編集部
「この業務は特別教育?それとも作業主任者?」がこんがらがりますよね。コツは対で覚えること。粉じん作業は特別教育(作業主任者なし)、有機溶剤・特化物・鉛は作業主任者(特別教育なし)です。
この記事の要点
特別教育は、危険・有害な業務に労働者を就かせる前に行う教育です。酸素欠乏危険作業・特定粉じん作業・石綿解体・ダイオキシン類(廃棄物焼却)・高圧室内・透過写真撮影などが対象です。
一方で、有機溶剤・特定化学物質(一般)・鉛の業務には特別教育の規定がなく、作業主任者で管理します。粉じん作業はその逆で、特別教育はありますが作業主任者はありません。記録は3年保存です。
事業者は、危険・有害な業務に労働者を就かせるとき、その業務に関する特別の教育を行わなければなりません(労働安全衛生法第59条第3項)。
対象となる業務は労働安全衛生規則第36条に列挙されています。試験では労働衛生関係法令の問3で、どの業務が対象かがほぼ毎年問われています。
酸欠・特定粉じん・石綿解体・ダイオキシン・高圧室内・透過写真撮影は特別教育。有機溶剤・特化物・鉛は特別教育がなく作業主任者で管理します。
似た名前の教育が3つあり、誰に行うかが違います。
| 教育 | 対象 | 根拠 |
|---|---|---|
| 雇入時教育 | 新しく雇い入れた労働者(業種による一部省略あり) | 安衛法第59条第1項 |
| 特別教育 | 危険・有害な業務に就く労働者 | 安衛法第59条第3項・安衛則第36条 |
| 職長教育 | 新たに職長など作業中の労働者を直接指導・監督する者 | 安衛法第60条 |
安衛則第36条には多くの業務が並びますが、作業環境測定士の試験で問われやすいのは次のような有害業務です。
これらは「労働者本人が危険にさらされる」場面が中心です。だから、就かせる前に本人へ教育します。
注意したいのは、有害物を扱う業務でも特別教育の対象でないものがあることです。
有機溶剤の業務、特定化学物質を製造し又は取り扱う業務(一般)、鉛の業務には、特別教育の規定がありません。これらは作業主任者を選任して管理します。
逆に、粉じん作業には作業主任者の制度がなく、特別教育で対応します。「特別教育がある業務」と「作業主任者がある業務」は同じではないのがポイントです。
| 業務 | 特別教育 | 作業主任者 |
|---|---|---|
| 特定粉じん作業 | あり | なし |
| 有機溶剤業務 | なし | あり |
| 特定化学物質(製造・取扱) | なし(一般) | あり |
| 鉛業務 | なし | あり |
| 酸素欠乏危険作業 | あり | あり |
| 石綿の解体等 | あり | あり(石綿作業主任者) |
酸素欠乏危険作業や石綿の作業のように、特別教育と作業主任者の両方が必要な業務もあります。「どちらか一方だけ」と決めつけないようにします。
混同しやすいところ
特別教育 と 作業主任者
特別教育は危険有害業務に就く労働者本人への教育、作業主任者は作業を指揮する人の選任です。粉じん作業は特別教育のみ、有機溶剤・特化物・鉛は作業主任者のみ、酸欠・石綿は両方です。
特別教育 と 技能講習
特別教育の講師に法定の資格要件はありません。技能講習は修了することが作業主任者選任の要件になりますが、特別教育の修了は資格ではなく、その業務に就くための教育です。
雇入時教育 と 特別教育
雇入時教育は新しく雇い入れた全員が対象。特別教育は危険有害業務に就く人が対象です。目的と対象者が違います。
特別教育は、労働衛生関係法令の問3で繰り返し(令和5年8月・令和7年2月・令和8年2月ほか)出題されています。対象業務の取り違えと、教育の枠組みが中心です。
| 年度 | 問 | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 令和5年8月 | 問3 | 特別教育が必要な業務を選ぶ。廃棄物焼却施設の焼却灰取扱(ダイオキシン類)が正解。有機溶剤洗浄・特化物製造・鉛ライニングは対象外。 |
| 令和6年8月 | 問3 | 教育の枠組み。「特別教育の講師は法令で定める要件を満たす者でなければならない」が誤り(講師に法定の資格要件はない)。記録は3年保存。 |
| 令和7年2月 | 問3 | 特別教育が規定されていない業務を選ぶ。鉛化合物を製造する工程の鉛の溶融・粉砕等が正解(鉛業務に特別教育の規定はない)。 |
| 令和8年2月 | 問3 | 特別教育に該当しない業務を選ぶ。特定化学物質を製造し又は取り扱う業務が正解(一般には特別教育の対象でない)。特定粉じん作業・石綿解体・酸欠は対象。 |
引っかけは次の型に整理できます。
酸欠・特定粉じん・石綿・ダイオキシン・高圧室内・透過写真撮影は特別教育。有機溶剤・特化物・鉛は特別教育がなく作業主任者で管理。講師に資格要件はなく、記録は3年保存です。
問題:有機溶剤等を用いて行う洗浄の業務に労働者を就かせるときは、特別の教育を行わなければならない。
〇か×か。
答え:×
有機溶剤業務には特別教育の規定がありません。有機溶剤作業主任者を選任して管理します(令和5年8月 関係法令 問3の論点)。
問題:特定粉じん作業に係る業務に常時就かせるときは、特別の教育を行わなければならない。
〇か×か。
答え:〇
特定粉じん作業(設備による注水・注油をしながら行うものを除く)は特別教育の対象です。なお粉じん作業には作業主任者の制度はありません(令和8年2月 関係法令 問3の論点)。
問題:特別教育の講師は、法令で定める資格要件を満たす者でなければならない。
〇か×か。
答え:×
特別教育の講師に法令で定める資格要件はありません。その科目について十分な知識・経験を有する者が行います。なお、教育の記録は3年間保存します(令和6年8月 関係法令 問3の論点)。
特別教育は、危険・有害な業務に就く労働者本人への教育です。
酸素欠乏危険作業・特定粉じん作業・石綿解体・ダイオキシン類・高圧室内・透過写真撮影などが対象で、有機溶剤・特定化学物質(一般)・鉛の業務には規定がありません(これらは作業主任者で管理)。
問3で毎年問われる引っかけは、有機溶剤・特化物・鉛を特別教育の対象とする取り違え、粉じん作業と作業主任者の混同、講師の資格要件、特別教育と作業主任者の「どちらか一方」という思い込みの4つです。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
手続きの細かい論点
特別教育の講師には、法令で定める資格要件はありません(その科目について十分な知識・経験を有する者が行います)。技能講習のように修了が資格になるものとは異なります。また、特別教育を行ったときは、受講者・科目等の記録を作成し、3年間保存します。