脱着。加熱脱着は熱分解しやすい物質には不向きです。捕集容量を超えると破過して後ろへ抜けます。
固体捕集法は、デザイン・サンプリングの問11で毎年のように出ます。
捕集法の種類のうちガス・蒸気をとらえる代表的な方法で、吸着剤の選び方・脱着の方法・破過の考え方が問われます。
物質ごとの器具の選び方は有害物質と捕集器具の組合せを参照してください。
| 吸着剤 | 向く物質 | 特徴 |
|---|---|---|
| 活性炭 | 非極性の有機溶剤蒸気 | 捕集容量が大きい。溶媒脱着(二硫化炭素)が一般的。活性化は約200℃の加熱・脱水 |
| シリカゲル | 極性が高いガス状物質 | ミストの捕集には不適当。活性化は100〜110℃で約1時間加熱 |
| ポーラスポリマー | 各種有機物 | 活性炭管より加熱脱着が容易。有機溶剤蒸気の捕集容量は活性炭より小さい |
ガスクロマトグラフ分析用のカラム充塡剤が、固体捕集の捕集剤として使われることもあります。
混同しやすいところ
活性炭 と シリカゲル
活性炭は非極性の物質、シリカゲルは極性の高い物質の吸着に向きます。有機溶剤蒸気の多くは活性炭です。
活性炭 と ポーラスポリマー
有機溶剤蒸気の捕集容量は活性炭のほうが大きく、ポーラスポリマーのほうが小さいです。一方、加熱脱着はポーラスポリマー管のほうが容易です。
溶媒脱着 と 加熱脱着
溶媒脱着は溶媒で溶かし出す方法、加熱脱着は加熱で気化させる方法です。加熱脱着は熱分解しやすい物質には向きません。
固体捕集法は、デザイン・サンプリングの問11で毎年(令和5年8月〜令和8年2月)「誤っている記述」を選ばせる形で出ます。
| 年度 | 問 | 誤りとされた記述 |
|---|---|---|
| 令和8年2月 | 問11 | 加熱脱着・パージトラップ法は熱分解する可能性のある物質に適している(実際は不向き)。 |
| 令和5年8月 | 問11 | ポーラスポリマービーズは活性炭に比べ有機溶剤蒸気の捕集容量が大きい(実際は活性炭が大きい)。 |
引っかけは次の型に整理できます。
活性炭は非極性、シリカゲルは極性、活性炭の捕集容量はポーラスポリマーより大きい。脱着は溶媒脱着と加熱脱着で、加熱脱着は熱分解物質に不向き。捕集容量を超えると破過します。これらの取り違えが定番の引っかけです。
問題:有機溶剤蒸気の単位重量当たりの捕集容量は、ポーラスポリマービーズのほうが活性炭より大きい。
〇か×か。
答え:×
有機溶剤蒸気の捕集容量は活性炭のほうが大きいです(令和5年8月 デザイン・サンプリング 問11)。
問題:加熱脱着・パージトラップ法は、熱分解する可能性のある物質に適している。
〇か×か。
答え:×
加熱脱着は加熱で物質を気化させるため、熱分解しやすい物質には向きません(令和8年2月 デザイン・サンプリング 問11)。
問題:固体捕集で吸着剤の捕集容量を超えると、とらえきれない物質が後ろへ抜ける「破過」が起こる。
〇か×か。
答え:〇
破過すると正しく定量できません。捕集管を2本直列にして後段で確認します。
固体捕集法は、活性炭(非極性)・シリカゲル(極性)・ポーラスポリマーなどの吸着剤でガス・蒸気をとらえます。
有機溶剤蒸気の捕集容量は活性炭が大きく、加熱脱着はポーラスポリマー管が容易です。脱着は溶媒脱着と加熱脱着があり、加熱脱着は熱分解物質に向きません。
捕集容量を超えると破過するため、2本直列で確認します。吸着剤と脱着の取り違えが引っかけです。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
編集部メモ
固体捕集は、吸着剤(活性炭=非極性・シリカゲル=極性)と脱着(溶媒・加熱)の2軸で、問11の選択肢がほぼ判定できます。破過は2本直列で確認する、という点も頻出です。捕集法の種類・物質と捕集器具の組合せとセットで固めると効率的です。