作業環境測定士 独学ノート
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金属による健康障害(標的臓器のまとめ)|作業環境測定士

編集部

金属はどれがどの臓器に来るか、ごちゃごちゃになりますよね。「水銀の有機は脳、無機は腎臓」「カドミウムは腎臓」「六価クロムは鼻と肺」のように、金属ごとに標的臓器を一つずつ結びつけると整理できます。

この記事の要点

金属はそれぞれ標的臓器が決まっています。有機(メチル)水銀は脳、無機水銀とカドミウムは腎臓、六価クロムは鼻中隔穿孔・肺がん、マンガンはパーキンソン様症状、ベリリウムは肺です。

鉛は貧血・伸筋麻痺(垂れ手)・腹部疝痛、金属熱は亜鉛・銅などのヒュームで起こる一過性の発熱です。六価クロムは三価より毒性が強い点も要注意です。

金属は特定化学物質や鉛として規制され、作業環境測定の対象にもなります。試験では労働衛生一般の問9で、金属と健康障害(標的臓器)の組合せがほぼ毎年問われます。

標的臓器の取り違えが引っかけの中心です。

有機水銀は脳、無機水銀とカドミウムは腎臓、六価クロムは鼻中隔穿孔・肺がん、マンガンはパーキンソン様症状、ベリリウムは肺です。

金属ごとの標的臓器・症状

金属主な健康障害・標的臓器
水銀(有機・メチル)脳・中枢神経(視野狭窄、聴覚障害、運動障害)。水俣病の原因
水銀(無機)腎機能障害(気道・消化管から吸収)。金属水銀は蒸気を吸入すると脳に達し、精神障害・手指の震え
カドミウム腎機能障害(尿中β₂-ミクログロブリンが指標)、イタイイタイ病。ヒューム吸入で上気道炎・肺炎
クロム(六価)皮膚の充血・潰瘍、鼻中隔穿孔肺がん。三価より毒性が強い
マンガン脳に蓄積。パーキンソン病に似た症状(歩行障害・発語障害・筋緊張亢進)、精神症状
ベリリウム肺(ベリリウム肺・肉芽腫)、接触皮膚炎。感作性
インジウム間質性肺炎、発がんのおそれ
ニッケル感作性(皮膚炎・喘息)、ニッケル化合物は肺がん・鼻腔がん
ヒ素皮膚(角化症・黒皮症)、鼻中隔穿孔、肺がん
貧血(ヘム合成の阻害)、伸筋麻痺(垂れ手)、腹部の疝痛、腎機能障害

水銀は「形」で標的が変わる

水銀は化学形で標的臓器が変わるのが特徴です。有機(メチル)水銀は脳・中枢神経を侵し、視野狭窄・聴覚障害・運動障害を起こします(水俣病)。

一方、無機水銀は腎臓が標的です。

金属水銀は経口ではほとんど吸収されませんが、蒸気を吸入すると脳に達し、感情不安定・幻覚などの精神障害や手指の震えを起こします。

金属熱(亜鉛・銅のヒューム)

金属熱は、亜鉛や銅などのヒュームを吸入して起こる疾病で、悪寒・発熱・関節痛などインフルエンザに似た症状が出ます。

重要なのは、一過性で、通常は後遺症を残さないことです。「記憶障害や脱力感などの後遺症が出ることが多い」とするのは誤りです。

「溶血性貧血・尿の赤色化」に注意

「溶血性貧血、尿の赤色化」といった症状を、ベリリウムやインジウムの中毒として書く選択肢は誤りです。ベリリウムは肺(肉芽腫)、インジウムは間質性肺炎が中心です。聞き慣れない症状を有名な金属に結びつける引っかけに注意します。

混同しやすいところ

有機水銀 と 無機水銀

有機(メチル)水銀は脳・中枢神経(水俣病)、無機水銀は腎臓が標的です。金属水銀は蒸気の吸入で脳に達します。

六価クロム と 三価クロム

毒性が強く発がん性があるのは六価クロムです(鼻中隔穿孔・肺がん)。三価クロムは毒性が弱いとされます。「三価が特に毒性が強い」は誤りです。

金属熱 の後遺症

金属熱は亜鉛・銅などのヒュームによる一過性の発熱で、通常は後遺症を残しません。

過去問でどう問われたか

金属による健康障害は、労働衛生一般の問9で6回連続(令和5年8月〜令和8年2月)出題されています。標的臓器や症状を入れ替える形が中心です。

年度問われ方・引っかけ
令和8年2月問9コバルトの症状に「貧血・末梢神経障害」を含めた選択肢が誤り。六価クロム=鼻中隔穿孔・肺がんは正しい。
令和7年8月問9ベリリウム中毒を「溶血性貧血、尿の赤色化」とした選択肢が誤り(ベリリウムは肺)。
令和7年2月問9「自然界のコバルトは全て放射性」とした選択肢が誤り(天然コバルトは安定。放射性は人工のコバルト60)。
令和6年8月問9金属熱に「記憶障害や脱力感などの後遺症が出ることが多い」とした選択肢が誤り(一過性)。
令和6年2月・令和5年8月問9インジウムを「溶血性貧血・尿の赤色化」とした選択肢、「三価クロムが特に毒性が強い」とした選択肢が誤り。

引っかけは次の型に整理できます。

  • 標的臓器を入れ替える(有機水銀=脳、無機水銀・カドミウム=腎臓、ベリリウム・インジウム=肺)。
  • 三価クロムを「毒性が強い」とする(強いのは六価クロム)。
  • 金属熱に後遺症があるとする(一過性)。
  • 聞き慣れない症状(溶血性貧血・尿赤色化)を有名な金属に結びつける

有機水銀=脳、無機水銀・カドミウム=腎臓、六価クロム=鼻中隔穿孔・肺がん、マンガン=パーキンソン様、ベリリウム=肺。三価より六価クロムが有害、金属熱は一過性です。

理解度チェック

問題:クロム化合物のうち、クロムが三価のものは六価のものより特に毒性が強い。

〇か×か。

答えを見る

答え:×

毒性が強く発がん性があるのは六価クロムです。長期間のばく露で鼻中隔穿孔や肺がんを生じます。三価クロムは毒性が弱いとされます(令和5年8月 労働衛生一般 問9の論点)。

問題:金属熱は、亜鉛や銅などのヒュームを吸入して起こり、記憶障害や脱力感などの後遺症が出ることが多い。

〇か×か。

答えを見る

答え:×

金属熱は悪寒・発熱・関節痛などが出る一過性の疾病で、通常は後遺症を残しません(令和6年8月 労働衛生一般 問9の論点)。

問題:アルキル水銀化合物が経口摂取された場合の標的臓器は脳で、視野狭窄、聴覚障害、運動障害などが生じる。

〇か×か。

答えを見る

答え:

有機(アルキル・メチル)水銀の標的臓器は脳・中枢神経で、視野狭窄・聴覚障害・運動障害を起こします(水俣病)。無機水銀の腎臓とは区別します(令和8年2月 労働衛生一般 問9の論点)。

まとめ

金属はそれぞれ標的臓器が決まっています。

有機水銀は脳、無機水銀とカドミウムは腎臓、六価クロムは鼻中隔穿孔・肺がん、マンガンはパーキンソン様症状、ベリリウムは肺、鉛は貧血・伸筋麻痺です。

問9で毎年問われる引っかけは、標的臓器の入れ替え、三価・六価クロムの毒性、金属熱の後遺症、聞き慣れない症状の結びつけです。

参考資料

  • 金属及びその化合物の健康影響(水銀=有機が中枢神経・無機が腎、カドミウム=腎・イタイイタイ病、六価クロム=鼻中隔穿孔・肺がん、マンガン=パーキンソン様、ベリリウム=肺・肉芽腫、鉛=貧血・伸筋麻痺、金属熱=亜鉛/銅ヒュームで一過性)は、職業性中毒・産業衛生の解説(金属中毒の公的資料等)による。
  • 三価クロムより六価クロムの毒性が強く発がん性がある。天然のコバルトは安定で、放射性はコバルト60(人工)。
  • 過去問の問われ方は、安全衛生技術試験協会の公表試験問題(労働衛生一般 問9、令和5年8月〜令和8年2月)にもとづく・公表正答。

この記事を書いた人

作業環境測定士 独学ノート 編集部

作業環境測定士試験を独学で受ける人のための学習ノートの編集部です。