けんせつる
めっきがすり減って鋼材がさび始めたら、どう直すの?
鋼橋の防食って、何があるの?
この記事の要点
鋼橋の防食には、塗装・耐候性鋼材・溶融亜鉛めっき・電気防食があります。
塗膜やめっき、保護性さびで腐食を防ぎます。方法の違いと過去問での問われ方も押さえます。
鋼の橋は、放っておくと水や酸素でさびます。さび(腐食)を防ぐ工夫が防食で、その方法が試験でよく問われます。
鋼橋の防食には塗装・耐候性鋼材・溶融亜鉛めっき・電気防食があり、塗膜やめっき、保護性さびで腐食を防ぎます。
鋼材は、水・酸素・酸類・塩類などの腐食因子にさらされるとさびます。防食は、これらの腐食因子を鋼材に触れさせないようにして、腐食を防ぐことが目的です。鋼橋では、長く使うために防食が欠かせません。
塗装は、金属の表面に塗膜をつくり、腐食因子である水・酸素・酸類・塩類などを遮断する方法です。塗装の仕様に適合した塗料を使います。
鋼がさびるには水と酸素の両方が要ります。どちらか一方でも断てば腐食は進みません。防食がどれも「表面をどうにかする」話になるのは、水と酸素は表面からしか入ってこないからです。塗装は、その入口をふさぐいちばん素直な方法です。
耐候性鋼材は、表面に緻密な保護性さび(安定さび)の層を形成させ、それ以上さびが内部へ進むのを抑える鋼材です。保護性さびを形成させるには、表面に塩分が付着するのを防ぐなどの管理が必要です。
溶融亜鉛めっきは、鋼材を溶かした亜鉛に浸けて、表面を亜鉛の皮膜で覆う方法です。亜鉛が先に消耗して鋼材を守ります。亜鉛が残って防食機能を保っている必要があります。
めっきした面に塗装するときは、そのままでは塗料が乗りません。亜鉛の表面はなめらかで、塗膜が付きにくいためです。りん酸塩処理などで表面をあらかじめ処理してから塗る必要があります。「めっき面はそのまま塗装できる」とする肢は、ここを飛ばしています。
電気防食は、腐食環境下に設置した電極から鋼材に直流電流を通電し、鋼材の電位を腐食電位より低くして、腐食を抑制する方法です。
4つを別々に覚えると混ざります。鋼材を覆って隔てるか、鋼材の代わりに何かを犠牲にするかで2組に分けると整理できます。
| 方法 | 守り方 | 減っていくもの |
|---|---|---|
| 塗装 | 覆って隔てる | 塗膜(塗り替えが要る) |
| 耐候性鋼材 | —(さびの層が守る) | |
| 溶融亜鉛めっき | 身代わりになる | 亜鉛 |
| 電気防食 | 電極(陽極)または電気 |
塗装は、水と酸素を鋼材に触れさせないための膜です。単純ですが、膜が切れればそこから錆びます。だから定期的な塗り替えが前提になります。
溶融亜鉛めっきと電気防食は考え方が違います。鉄より先に溶けるものを用意して、そちらを犠牲にします。亜鉛は鉄より腐食しやすい金属なので、傷がついて鉄が露出しても、まわりの亜鉛が先に溶けて鉄を守ります。塗装では傷から錆びますが、めっきは傷にも耐えます。
ただし亜鉛は減り続けます。「亜鉛が残って防食機能を保っている必要がある」とされるのは、身代わりが尽きたら守れないからです。電気防食で電極が消耗するのも同じ理屈です。
4つの中で耐候性鋼材だけは、さびを取り除くのではなく、さびさせて守ります。ふつうの鋼のさびはボロボロと剥がれ、下の鉄が次々に露出します。耐候性鋼材は、少量の銅やクロムなどを加えることで、緻密で剥がれにくいさびの層をつくります。この層が水と酸素を遮り、それ以上内部へ進みません。
ここから、使える場所の条件も出てきます。
「表面に塩分が付着するのを防ぐなどの管理が必要」とされるのは、このためです。放っておけば勝手に守られる材料ではありません。塗り替えが不要なぶん、置く場所を選ぶ——これが耐候性鋼材の性格です。
混同しやすい用語
耐候性鋼材 と 溶融亜鉛めっき
どちらも鋼材自体で守りますが、守り方が違います。耐候性鋼材は、表面に緻密な保護性さびの層をつくり、それ以上さびが進むのを抑えます。溶融亜鉛めっきは、表面を亜鉛の皮膜で覆い、亜鉛が先に消耗して鋼材を守ります。さびの層で守るのが耐候性鋼材、亜鉛の皮膜で守るのが溶融亜鉛めっき、と整理できます。
鋼橋の防食は、1級で各方法のしくみや補修の仕方が正誤判定で問われます。問われ方は3つの型に分かれます。
①各防食法のしくみの取り違え(とくに溶融亜鉛めっきの補修)、②耐候性鋼材の管理(保護性さび・塩分・ブラスト)、③塗装の施工(塗重ね間隔・乾燥)です。
溶融亜鉛めっきの亜鉛が消耗して鋼材が腐食し始めた場合に「めっきで補修する」とする記述は誤りです。現場でのめっきのやり直しは難しいため、塗装(有機ジンクリッチペイントなど)で補修します。
| 年度・級 | No. | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 平成22年度・1級 | No.16 | 耐候性鋼材。原板ブラスト製品を製品ブラストより「さびの均一性に優れる」とする誤り(製品ブラストの方が優れる) |
| 平成24年度・1級 | No.45 | 鋼橋の防食の各方法。溶融亜鉛めっきの補修は塗装で行うこと、耐候性鋼材の保護性さびなどが問われた |
| 平成25年度・1級 | No.45 | 鋼構造物塗装の塗重ね。塗重ね間隔が長すぎ・短すぎ、乾燥が不十分なときの影響が問われた |
覚えるのは、溶融亜鉛めっき面の補修は塗装で行うこと、そして耐候性鋼材は保護性さびで守るため塩分の付着を防ぐことです。
問題:塗装は、金属の表面に塗膜をつくり、水・酸素・酸類・塩類などの腐食因子を遮断する防食方法である。
〇か×か。
答え:〇
塗装は塗膜で腐食因子を遮断します。塗装仕様に適合した塗料を使います。
問題:溶融亜鉛めっきの亜鉛が消耗して鋼材が腐食し始めた場合は、めっきで補修する。
〇か×か。
答え:×
現場でのめっきのやり直しは難しいため、塗装などで補修します。平成24年度(1級)No.45では、鋼橋の防食の各方法とあわせて、溶融亜鉛めっきの補修の仕方が問われました。
問題:耐候性鋼材は、表面に保護性さびの層を形成させて、それ以上さびが内部へ進むのを抑える鋼材である。
〇か×か。
答え:〇
耐候性鋼材は緻密な保護性さびの層で内部を守ります。塩分の付着を防ぐ管理が必要です。
鋼橋の防食には、塗装・耐候性鋼材・溶融亜鉛めっき・電気防食があります。
溶融亜鉛めっき面の補修は、塗装などで行うのが要点です。
めっきで補修するとした誤りが、過去問でよく問われます。現場で溶かした亜鉛に浸けることはできないので、補修は塗装などで行います。工場で行う処理と現場でできる処置は別だ、と押さえておくと確実です。
参考資料
※ 防食の方法は標準的な内容です。基準の改定や現場条件で変わるため、最新の資料で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年6月
このサイトについて