ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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鋼材の接合とは?高力ボルトの締付けは中央から外側へ、溶接は開先とスカラップで応力を逃がす

けんせつる

けんせつる

高力ボルトは、外側から締めるの?中央から?

鋼材の接合って、何に注意するの?

この記事の要点

鋼材の接合には、溶接高力ボルト摩擦接合があります。

高力ボルトの締付けは、中央から外側へ向かって行います。種類の違いと過去問での問われ方も押さえます。

鋼でできた橋などは、工場や現場で部材どうしをつなぎます。そのつなぎ方(接合)に溶接とボルトがあり、それぞれの手順が試験で問われます。

鋼材の接合には溶接と高力ボルト摩擦接合があり、高力ボルトの締付けは中央から外側へ向かって行います。

鋼材の接合方法

鋼橋などの鋼材は、溶接で一体につなぐ方法と、高力ボルトで締め付けてつなぐ方法があります。大きく次のように分かれます。

鋼材の接合(溶接・高力ボルト接合)の分類ツリー 鋼材の接合 溶接 高力ボルト接合 突合せ溶接 すみ肉溶接
鋼材の接合。溶接には突合せ溶接とすみ肉溶接、ボルト接合には高力ボルト摩擦接合があります。

溶接接合

突合せ溶接

突合せ溶接は、部材の端どうしを突き合わせ、その間(開先)に溶けた金属を入れて一体につなぐ溶接です。開先溶接ともいい、力をしっかり伝えたい主要な継手に使います。

すみ肉溶接

すみ肉溶接は、直交させたり重ねたりした部材のすみ(角)に、三角形の断面で溶接する方法です。開先を取らずに接合でき、補助的な継手などに使います。

2つの違いは力の伝わり方にあります。突合せ溶接は母材と同じ断面が連続するので、力をまっすぐ伝えられます。すみ肉溶接は角に肉を盛るだけなので、力は三角形の断面を斜めに横切って伝わり、そのぶん弱くなります。主要な継手に突合せ溶接を使うのは、この差からです。

開先を取るのは、板の内部まで溶かし込むためです。厚い板をそのまま突き合わせても、表面しか溶けません。V形やレ形に削って隙間をつくることで、溶けた金属が根元まで届きます。開先は「溶接金属を入れる場所」だと考えてください。

高力ボルト接合

高力ボルト摩擦接合は、強いボルトで板どうしを強く締め付け、板と板の間に生じる摩擦の力で力を伝える接合です。摩擦をしっかり効かせるため、塗装しない接触面は黒皮や浮きさびを除去して粗い面にし、所定のすべり係数を確保します。ボルトの締付けは、ナットを回して行うのが原則で、継手の中央から外側に向かって締めると板の密着性がよくなります。溶接と高力ボルト摩擦接合を同じ断面で併用する場合は、溶接を先に完了させてからボルトを締め付けます。

締付けの順序と併用の順序には、同じ理由がある

この分野では2つの「順序」が問われます。どちらも理由は同じで、後からの変形を、締め付けたあとに持ち込まないことです。

締付けは中央から外側へ

ボルトを締めると、板がわずかに引き寄せられてすき間が詰まります。このとき、外側から先に締めると、外側の板だけが密着し、中央にすき間が残ったまま閉じ込められます。ちょうど、シールを端から貼ると真ん中に空気が残るのと同じです。

中央から締めれば、詰まった分のたるみが外側へ順に逃げていきます。だから最後まで密着します。「外側から中央へ」とする肢が誤りなのは、逃げ場を先にふさぐ順序だからです。

溶接を先、ボルトを後

併用の順序も同じ話です。溶接は熱で部材をひずませます。溶けた金属が冷えて縮むとき、板は必ず動きます。

先にボルトを締めておくと、この動きが締め付けた部分をずらし、確保したはずの摩擦力を狂わせます。溶接を先に済ませてひずみを出しきってから締めれば、その心配がありません。動くものを先に、動かしたくないものを後に——この順序です。

なぜ接触面をわざと粗くするのか

高力ボルト摩擦接合は、ボルトが力を受け止めているのではありません。ボルトの役目は板どうしを強く押し付けることで、力を伝えているのは板と板のあいだの摩擦です。

だから摩擦が効かなければ、いくら強いボルトでも意味がありません。接触面の処理が細かく決まっているのは、このためです。

  • 黒皮(熱間圧延でできる酸化被膜)は、つるつるして滑ります。除去します。
  • 浮きさびは、そこが崩れると板が動きます。除去します。
  • 逆に、粗い面にするのは滑りにくくするためです。きれいに磨いてはいけません。

この「粗くする」が直感に反するところです。ふつうの部材は平滑に仕上げますが、摩擦接合の接触面だけは、ざらざらであることが性能になります。所定のすべり係数を確保する、というのはこの状態を数値で管理することです。

混同しやすい用語

突合せ溶接 と すみ肉溶接

どちらも溶接ですが、部材の合わせ方が違います。突合せ溶接は、部材の端どうしを突き合わせ、その間の開先に金属を入れてつなぎます。すみ肉溶接は、直交・重ねた部材のすみに、三角形の断面で溶接します。端を突き合わせるのが突合せ溶接、すみを盛るのがすみ肉溶接、と整理できます。

過去問でどう問われたか

鋼材の接合は、1級・2級とも高力ボルトと溶接から正誤判定で問われます。問われ方は3つの型に分かれます。

①高力ボルトの締付けの順序・方法、②溶接の欠陥や継手の取り扱い、③摩擦接合の接触面の処理です。

ボルトの締付けを「継手の外側から中央に向かって」行うとする記述は誤りです。高力ボルトの締付けは、継手の中央から外側に向かって行うと密着性がよくなります。

年度・級 No. 問われ方・引っかけ
平成22年度・1級 No.13 溶接欠陥。アンダーカットを「溶接電流が低すぎるときに発生」とする誤り(電流が高すぎるときに発生する)
平成22年度・1級 No.20 溶接継手。部材厚が異なるときの理論のど厚を「両部材厚の平均値」とする誤り(薄い方の厚さによる)
平成25年度・1級 No.16 高力ボルトの締付け。「継手の外側から中央に向かって」締めるとする誤り(中央から外側へ)
平成27年度・2級 No.13 高力ボルトの締付け。軸力の導入を「ボルトの頭部を回して行う」とする誤り(ナットを回すのが原則)

覚えるのは、高力ボルトはナットを回して中央から外側へ締めること、そして溶接はアンダーカットが電流の高すぎで生じることです。

理解度チェック

問題:高力ボルトの締付けは、継手の中央から外側に向かって行うと、板の密着性がよくなる。

〇か×か。

答え:

高力ボルトは中央から外側へ締めます。外側から中央へ、ではありません。平成25年度(1級)No.16では、締付けを「外側から中央に向かって」とする記述が誤りとして問われました。

問題:摩擦接合で接触面を塗装しない場合は、黒皮や浮きさびを除去して粗い面とし、すべり係数を確保する。

〇か×か。

答え:

摩擦を効かせるため、接触面の黒皮・浮きさびを除去し粗面にして、所定のすべり係数を確保します。

問題:突合せ溶接は、直交させた部材のすみに三角形の断面で溶接する方法である。

〇か×か。

答え:×

それはすみ肉溶接です。突合せ溶接は、部材の端どうしを突き合わせ、開先に金属を入れてつなぎます。

まとめ

鋼材の接合には、溶接(突合せ溶接・すみ肉溶接)と高力ボルト摩擦接合があります。

高力ボルトの締付けは、中央から外側へ向かって行うのが要点です。

締付けの順序を外側から中央とする誤りが、過去問でよく問われます。

参考資料

  • 日本道路協会「道路橋示方書」
  • 国土交通省「鋼道路橋」関連資料

※ 接合方法・施工は標準的な内容です。基準の改定や現場条件で変わるため、最新の資料で確認してください。

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