編集部
「原子吸光は吸収?発光?」で迷いますよね。名前のとおり原子が光を吸収する分析です。基底状態の原子が共鳴線を吸収し、吸光度は濃度に比例。発光やイオン化と取り違えた選択肢が引っかけです。
この記事の要点
原子吸光は、基底状態の原子が光源(中空陰極ランプ)の共鳴線を吸収する分析法です。吸光度は濃度に比例し、光源光の強度には依存しません(発光ではなく吸収を測る)。
原子化法はフレーム法・グラファイト炉法・還元気化法。バックグラウンド補正には重水素ランプを用います。定量は検量線法です。
原子吸光分析法は金属の定量に広く使われ、分析に関する概論の問15で毎年問われます。発光・イオン化との取り違えが引っかけの中心です。
基底状態の原子が共鳴線を吸収し、吸光度は濃度に比例(光源強度ではない)。発光でもイオン化でもなく、原子の吸収を測ります。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| フレーム法 | アセチレン-空気などの化学炎で原子化。試料は噴霧室で霧化され、数%〜10%程度がフレームへ送られる |
| グラファイト炉法 | 炉に通電したジュール熱で加熱。乾燥→灰化→原子化と段階的に昇温。微量・高感度 |
| 還元気化法・水素化物発生法 | 水銀は塩化スズ(II)などで還元し原子状水銀に。ヒ素などは水素化ホウ素ナトリウムで水素化物を発生させ加熱して原子化 |
混同しやすいところ
吸収 と 発光
原子吸光は基底状態の原子が共鳴線を吸収する分析です。フレーム中の原子が発する光を測る(発光分析)ではありません。
原子 と イオン
共鳴線を吸収するのは基底状態の「原子」です。イオン化した元素ではありません。
吸光度 と 光源強度
吸光度は濃度に比例し、光源光の強度には依存しません。
原子吸光分析法は、分析に関する概論の問15で6回連続(令和5年8月〜令和8年2月)出題されています。原理の取り違えが中心です。
| 年度 | 問 | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 令和8年2月 | 問15 | グラファイト炉の「化学干渉」に重水素ランプでバックグラウンド補正、とした選択肢が誤り。 |
| 令和7年8月 | 問15 | 「イオン化した目的元素が共鳴線を吸収する」とした選択肢が誤り(基底状態の原子が吸収)。 |
| 令和7年2月 | 問15 | 「フレーム中の原子が発する光の強度を測定する」とした選択肢が誤り(吸収を測る)。 |
| 令和6年8月・令和6年2月 | 問15 | 「吸光度は光源光の強度に比例する」とした選択肢が誤り(濃度に比例)。 |
| 令和5年8月 | 問15 | 還元気化法・水素化物発生法(水銀=塩化スズ(II)、ヒ素=水素化ホウ素ナトリウム)に関する論点。 |
引っかけは次の型に整理できます。
基底状態の原子が共鳴線を吸収し、吸光度は濃度に比例。発光・イオン化・光源強度との取り違え、バックグラウンド補正と化学干渉の取り違えに注意します。
問題:フレーム原子吸光分析法では、フレーム中でイオン化した目的元素が光源からの共鳴線を吸収する。
〇か×か。
答え:×
共鳴線を吸収するのは基底状態の原子です。イオン化した元素ではありません(令和7年8月 分析概論 問15の論点)。
問題:原子吸光分析法の吸光度は、光源光の強度に比例する。
〇か×か。
答え:×
吸光度は測定対象物質の濃度に比例します。光源光の強度には依存しません(令和6年8月 分析概論 問15の論点)。
問題:水銀の還元気化法では、水銀イオンを塩化スズ(II)などの還元剤で還元して原子化する。
〇か×か。
答え:〇
還元気化法では、水銀イオンを塩化スズ(II)などで還元し、原子状の水銀にして測定します(令和8年2月 分析概論 問15の論点)。
原子吸光は、基底状態の原子が光源(中空陰極ランプ)の共鳴線を吸収する分析法で、吸光度は濃度に比例します。
原子化法はフレーム法・グラファイト炉法・還元気化法があり、バックグラウンド補正には重水素ランプを用います。
問15で毎年問われる引っかけは、吸収と発光、原子とイオン、吸光度と光源強度、バックグラウンド補正と化学干渉です。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
バックグラウンド補正は「化学干渉」の補正ではない
重水素ランプによるバックグラウンド補正は、分子吸収や光散乱によるバックグラウンド吸収を補正するものです。共存元素による化学干渉の補正ではありません。化学干渉は別の対処(測定条件の調整など)で扱います。両者を取り違える選択肢に注意します。