電気工事施工管理技士 独学ガイド|資格のT

  1. HOME
  2. 電車線路
  3. > 軌道回路

軌道回路とは?閉電路式・開電路式と交流電化区間で使う方式を整理

T

T

閉電路式と開電路式って、どっちが常時励磁なの?

方式の名前も4つあるけど、どれが交流用?

この記事の要点

軌道回路とは、列車又は車両を検知するために、レールを用いる電気回路のことです。

軌道リレーが常時励磁され、列車が進入すると無励磁になるのが閉電路式です。

交流電化区間に商用周波数軌道回路は入りません。定義は日本産業規格(JIS)にあり、2年度ともその文が正しい側に置かれました。

軌道回路の肢は、しくみの説明と、方式の名前に分かれます。

1級で5年度に並び、聞かれ方が年度ごとに変わります。

定義はJISが決めている

平成29年度と令和6年度は、どちらも鉄道信号保安に関する用語の定義を問う形でした。規格の呼び方は年度で違い、平成29年度は日本工業規格(JIS)上、令和6年度は日本産業規格(JIS)上です。軌道回路の肢は2年度とも正しい側で、つまりこの文がJISの定義です。

平成29年度 1級 No.46 選択肢3/令和6年度 1級 No.42 選択肢4(どちらもJIS上正しい側)

軌道回路とは、列車又は車両を検知するために、レールを用いる電気回路をいう。

  • 検知する対象:列車と車両の両方。
  • 使うもの:レールそのもの。別に線を張るわけではありません。
  • 2年度とも一字一句同じ文で、どちらも誤りにされていません。

同じ問には閉そく・転てつ器・表示なども並びます。用語ごとの読み分けは鉄道信号保安の用語にまとめました。

区間を区切る継目には、線路用語の側に別の規格があります。

日本産業規格 JIS E 1001:2001「鉄道-線路用語」

絶縁継目 軌道回路の絶縁箇所に使用するレール継目(接着剤で結合したものを接着絶縁継目と呼ぶ)。

軌道回路は区間ごとに区切られ、その境目に絶縁継目が入ります。接着剤で結合したものは接着絶縁継目です。

回路そのものの性質は、次の肢で示されています。

平成27年度 1級 No.46 選択肢4(正しい側)

軌道回路は、レール抵抗、レールインダクタンス、漏れコンダクタンス、静電容量を一次定数とする分布定数回路とみなすことができる。

  • レール抵抗とレールインダクタンス:レールそのものが持つ量です。
  • 漏れコンダクタンス:道床を通じて漏れる分です。
  • 静電容量:レールの間に生じる分です。
  • この4つを一次定数と呼び、長さに沿って分布しているものとして扱います。

言い換えると、「軌道回路は集中した1個の部品ではなく、区間の長さ全体に広がった回路として扱う」ということです。

軌道リレーが常時励磁されるのは閉電路式

平成28年度 1級 No.46(該当する用語として適当なもの)

軌道リレーが常時励磁され、列車又は車両の進入で無励磁になる軌道回路を選ばせる形です。AF・閉電路式・開電路式・商用周波数の4方式が並び、閉電路式が答えでした。

  • 列車がいないとき:軌道リレーは常時励磁されている
  • 列車が進入したとき無励磁になる

この向きに当てはまる方式が閉電路式です。開電路式は同じ問に並びましたが、選ばれませんでした。「適当なもの」を選ばせる形なので、残る3つは名前だけが置かれています。

閉電路式は、列車がいないときに励磁されている 列車がいないとき R 電流がリレーへ = 励磁 列車が進入したとき R 列車 車輪と車軸 レール間が短絡 = 無励磁 この向きが逆なら別の方式になる レール抵抗・レールインダクタンス・漏れコンダクタンス・静電容量が一次定数 区間の境目には絶縁継目が入る
動作の向きをイメージでつかむための模式図です。実際の結線や機器の配置を表したものではありません。正しいのは、列車がいないときに軌道リレーが励磁されていて、列車の進入で無励磁になるという向きだけです。

ただし、4つの肢は2つの軸の語が混ざっています。

分ける軸 方式の名前 名前が表しているもの
軌道リレーの励磁 閉電路式軌道回路/開電路式軌道回路 列車がいないときにリレーが励磁されているかどうか
使う周波数 商用周波数軌道回路/分倍周軌道回路/83・100Hz軌道回路/AF軌道回路 軌道回路に流す電流の周波数

例えば、平成28年度の問は励磁のしかたを聞いているので、周波数の名前を持つ2つは中身を読むまでもなく外れます。

交流電化区間では商用周波数を外す

令和8年度 1級 No.42(交流電化区間に用いられているものとして最も不適当なもの)

商用周波数・分倍周・83/100Hz・AFの4方式が並び、商用周波数が答えでした。

  • 商用周波数軌道回路交流電化区間に用いられているものとして不適当(答え)
  • 分倍周軌道回路/83・100Hz軌道回路/AF軌道回路:正しい側

正しい側の3つは、いずれも商用周波数から外した周波数を名前に持っています。軌道回路が使うレールは、帰線も兼ねる回路です。交流電化区間では、商用周波数だけが外れました。

同じ4語でも、年度によって置かれる軸が変わります。

  • 閉電路式・開電路式:平成28年度に出て、閉電路式が答え。令和8年度には出ていません。
  • 商用周波数:平成28年度は選ばれなかった側、令和8年度は答え。
  • AF:平成28年度は選ばれなかった側、令和8年度は正しい側。

まちがえやすいポイント

平成28年度の4肢は、2つの軸の語が混ざっています。

閉電路式・開電路式は軌道リレーの励磁のしかた、AF・商用周波数は使う周波数です。問われているのが励磁の話なら、周波数の名前は最初から外れます。

開電路式の動作やAF・分倍周の周波数の値は、5年度のどの肢にも数値では出ていません。問われているのは、名前がどちらの軸のものかという点です。

混同しやすい語

閉電路式と開電路式:軌道リレーが常時励磁され、列車の進入で無励磁になるのが閉電路式です。開電路式は名前だけが肢に並びました。

励磁と無励磁:列車がいないときが励磁、進入したときが無励磁です。向きを逆にすると別の方式になります。

商用周波数とAF:令和8年度では、交流電化区間に用いられているものとして商用周波数だけが外れました。

軌道回路と絶縁継目:軌道回路はレールを用いる電気回路、絶縁継目はその絶縁箇所に使うレール継目です。

一次定数と分布定数回路:レール抵抗・レールインダクタンス・漏れコンダクタンス・静電容量が一次定数、それを長さに沿って広げた扱いが分布定数回路です。

過去問でどう問われたか

1級に5年度分あります。答えになったのは、方式の名前を問う2年度だけです。

  • 平成27年度 1級 学科 No.46:信号保安の記述/一次定数と分布定数回路の肢が正しい側
  • 平成28年度 1級 学科 No.46:説明文から方式を選ぶ/閉電路式軌道回路が答え
  • 平成29年度 1級 学科 No.46:JIS上の用語の定義/定義の肢が正しい側
  • 令和6年度 1級 第一次 No.42:JIS上の用語の定義/同じ定義の肢が正しい側
  • 令和8年度 1級 第一次 No.42:電化方式との組合せ/商用周波数軌道回路が答え

5年度とも1級で、2級には出ていません。答えになったのは方式の名前を問う2年度だけで、定義と性質の肢は毎回正しい側でした。

軌道回路の肢は、次の順に見ます。

  • 問の軸を読む:励磁の話か、周波数の話か、定義の話かで見る場所が変わります。
  • 常時励磁を探す:列車の進入で無励磁になるなら閉電路式です。
  • 交流電化区間なら商用周波数を疑う:令和8年度はこれが答えでした。
  • 定義の肢は飛ばす:列車又は車両を検知するためにレールを用いる電気回路、は2年度とも正しい側です。
  • 一次定数の肢も飛ばす:レール抵抗・レールインダクタンス・漏れコンダクタンス・静電容量の4つが正しい側です。

理解度チェック

Q.

軌道リレーが常時励磁される軌道回路はどれか?

閉電路式軌道回路です。列車又は車両が進入したとき、リレーが無励磁になります。

Q.

交流電化区間に用いられているものとして外れたのはどれか?

商用周波数軌道回路です。分倍周軌道回路・83・100Hz軌道回路・AF軌道回路は正しい側でした。

Q.

軌道回路の一次定数は何か?

レール抵抗、レールインダクタンス、漏れコンダクタンス、静電容量の4つです。これを一次定数とする分布定数回路とみなせます。

Q.

軌道回路の絶縁箇所に使うレール継目を何というか?

絶縁継目です。接着剤で結合したものは接着絶縁継目と呼びます(JIS E 1001:2001)。

まとめ

  • 軌道回路=列車又は車両を検知するためにレールを用いる電気回路。2年度とも正しい側。
  • 軌道リレーが常時励磁で進入時に無励磁なら閉電路式
  • 交流電化区間に用いられているものとして、商用周波数軌道回路が外れた。
  • 一次定数はレール抵抗・レールインダクタンス・漏れコンダクタンス・静電容量の4つ。
  • 絶縁継目は軌道回路の絶縁箇所に使うレール継目(JIS E 1001:2001)。

参考資料

  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「1級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成27年度・平成28年度・平成29年度・令和6年度・令和8年度
  • 日本産業規格 JIS E 1001:2001「鉄道-線路用語」(絶縁継目・接着絶縁継目)
T

無料・独学でまなぶ資格のT

T|運営・編集

試験機関が公開している問題と正答肢、日本産業規格や法令などの一次資料をもとに、出題された論点を整理しています。

Topへ >>