けんせつる
管が太くなったら流速はどうなる?水頭って3つあるって聞いたけど何が違うの?
この記事の要点
連続の式とは、管路のどの断面でも断面積×流速が一定になることを表した式です(A₁v₁=A₂v₂)。
断面が拡大しているのに流速が大きくなる選択肢は、計算せずに切れます。
1級・2級とも第一次検定のNo.5前後で、水理の計算が毎年出ます。使う式は2つだけです。
管路を流れる水は、途中で増えも減りもしません。だからどの断面でも流量が同じになります。
流量Qは断面積A×流速vで表されるので、次の関係が成り立ちます。
Q=A×v=一定 したがって A₁v₁=A₂v₂
これが連続の式です。断面積が2倍になれば流速は1/2、断面積が半分になれば流速は2倍。断面積と流速は反比例します。
簡単に言えば、ホースの先を指でつまむと水が勢いよく飛ぶのと同じです。出口が狭くなった分だけ速くなります。
ここが計算問題の要点です。問題文で与えられるのは直径であって、断面積ではありません。
直径dの円の断面積は次のとおりです。
A=π×d²/4
断面積は直径の2乗に比例します。したがって連続の式に代入すると、流速の関係はこうなります。
v₂=(A₁/A₂)×v₁=(d₁/d₂)²×v₁
直径が2.5倍になると、断面積は6.25倍、流速は1/6.25になります。2.5倍だから流速は1/2.5、としないことが要点です。
流量を求めるときは、どちらの断面で計算しても同じ値になります。
Q₂=Q₁=A₁v₁=π×(d₁²/4)×v₁
もう1つの式がベルヌーイの定理です。完全流体では、次の3つの和がどこでも一定になります。
速度水頭+圧力水頭+位置水頭=一定(全水頭)
v²/2g + p/ρg + z = 一定
3つとも高さの単位(m)で表されているのが特徴です。エネルギーを高さに換算して並べています。
| 水頭 | 式 | 意味 |
|---|---|---|
| 速度水頭 | v²/2g | 運動エネルギーを高さで表したもの |
| 圧力水頭 | p/ρg | 圧力のなす仕事を高さで表したもの |
| 位置水頭 | z | 基準面からの高さ(位置エネルギー) |
式の並び順と表の並び順が同じです。v²/2g が速度、p/ρg が圧力、z が位置。空所補充ではこの順序がそのまま答えになります。
連続の式とあわせると、流れの様子が読めます。管が細くなると流速が上がり、速度水頭が増えます。全水頭は一定なので、その分だけ圧力水頭が下がります。細い所ほど圧力が低いのはこのためです。
問題文には必ず「断面の拡大に伴うエネルギーの損失は考慮しないものとする」といった但し書きが付きます。ベルヌーイの定理が完全流体を前提にしているためです。
実際の水には粘りがあり、管の壁との摩擦や、断面が急に変わるところの渦でエネルギーが失われます。失われた分は損失水頭として下流側で目減りするので、全水頭は厳密には一定になりません。
だから問題では「損失は無いものとする」と条件を置き、3つの水頭の和が一定である状態で計算させます。但し書きは飾りではなく、その式を使ってよいという合図です。
簡単に言えば、摩擦のない理想の水で考えなさい、という意味です。実際の設計では損失を見込みますが、試験の計算では省きます。
令和8年度2級の問題です。断面が拡大する管で、v₁=3.0m/s のとき v₂ はいくらか。断面の拡大に伴うエネルギーの損失は考慮しません。
手順は3つです。
令和7年度2級後期は同じ形で、v₁=2.0m/s からv₂=0.32m/s でした。2.0÷0.32=6.25なので、断面積は6.25倍、つまり直径は2.5倍です。
直径で与えられたら2乗する、面積で与えられたらそのまま割る。どちらの形で出るかは年度によって変わります。
水頭の名前を当てるだけでなく、式そのものを書かせる年度があります。そこでの引っかけは分母です。
| 水頭 | 正しい式 | 出た誤り |
|---|---|---|
| 速度水頭 | v²/2g | v²/g |
| 圧力水頭 | p/ρg | p/2g |
| 位置水頭 | z | — |
速度水頭には2が付き、圧力水頭にはρ(密度)が付きます。2が付くのは速度水頭だけと覚えると、入れ替えに気づけます。
混同しやすい用語
直径の比 と 断面積の比
2乗の差があります。円管の断面積はA=πd²/4で、直径の2乗に比例します。直径が2.5倍なら断面積は6.25倍、連続の式から流速は1/6.25です。直径の比をそのまま流速の逆比にすると、値が大きく外れます。
速度水頭 と 流速
単位が違います。流速vはm/s、速度水頭 v²/2g はmです。ベルヌーイの定理は3つの項を足すので、すべて高さの単位にそろえてあります。速度水頭は「その流速に相当する高さ」を表しています。
水理は1級・2級とも第一次検定のNo.5で毎年出ます。しかも出るのは連続の式・ベルヌーイの定理・マニングの式の3つだけです。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方 |
|---|---|
| 令和8年度 2級(No.5) | 連続の式。断面積4倍で v₁=3.0m/s → v₂=0.75m/s |
| 令和7年度 2級(No.5) | ベルヌーイの式。速度水頭は v²/2g、圧力水頭は p/ρg(分母の引っかけ) |
| 令和7年度 2級後期(No.5) | 連続の式。v₁=2.0m/s から v₂=0.32m/s(断面積6.25倍=直径2.5倍) |
| 令和7年度 1級(No.5) | マニングの式による管路の流量 |
| 令和6年度 2級後期(No.5) | ベルヌーイの定理の空所。順に速度・圧力・位置の水頭 |
| 令和6年度 2級前期(No.5) | マニングの式と流量 |
| 令和6年度 1級(No.5) | v₂=(d₁/d₂)²×v₁ と Q₂=π×(d₁²/4)×v₁ の組合せ |
7年度分を並べると、連続の式が3回、ベルヌーイが2回、マニングが2回です。この記事で扱った2つを押さえれば、5回分に対応できます。
問題:管の直径が2倍になった。流速は元の何倍か。
1/4倍です。円管の断面積はA=πd²/4で直径の2乗に比例するため、直径2倍なら断面積は4倍。連続の式 A₁v₁=A₂v₂ から、流速は1/4になります。直径2倍だから流速1/2、ではありません。
問題:ベルヌーイの定理の3つの項は、それぞれ何を表しているか。
v²/2g=速度水頭(運動エネルギーを高さで表したもの)、p/ρg=圧力水頭(圧力のなす仕事を高さで表したもの)、z=位置水頭(基準面からの高さ)です。3つとも高さの単位で、和が全水頭として一定になります。
問題:管が細くなると圧力が下がるのはなぜか。
細くなると連続の式により流速が上がり、速度水頭 v²/2g が増えるためです。ベルヌーイの定理では3つの水頭の和が一定なので、位置水頭が変わらなければ、増えた分だけ圧力水頭 p/ρg が下がります。2つの式を続けて使うと説明できます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
計算する前に、向きで半分落とせる
連続の式の問題は、断面が拡大しているか縮小しているかを図で見るだけで、選択肢の半分が消えます。拡大なら流速は必ず元より小さい値です。
そのうえで、直径の比を2乗することを忘れなければ答えが出ます。この2手だけで、水理の計算問題は取れる形になっています。