管工事施工管理技士 独学ガイド

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排水トラップとは?封水深50〜100mmの根拠と二重トラップの禁止

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封水の深さって、50mmか100mmか、どっちが正しいんでしょうか。

数字だけ覚えても、選択肢を並べられると自信がなくなります。

この記事の要点

排水トラップは、排水管の中の臭気と衛生害虫が室内側へ移動するのを防ぐための配管設備です。水をためて蓋のかわりにします。

封水の深さは告示で50mm以上100mm以下と決まっています。下限だけでなく上限があることが、選択肢を切るときの手がかりになります。

試験では、この数値、二重トラップの禁止、そして封水が失われる原因の呼び分けが問われます。

排水トラップは、臭気や虫の通り道を水でふさぐ部品です。

告示は「排水管内の臭気、衛生害虫等の移動を有効に防止するための配管設備」と定義しています。

この水のたまりを封水と呼び、その深さが封水深です。告示が定める範囲は次のとおりです。

排水トラップの深さの規定を数直線で示した図。一般の排水トラップは50mm以上100mm以下の範囲に収まる帯で示され、阻集器を兼ねる排水トラップは50mmから右へ開いた帯で上限の定めがないことを示している。数直線の目盛は0・50・100・150mm。
一般の排水トラップは50mm以上100mm以下。阻集器を兼ねるものだけ上限の定めがない。※規定の範囲を数直線で示したもの。

昭和50年建設省告示第1597号 第二 三(排水トラップ)

排水トラツプ(排水管内の臭気、衛生害虫等の移動を有効に防止するための配管設備をいう。以下同じ。)

イ 雨水排水管(雨水排水立て管を除く。)を汚水排水のための配管設備に連結する場合においては、当該雨水排水管に排水トラツプを設けること。

ロ 二重トラツプとならないように設けること。

ハ 汚水に含まれる汚物等が付着し、又は沈殿しない措置を講ずること。ただし、阻集器を兼ねる排水トラップについては、この限りでない。

ニ 排水トラップの深さ(排水管内の臭気、衛生害虫等の移動を防止するための有効な深さをいう。)は、五センチメートル以上十センチメートル以下(阻集器を兼ねる排水トラップにあつては、五センチメートル以上)とすること。

ホ 容易に掃除ができる措置を講ずること。

排水トラップは何を止めているのか

止めているのは水ではなく、臭気と衛生害虫の移動です。

排水そのものは流さなければなりません。流しながら、においと虫だけを通さないのがトラップの役目です。

だから封水が無くなると、排水は流れていてもトラップとしては機能していません。

封水の深さはなぜ上限まで決まっているのか

告示は深さを50mm以上100mm以下としています。

下限だけでなく上限が定められている点が、この規定の特徴です。

例外は阻集器を兼ねる排水トラップで、この場合は50mm以上とだけ定められています。上限がありません。

種類 封水の深さ
一般の排水トラップ 50mm以上100mm以下
阻集器を兼ねる排水トラップ 50mm以上(上限の定めなし)

同じ数値がトラップ桝にも使われます。令和7年度1級の第一次検定では「トラップ桝は、50〜100mmの封水深を確保できるものとする」が正しい肢として出ています。

二重トラップはなぜ設けてはいけないのか

告示は「二重トラツプとならないように設けること」と定めています。

1つの排水経路にトラップが2つ直列に入る状態が二重トラップです。

告示は禁止だけを書いていて、理由は書いていません。試験でもここは「設けてはならない」という形で問われます。

あわせて押さえるのが、汚物等が付着・沈殿しない措置(ハ)と、容易に掃除ができる措置(ホ)です。阻集器を兼ねるトラップは、ハの例外になっています。

封水はどうやって失われるのか

令和7年度2級(前期)では、封水の損失原因として次の4つが並んだ肢が正しい肢として出ています。

  • 誘導サイホン作用
  • 自己サイホン作用
  • 蒸発
  • 毛管現象

このうち2つのサイホン作用は、名前を入れ替えた誤りの肢が繰り返し出ています。

呼び名 きっかけ
自己サイホン作用 その衛生器具自身の排水によって生じる
誘導サイホン作用 排水管内に生じた圧力変動によって生じる

令和7年度1級では「誘導サイホン作用とは、衛生器具自身の排水によって生じるサイホン作用」とした肢が誤りでした。

令和5年度1級では逆に「排水管内の圧力変動によって封水が吸い込まれる現象を自己サイホン作用という」とした肢が誤りでした。

2つの年度で入れ替えの向きが逆になっているので、どちらが自分の排水でどちらが管内の圧力かを固定して覚えます。

雨水排水管をつなぐときトラップが要るのはどんな場合か

告示イは、雨水排水管を汚水排水のための配管設備に連結する場合に、その雨水排水管へトラップを設けよと定めています。

ここで雨水排水立て管は除かれています

立て管が除かれているのは、そもそも連結が禁じられているからです。告示は別の号で次のように定めています。

昭和50年建設省告示第1597号 第二 一 ハ(排水管)

雨水排水立て管は、汚水排水管若しくは通気管と兼用し、又はこれらの管に連結しないこと。

立て管は兼用も連結もしない。立て管以外の雨水排水管をつなぐときはトラップを設ける。

なお告示第三に適用の特例があります。別表第一(い)欄の用途以外で、階数が2以下かつ延べ面積500m²以下の建築物では、第二第三号イ(この雨水排水管のトラップ)と第四号(阻集器)が適用されません。

まちがえやすいポイント

引っかかりやすいのは、封水深に上限があることを忘れる点です。

50mm以上とだけ覚えていると、「50mm以上」と書かれた一般のトラップの肢を正しいと判定してしまいます。一般は50mm以上100mm以下、上限が無いのは阻集器を兼ねる場合だけです。

もうひとつが2つのサイホン作用です。自分の排水なら自己管内の圧力なら誘導と結びつけると取り違えません。

理解度チェック

Q.

排水トラップは何の移動を防ぐための配管設備か。

排水管内の臭気、衛生害虫等の移動を有効に防止するための配管設備です。告示の定義がそのまま出題されます。

Q.

排水トラップの深さは何mm以上何mm以下か。例外はあるか。

50mm以上100mm以下です。阻集器を兼ねる排水トラップは50mm以上とだけ定められていて、上限がありません。

Q.

自己サイホン作用と誘導サイホン作用は何が違うか。

自己サイホン作用はその衛生器具自身の排水によって生じます。誘導サイホン作用は排水管内に生じた圧力変動によって生じます。

Q.

雨水排水立て管を汚水排水管や通気管につないでよいか。

兼用も連結もできません。立て管以外の雨水排水管を汚水排水のための配管設備に連結する場合は、その雨水排水管に排水トラップを設けます。

Q.

封水が失われる原因として過去問に並んだ4つは何か。

誘導サイホン作用、自己サイホン作用、蒸発、毛管現象です。令和7年度2級(前期)で正しい肢として出ています。

まとめ

  • 排水トラップは臭気と衛生害虫の移動を防ぐ配管設備。水そのものを止める部品ではない。
  • 封水の深さは50mm以上100mm以下上限があることが手がかり。
  • 阻集器を兼ねる場合だけ50mm以上で上限の定めがない。
  • 二重トラップにしない。汚物等が付着・沈殿しない措置と、容易に掃除ができる措置も告示の要求。
  • 封水の損失は誘導サイホン・自己サイホン・蒸発・毛管現象。自分の排水なら自己、管内の圧力なら誘導。
  • 雨水排水立て管は汚水排水管・通気管と兼用も連結もしない

実際に設ける寸法や材料は、設計図書と所轄行政庁の運用によります。個別の可否は所轄の建築主事・指定確認検査機関にご確認ください。

あわせて読む

この科目の過去問はどこにあるか

級ごとに分けています。1級 衛生設備2級 衛生設備を見てください。

参考資料

  • 昭和50年建設省告示第1597号「建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造方法を定める件」(PDF・国土交通省)。トラップの定義、封水の深さ、二重トラップの禁止、雨水排水管の扱い、適用の特例は同告示 第二 及び 第三 によります。
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の2の4(e-Gov法令検索)。告示の根拠条です。
  • ※ 同告示の前文は根拠を「建築基準法施行令第129条の2の5第2項第6号及び第3項第5号」と表記していますが、現行の該当条は第129条の2の4です。本文は現行の条番号で書き、条文の引用は原文のまま載せています。
  • ※ 正誤の判定は、一般財団法人 全国建設研修センターが公表した各年度の正答肢によります(令和7年度1級 第一次検定 問題A No.31・No.32/令和7年度2級 第一次検定(前期)No.20/令和5年度1級 第一次検定 問題A No.31)。
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管工事施工管理技士の用語・過去問を、法令や公的な基準など一次資料にあたって整理しています。

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管工事施工管理技士の用語・条文・数値を、公表された過去問と一次資料にあたって整理しています。

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