編集部
ICPは原子吸光とどう違う?で迷いますよね。原子吸光は「吸収」を1元素ずつ、ICPは高温プラズマで「発光」を多元素同時に。直線範囲も広い。発光と多元素同時がキーワードです。
この記事の要点
ICP発光分光分析法(ICP-AES)は、高周波で生成したアルゴンプラズマ(約6000〜10000K)に試料を導入し、励起された原子・イオンの発光を測定します。
多元素の同時分析ができ、検量線の直線範囲が原子吸光分析法より広いのが特徴。試料導入はネブライザー(不溶物はろ過)、観測方向は軸方向が低濃度・高感度、横方向が高濃度向きです。
ICP発光分光分析法は金属の多元素分析に使われ、分析に関する概論の問10で問われます。原子吸光との違い、観測方向が中心です。
ICPは高温のアルゴンプラズマで発光を測定し、多元素を同時分析できる。検量線の直線範囲は原子吸光より広いです。
混同しやすいところ
原子吸光 と ICP発光
原子吸光は共鳴線の吸収を1元素ずつ、ICP-AESは高温プラズマの発光を多元素同時に測ります。ICPは直線範囲が広いです。
観測方向(軸方向 と 横方向)
軸方向は高感度で低濃度向き、横方向は高濃度向きです。逆にしないようにします。
試料導入
ネブライザーで霧化して導入し、不溶物はあらかじめろ過します。
ICP発光分光分析法は、分析に関する概論の問10で繰り返し(令和6年2月・令和6年8月・令和7年2月)出題されています。観測方向、内標準、試料導入が中心です。
| 年度 | 問 | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 令和7年2月 | 問10 | 内標準物質に「測定対象物質の安定同位体」を使うとした選択肢が論点(同位体希釈はICP-MSの手法)。検量線が原子吸光より広い・ネブライザーでろ過は正しい。 |
| 令和6年8月 | 問10 | イオン化干渉や観測方向に関する選択肢が論点。検量線の直線範囲が原子吸光より広い・多元素同時分析可能は正しい。 |
| 令和6年2月 | 問10 | 「高濃度の測定に軸方向観測、低濃度に横方向観測が適している」とした選択肢が誤り(逆)。プラズマ温度6000〜10000Kは正しい。 |
引っかけは次の型に整理できます。
ICPはアルゴンプラズマ(6000〜10000K)で発光を測定し、多元素同時分析・直線範囲が広い。軸方向=低濃度、横方向=高濃度です。
問題:ICP発光分光分析法は、原子吸光分析法と比較して、検量線が直線となる濃度範囲が広い。
〇か×か。
答え:〇
ICP-AESは原子吸光分析法に比べ、検量線の直線範囲が広いのが特徴です(令和7年2月 分析概論 問10の論点)。
問題:ICPの観測方向では、高濃度の測定に軸方向観測が、低濃度の測定に横方向観測が適している。
〇か×か。
答え:×
逆です。軸方向観測は感度が高く低濃度向き、横方向観測は高濃度向きです(令和6年2月 分析概論 問10の論点)。
問題:試料溶液に懸濁物が含まれる場合は、ネブライザーが詰まらないよう、あらかじめろ過する必要がある。
〇か×か。
答え:〇
ネブライザーは先端が細いため、不溶物(懸濁物)はあらかじめろ過します(令和7年2月 分析概論 問10の論点)。
ICP発光分光分析法は、高周波で生成したアルゴンプラズマ(約6000〜10000K)に試料を導入し、励起された原子・イオンの発光を測定します。
多元素の同時分析ができ、検量線の直線範囲が原子吸光分析法より広いのが特徴です。
試料はネブライザーで導入し(不溶物はろ過)、観測方向は軸方向が低濃度・高感度、横方向が高濃度向きです。
問10で問われる引っかけは、観測方向、ICP-MSの手法の混入、原子吸光との違い、試料導入です。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
原子吸光・ICP-MSとの違い
原子吸光分析法(AAS)は光源の共鳴線の「吸収」を1元素ずつ測ります。ICP-AESは高温プラズマでの「発光」を多元素同時に測り、直線範囲も広い。なお、内標準に測定対象の安定同位体を使うのはICP-MS(質量分析、同位体希釈)で、ICP-AES(発光)の手法とは異なります。