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排煙は数字が多くて、どれがどこの数字なのか混ざります。
自然排煙にできる条件も、はっきり覚えられません。
この記事の要点
排煙設備の決まりは施行令の2か条に分かれています。設けるかどうかが第126条の2、どう作るかが第126条の3です。
500m²という数字は2回出てきます。設置の判断に使うものと、防煙壁で区画する単位に使うもので、意味が違います。
排煙機が要るかどうかは第126条の3第八号だけで決まります。50分の1以上の開口と、直接外気に接することの2つです。
条文は「排煙機を設ける」ではなく「設けなくてよい条件」を書いています。
第八号の但し書きにあたる部分が、自然排煙と呼ばれるものの正体です。
第126条の2第1項が4つの場合を挙げています。
建築基準法施行令 第126条の2第1項(設置)(抜粋)
法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物(中略)、第百十六条の二第一項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室で、その床面積が二百平方メートルを超えるもの(中略)には、排煙設備を設けなければならない。
| 対象 | 規模 |
|---|---|
| 別表第一(い)欄(一)〜(四)項の特殊建築物 | 延べ面積 500m²超 |
| 階数が3以上の建築物 | 延べ面積 500m²超 |
| 窓その他の開口部を有しない居室 | 規模の定めなし |
| 延べ面積1,000m²超の建築物の居室 | その居室の床面積 200m²超 |
同じ施行令が定める換気設備は機械換気の第一種・第二種・第三種で扱っています。
第126条の2第1項の括弧書きが定義しています。
建築基準法施行令 第126条の2第1項(防煙壁の定義)(抜粋)
床面積百平方メートル以内ごとに、間仕切壁、天井面から五十センチメートル以上下方に突出した垂れ壁又ははりその他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので、準耐火構造であるもの(中略)又は不燃材料で造り、若しくは覆われたもの(以下「防煙壁」という。)
突出の寸法は天井面から50cm以上下方です。材料は準耐火構造か、不燃材料で造るか覆うかになります。
条文の言葉は「防煙壁」です。「防煙垂れ壁」という語は施行令にありません。
第126条の3第1項第八号が分かれ目です。
建築基準法施行令 第126条の3第1項第八号
排煙口が防煙区画部分の床面積の五十分の一以上の開口面積を有し、かつ、直接外気に接する場合を除き、排煙機を設けること。
除かれるのは50分の1以上の開口面積と直接外気に接するの両方を満たす場合です。片方だけでは排煙機が要ります。
ここでいう防煙区画部分は、第一号で床面積500m²以内ごとに防煙壁で区画した部分を指します。
第九号が2つの条件を「かつ」でつないでいます。
建築基準法施行令 第126条の3第1項第九号
前号の排煙機は、一の排煙口の開放に伴い自動的に作動し、かつ、一分間に、百二十立方メートル以上で、かつ、防煙区画部分の床面積一平方メートルにつき一立方メートル(二以上の防煙区画部分に係る排煙機にあつては、当該防煙区画部分のうち床面積の最大のものの床面積一平方メートルにつき二立方メートル)以上の空気を排出する能力を有するものとすること。
| 受け持つ範囲 | 1分間あたりの排出能力 |
|---|---|
| 1つの防煙区画部分 | 120m³以上 かつ その床面積1m²につき1m³以上 |
| 2以上の防煙区画部分 | 120m³以上 かつ 最大の床面積1m²につき2m³以上 |
2以上を受け持つ場合に掛ける相手は、合計面積ではなく床面積が最大のものの床面積です。
第三号から第六号までが位置と構造を定めています。
建築基準法施行令 第126条の3第1項第三号・第五号(抜粋)
三 排煙口は、(中略)当該防煙区画部分の各部分から排煙口の一に至る水平距離が三十メートル以下となるように、天井又は壁(中略)に設け、直接外気に接する場合を除き、排煙風道に直結すること。
五 前号の手動開放装置のうち手で操作する部分は、壁に設ける場合においては床面から八十センチメートル以上一・五メートル以下の高さの位置に、天井から吊り下げて設ける場合においては床面からおおむね一・八メートルの高さの位置に設け、かつ、見やすい方法でその使用方法を表示すること。
水平距離は30m以下です。測る起点は防煙区画部分の各部分になります。
手で操作する部分は、壁なら床面から80cm以上1.5m以下、天井から吊り下げるなら床面からおおむね1.8mです。
第七号が第115条を引いています。
建築基準法施行令 第126条の3第1項第七号/第115条第1項第三号イ(2)
七 排煙風道は、第百十五条第一項第三号に定める構造とし、かつ、防煙壁を貫通する場合においては、当該風道と防煙壁とのすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めること。
(2) 煙突は、建築物の部分である木材その他の可燃材料から十五センチメートル以上離して設けること。ただし、厚さが十センチメートル以上の金属以外の不燃材料で造り、又は覆う部分(中略)は、この限りでない。
離す距離は15cm以上、覆う場合の厚さは10cm以上です。
令和5年度1級では「可燃物から100mm以上離すか、又は厚さ50mm以上の金属以外の不燃材料で覆う」とした肢が誤りとされました。どちらの数値も条文より小さくなっています。
また、排煙機を設ける排煙設備の排煙口・風道その他煙に接する部分は、第二号で不燃材料で造ることとされています。
第126条の2第1項のただし書に5つ並んでいます。
建築基準法施行令 第126条の2第1項ただし書(抜粋)
一 法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画された部分で、その床面積が百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内のもの
二 学校(幼保連携型認定こども園を除く。)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場(以下「学校等」という。)
三 階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
四 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
五 火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの
第二号の学校等には体育館・ボーリング場・スキー場・スケート場・水泳場・スポーツの練習場まで入ります。名前は「学校等」ですが、範囲はこれだけ広く取られています。
第三号で外れるのは階段と昇降路です。乗降ロビーの部分も昇降路の部分に含まれると書かれています。
排煙機を設けなくてよいのはどんな場合か。
排煙口が防煙区画部分の床面積の50分の1以上の開口面積を有し、かつ直接外気に接する場合です。両方を満たす必要があります。
防煙壁は天井面からどれだけ下方に突出させるか。
50cm以上です。準耐火構造であるもの、または不燃材料で造り若しくは覆われたものとされています。
2以上の防煙区画部分を受け持つ排煙機の風量は、どの面積に何を掛けるか。
そのうち床面積が最大のものの床面積に、1m²につき2m³を掛けます。合計面積ではありません。
排煙口までの水平距離の上限はいくつか。
30m以下です。防煙区画部分の各部分から、排煙口の一に至る水平距離で測ります。
手動開放装置のうち手で操作する部分は、どの高さに設けるか。
壁に設ける場合は床面から80cm以上1.5m以下、天井から吊り下げる場合は床面からおおむね1.8mです。
避難安全検証法による場合や、国土交通大臣が定めた構造方法・認定を受けたものによる場合は扱いが変わります。個別の判断は設計図書と所轄の建築主事・指定確認検査機関にご確認ください。
級ごとに分けています。1級 空調・換気|2級 空調・換気を見てください。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
500m²は2か所に出てきますが、指しているものが違います。
設置を判断する第126条の2の500m²は建築物の延べ面積です。区画の単位である第126条の3第一号の500m²は、防煙壁で区切る1区画の床面積です。
もうひとつが排煙機の風量です。1m²につき1m³と1m²につき2m³があり、2以上の防煙区画部分を受け持つ排煙機のときに2m³を使います。