T
契約書に何を書くのか、16も並ぶと覚えられません。
実務で当たり前に書くものが、法律の項目とは限らないのも厄介です。
この記事の要点
書面に記載するのは第19条第1項の16項目です。当事者の両方が署名または記名押印をして相互に交付します。
16項目に技術者の氏名は入っていません。実務では書きますが、法律が求めている項目ではありません。
見積期間は予定価格で1日・10日・15日の3段です。決めているのは法ではなく施行令です。
出題は「16項目に入っているか」を1つずつ問う形です。
並びを丸暗記するより、入っていないものを覚えるほうが速く済みます。
第18条が1文で置いています。
建設業法 第18条(建設工事の請負契約の原則)
建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。
キーワードは対等な立場、公正な契約、信義に従い誠実に履行の3つです。
この後に続く第19条以降は、すべてこの原則を具体化したものになります。
第19条第1項が16項目を挙げています。
建設業法 第19条第1項(柱書)
建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
義務を負うのは当事者の両方です。片方が作って渡すのではなく、相互に交付します。
| 号 | 記載する事項 |
|---|---|
| 一 | 工事内容 |
| 二 | 請負代金の額 |
| 三 | 工事着手の時期及び工事完成の時期 |
| 四 | 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容 |
| 五 | 前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その時期及び方法 |
| 六 | 設計変更、工事着手の延期、工事の中止の申出があった場合の工期の変更等の定め |
| 七 | 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法 |
| 八 | 価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更等 |
| 九 | 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め |
| 十 | 注文者が資材を提供し、又は機械を貸与するときは、その内容及び方法 |
| 十一 | 注文者が完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期 |
| 十二 | 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法 |
| 十三 | 契約の内容に適合しない場合の不適合を担保すべき責任等の定めをするときは、その内容 |
| 十四 | 債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金 |
| 十五 | 契約に関する紛争の解決方法 |
| 十六 | その他国土交通省令で定める事項 |
第16号がその他国土交通省令で定める事項になっているので、法律に並ぶのは15項目と1つの受け皿です。
第2項が変更にも同じ形を求めています。
建設業法 第19条第2項
請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
変更のときも書面に記載して相互に交付です。口頭での合意では足りません。
第3項により、相手方の承諾を得れば電子情報処理組織を使用する方法などに代えられます。
法が政令に委ね、施行令が3段に分けています。
建設業法施行令 第5条の9(建設工事の見積期間)
法第二十条第三項に規定する見積期間は、次に掲げるとおりとする。ただし、やむを得ない事情があるときは、第二号及び第三号の期間は、五日以内に限り短縮することができる。
一 工事一件の予定価格が五百万円に満たない工事については、一日以上
二 工事一件の予定価格が五百万円以上五千万円に満たない工事については、十日以上
三 工事一件の予定価格が五千万円以上の工事については、十五日以上
短縮できるのは第二号と第三号だけで、幅も5日以内に限られます。1日以上の区分は短縮できません。
提示する内容にも限定があり、法第20条第3項は第19条第1項各号(第二号を除く)としています。請負代金の額は提示の対象から外れます。
第22条が出す側と受ける側の両方を禁じています。
建設業法 第22条第1項〜第3項(抜粋)
1 建設業者は、その請け負つた建設工事を、いかなる方法をもつてするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負つた建設工事を一括して請け負つてはならない。
3 前二項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。
例外が認められるのは政令で定める重要な建設工事以外で、かつあらかじめ発注者の書面による承諾を得たときです。
承諾するのは発注者で、注文者一般ではありません。事後の承諾では要件を満たしません。
第19条の3が両方向で禁じています。
建設業法 第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)
1 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
2 建設業者は、(中略)正当な理由がある場合を除き、その請け負う建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
基準は通常必要と認められる原価です。第1項は注文者、第2項は建設業者にかかります。
建設業法が定める許可の区分は指定建設業と管工事業で扱っています。
請負契約の書面は誰が誰に交付するか。
当事者が署名または記名押印をして相互に交付します。一方が他方に渡すだけではありません。
第19条第1項の16項目に入っていない、まぎらわしいものは何か。
主任技術者または監理技術者の氏名です。令和6年度1級で規定されていないものとして問われました。
予定価格が5,000万円以上の工事で、注文者が設ける見積期間はいくつか。
15日以上です。やむを得ない事情があれば5日以内に限り短縮できます。
見積期間で短縮が認められないのはどの区分か。
予定価格500万円未満の1日以上の区分です。短縮できるのは第二号と第三号だけです。
一括下請負の禁止が適用されない場合の要件は何か。
政令で定める重要な建設工事以外であり、かつ元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときです。
公共工事では別の法令により一括下請負が全面的に禁じられるなど、扱いが変わる場合があります。個別の契約の判断は発注者と許可行政庁にご確認ください。
級ごとに分けています。1級 設計図書|2級 設計図書を見てください。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
ねらわれるのは、実務で必ず書くのに条文にない項目です。
令和6年度1級では、規定されていないものとして「主任技術者又は監理技術者の氏名」が問われました。16項目に技術者の氏名はありません。
もうひとつが交付の向きです。当事者が相互に交付するもので、一方が他方に渡すだけではありません。