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ICP発光分光分析法(多元素同時分析)|作業環境測定士

編集部

ICPは原子吸光とどう違う?で迷いますよね。原子吸光は「吸収」を1元素ずつ、ICPは高温プラズマで「発光」を多元素同時に。直線範囲も広い。発光と多元素同時がキーワードです。

この記事の要点

ICP発光分光分析法(ICP-AES)は、高周波で生成したアルゴンプラズマ(約6000〜10000K)に試料を導入し、励起された原子・イオンの発光を測定します。

多元素の同時分析ができ、検量線の直線範囲が原子吸光分析法より広いのが特徴。試料導入はネブライザー(不溶物はろ過)、観測方向は軸方向が低濃度・高感度、横方向が高濃度向きです。

ICP発光分光分析法は金属の多元素分析に使われ、分析に関する概論の問10で問われます。原子吸光との違い、観測方向が中心です。

ICPは高温のアルゴンプラズマで発光を測定し、多元素を同時分析できる。検量線の直線範囲は原子吸光より広いです。

原理と特徴

  • プラズマ…高周波(誘導結合)で生成したアルゴンプラズマ。温度は約6000〜10000Kと高く、原子・イオンを励起します。プラズマ中で発光するのは中性原子やイオンの励起状態です。
  • 測定…励起された原子・イオンが基底状態に戻る際の発光を測ります(原子吸光が「吸収」を測るのと対照的)。
  • 多元素同時分析…可能。シーケンシャル型・マルチ型のいずれの検出器でも多元素分析ができます。
  • 検量線直線範囲が原子吸光分析法より広い
  • 波長選択…回折格子で測定波長を選び、妨害物質に応じて波長を選択します。

試料導入と観測方向

  • 試料導入…ネブライザー(噴霧器)で霧化して導入します。先端が細いため、不溶物(懸濁物)はあらかじめろ過します。還元気化や水素化物発生による導入も可能です。
  • 観測方向…軸方向(アキシャル)と横方向(ラジアル)があります。軸方向は感度が高く低濃度向き、横方向は高濃度向きです。「高濃度に軸方向、低濃度に横方向」とするのは逆で、誤りです。

原子吸光・ICP-MSとの違い

原子吸光分析法(AAS)は光源の共鳴線の「吸収」を1元素ずつ測ります。ICP-AESは高温プラズマでの「発光」を多元素同時に測り、直線範囲も広い。なお、内標準に測定対象の安定同位体を使うのはICP-MS(質量分析、同位体希釈)で、ICP-AES(発光)の手法とは異なります。

混同しやすいところ

原子吸光 と ICP発光

原子吸光は共鳴線の吸収を1元素ずつ、ICP-AESは高温プラズマの発光を多元素同時に測ります。ICPは直線範囲が広いです。

観測方向(軸方向 と 横方向)

軸方向は高感度で低濃度向き、横方向は高濃度向きです。逆にしないようにします。

試料導入

ネブライザーで霧化して導入し、不溶物はあらかじめろ過します。

過去問でどう問われたか

ICP発光分光分析法は、分析に関する概論の問10で繰り返し(令和6年2月・令和6年8月・令和7年2月)出題されています。観測方向、内標準、試料導入が中心です。

年度問われ方・引っかけ
令和7年2月問10内標準物質に「測定対象物質の安定同位体」を使うとした選択肢が論点(同位体希釈はICP-MSの手法)。検量線が原子吸光より広い・ネブライザーでろ過は正しい。
令和6年8月問10イオン化干渉や観測方向に関する選択肢が論点。検量線の直線範囲が原子吸光より広い・多元素同時分析可能は正しい。
令和6年2月問10「高濃度の測定に軸方向観測、低濃度に横方向観測が適している」とした選択肢が誤り(逆)。プラズマ温度6000〜10000Kは正しい。

引っかけは次の型に整理できます。

  • 観測方向を逆にする(軸方向=低濃度・高感度、横方向=高濃度)。
  • ICP-MSの手法を混ぜる(安定同位体の内標準は同位体希釈=ICP-MS)。
  • 原子吸光との違いを誤る(ICPは発光・多元素同時・直線範囲が広い)。
  • 試料導入の前処理を誤る(不溶物はあらかじめろ過)。

ICPはアルゴンプラズマ(6000〜10000K)で発光を測定し、多元素同時分析・直線範囲が広い。軸方向=低濃度、横方向=高濃度です。

理解度チェック

問題:ICP発光分光分析法は、原子吸光分析法と比較して、検量線が直線となる濃度範囲が広い。

〇か×か。

答えを見る

答え:

ICP-AESは原子吸光分析法に比べ、検量線の直線範囲が広いのが特徴です(令和7年2月 分析概論 問10の論点)。

問題:ICPの観測方向では、高濃度の測定に軸方向観測が、低濃度の測定に横方向観測が適している。

〇か×か。

答えを見る

答え:×

逆です。軸方向観測は感度が高く低濃度向き、横方向観測は高濃度向きです(令和6年2月 分析概論 問10の論点)。

問題:試料溶液に懸濁物が含まれる場合は、ネブライザーが詰まらないよう、あらかじめろ過する必要がある。

〇か×か。

答えを見る

答え:

ネブライザーは先端が細いため、不溶物(懸濁物)はあらかじめろ過します(令和7年2月 分析概論 問10の論点)。

まとめ

ICP発光分光分析法は、高周波で生成したアルゴンプラズマ(約6000〜10000K)に試料を導入し、励起された原子・イオンの発光を測定します。

多元素の同時分析ができ、検量線の直線範囲が原子吸光分析法より広いのが特徴です。

試料はネブライザーで導入し(不溶物はろ過)、観測方向は軸方向が低濃度・高感度、横方向が高濃度向きです。

問10で問われる引っかけは、観測方向、ICP-MSの手法の混入、原子吸光との違い、試料導入です。

参考資料

  • ICP発光分光分析法(ICP-AES、アルゴンプラズマ約6000〜10000K、発光の測定、多元素同時分析、検量線の直線範囲が原子吸光より広い、ネブライザーによる試料導入と不溶物のろ過、観測方向=軸方向が低濃度・高感度/横方向が高濃度、波長選択は回折格子)は、機器分析・分析化学の基礎による。安定同位体を内標準とする同位体希釈はICP-MSの手法。
  • 過去問の問われ方は、安全衛生技術試験協会の公表試験問題(分析に関する概論 問10、令和6年2月〜令和7年2月)にもとづく・公表正答。

この記事を書いた人

作業環境測定士 独学ノート 編集部

作業環境測定士試験を独学で受ける人のための学習ノートの編集部です。