ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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鋼材の力学的性質とは?弾性が先で塑性があと、応力ひずみ曲線の4点を整理

けんせつる

けんせつる

弾性と塑性、どっちが先だっけ?グラフの点の名前が多すぎて覚えられない…

この記事の要点

鋼材は、力が小さいうちは弾性を示し、ある限度を超えると塑性に変わります。

  • 弾性限度までが弾性、超えると塑性弾性が先、塑性があとです。
  • 塑性域では応力度をゼロに戻しても永久ひずみが残ります
  • 応力ひずみ曲線の点は比例限度・弾性限度・上降伏点・引張強さの4つを区別します。

「弾性限度までは塑性、超えると弾性」は逆です。この入れ替えが3年続けて出ています。

2級の第一次検定では、鋼材が毎年出ます。中でも力学的性質は、同じ引っかけが繰り返されている論点です。

弾性と塑性の違い

弾性とは、力を加えて変形しても、力を抜けば元の形に戻る性質です。輪ゴムを軽く引っ張って離すと戻るのと同じです。

塑性とは、力を抜いても元に戻らない性質です。針金を大きく曲げると、手を離しても曲がったままになります。

鋼材はこの両方の性質を持ち、加える力の大きさによって切り替わります

弾性が先、塑性があと

切り替わる境目が弾性限度です。

  • 弾性限度まで……弾性。応力度とひずみが比例し、力を抜けば元に戻ります。
  • 弾性限度を超えると……塑性。応力度とひずみが比例しなくなり、力を抜いても永久ひずみが残ります。

出題では、この順序を入れ替えてきます。「弾性限度までは塑性を示し、それを超えると弾性を示す」という書き方です。弾性が先と覚えれば見抜けます。

簡単に言えば、そっと押している間は戻る(弾性)、押しすぎると曲がったまま(塑性)ということです。

構造物の鋼材は弾性域の中で使うのが前提です。「塑性領域内で使用する」という記述も、同じ理由で誤りになります。

応力ひずみ曲線の4点

鋼材に引張力を加えていくと、応力度とひずみの関係が曲線で表せます。試験ではこの曲線上の点の名前が問われます。

鋼材の応力ひずみ曲線(模式図) ひずみ ε → 応力度 σ P 比例限度 E 弾性限度 YU 上降伏点 U 引張強さ(最大応力度) 弾性域 塑性域(永久ひずみが残る)
鋼材の応力ひずみ曲線(模式図)。形は目安です。
名前意味
P比例限度応力度とひずみが直線的に比例する上限
E弾性限度弾性変形をする最大限度。ここまでは力を抜けば戻る
YU上降伏点応力度が下がりながらひずみが進み始める点
U引張強さ曲線の頂点=最大応力度の点

「点YUは弾性変形をする最大限度である」という記述は誤りです。弾性変形の最大限度は弾性限度(点E)で、上降伏点YUとは別の点です。曲線上ではEのほうが手前にあります。

炭素の量で何が変わるか

鋼は炭素の含有量で性質が変わります。

  • 炭素が少ない……延性・展性が向上する(よく伸び、よく広がる)。ただし硬さ・強さは低下する。
  • 炭素が多い……硬く強くなるが、粘りは失われる。

低炭素鋼は延性・展性に富むため、橋梁等に広く用いられます。粘りがあるほうが、急に壊れにくいためです。

疲労は急激な破壊。耐候性鋼材は防食用

鋼材が劣化する原因は2つあり、対策も別々です。

劣化の原因起きること対策
腐食気象や化学的な作用で錆び、断面が減って強度が低下する防食(塗装・耐候性鋼材・溶融亜鉛めっき等)
疲労繰り返し荷重を受け、前触れなく急激な破壊に至ることがある応力集中を避ける設計・溶接部の管理

耐候性鋼材は腐食対策であって、疲労対策ではありません。疲労が心配な場面で耐候性鋼材を持ち出す記述が、誤り肢として出ています。

混同しやすい用語

比例限度 と 弾性限度

曲線上で比例限度Pのほうが手前です。比例限度は応力度とひずみが直線的に比例する上限弾性限度力を抜けば元に戻る上限です。比例限度を少し超えても、しばらくは元に戻る性質が残っています。さらに進むと上降伏点YU、最後に引張強さU(曲線の頂点)が来ます。

腐食 と 疲労

原因も対策も別です。腐食は気象や化学的作用による錆で、耐候性鋼材や塗装で防ぎます。疲労は繰り返し荷重によるもので、急激な破壊に至ります。疲労対策として耐候性鋼材を挙げる記述は誤りです。

種類と用途もセットで問われる

同じNo.17の枠では、鋼材の種類とその用途の組合せも出ます。力学的性質と交互に出題される形です。

種類主な用途
鋳鋼・鍛鋼橋梁の支承・伸縮継手
溶接鋼管基礎杭・支柱
PC鋼棒プレストレストコンクリートの緊張材
棒鋼コンクリート内の鉄筋
線材細い線をより合わせて使うもの

引っかけは2つあります。ひとつは棒鋼と線材の用途を入れ替える形。太い棒はコンクリートの中へ、細い線はより合わせて使う、と分けられます。

もうひとつが鋳鉄と鋳鋼の取り違えです。橋梁の支承や伸縮継手に使うのは、もろい鋳鉄ではなく、ねばりのある鋳鋼です。地震時の力や車の衝撃を受ける部位なので、粘りが要ります。

ここでも判断の軸は同じです。衝撃や繰り返しを受けるところには、粘りのある材料。炭素が少ないほど延性・展性が上がるという話とつながっています。

施工管理での確認ポイント

  • ミルシートで材質と強度を照合する。納入された鋼材の種類が設計と合っているかを、規格記号で確かめます。
  • 曲げ加工した部材の戻りを見る。塑性域まで曲げた部材は元に戻りません。加工後の寸法を実測します。
  • 溶接部と断面変化部を重点的に見る。疲労は応力が集中するところから進みます。目視とあわせて記録を残します。
  • 耐候性鋼材の初期の錆を落とさない。表面にできる緻密な錆が保護層になります。錆びているからと磨くと逆効果です。

過去問でどう問われたか

鋼材は2級の第一次検定で毎年出ます。力学的性質では弾性と塑性の入れ替えが3年続けて出題されました。

出題年度・級(問番)誤りとされた記述
令和8年度 2級(No.17)弾性限度までは塑性を示し、超えると弾性を示す
令和7年度 2級(No.17)鋼材を塑性領域内で使用する
令和6年度 2級前期(No.17)弾性限界までは塑性、超えると弾性
令和5年度 2級前期(No.12)YUは弾性変形をする最大限度である(正しくは点E=弾性限度)
令和4年度 2級後期(No.12)疲労対策として耐候性鋼材を用いる(耐候性鋼材は防食用)

同じ引っかけが3年続けて出ている

令和6年・7年・8年と、弾性と塑性の関係が3年連続で誤り肢になりました。表現は変わりますが、狙いはひとつです。

「弾性が先、塑性があと」だけ覚えておけば、この3年分がすべて取れます。順序を入れ替えた記述と、塑性域で使うとした記述。どちらも同じ勘違いを突いています。

理解度チェック

問題:鋼材は弾性限度までどちらの性質を示すか。超えるとどうなるか。

弾性限度までは弾性で、応力度とひずみが比例し、力を抜けば元に戻ります。超えると塑性になり、比例しなくなって、応力度をゼロに戻しても永久ひずみが残ります。「弾性限度までは塑性」は順序が逆です。(令和6年度2級前期・令和8年度2級 No.17)

問題:応力ひずみ曲線で、弾性変形をする最大限度はどの点か。

弾性限度(点E)です。上降伏点(点YU)ではありません。曲線上では、比例限度P → 弾性限度E → 上降伏点YU → 引張強さUの順に並びます。引張強さUは曲線の頂点で、最大応力度を示す点です。(令和5年度2級前期 No.12)

問題:疲労が心配な部材に耐候性鋼材を使うのは適切か。

適切ではありません。耐候性鋼材は腐食(錆)への対策で、疲労対策ではありません。疲労は繰り返し荷重によるもので、前触れなく急激な破壊に至ります。原因が違うので対策も別です。(令和4年度2級後期 No.12)

まとめ

  • 弾性限度までが弾性、超えると塑性弾性が先、塑性があと
  • 塑性域では応力度をゼロに戻しても永久ひずみが残る。構造物は弾性域で使うのが前提。
  • 応力ひずみ曲線の点は比例限度P → 弾性限度E → 上降伏点YU → 引張強さUの順。
  • 引張強さUは曲線の頂点=最大応力度。弾性変形の最大限度は点Eであって点YUではない。
  • 炭素が少ないほど延性・展性が向上し、硬さ・強さは低下する。低炭素鋼は橋梁等に広く使う。
  • 劣化の原因は腐食疲労耐候性鋼材は防食用で疲労対策ではない。疲労は急激な破壊に至る。

鋼材の接合は鋼材の接合、防食の方法は鋼橋の防食で確認できます。

参考資料

  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
土木施工管理技士 独学ノート 編集部

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