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同じ「根入れ2m」なのに、正しい年度と誤りの年度があるのはなんで?
数字を覚えるだけじゃ追いつかないんだけど…。
この記事の要点
根入れの深さとは、電柱を地中に埋め込む部分の深さのことです。
A種鉄筋コンクリート柱の根入れは、設計荷重と柱の全長に応じて59-3表の値以上と決められています。全長15m以下なら全長の6分の1です。
だから長さ15mで2mとした肢は誤り、長さ12mで2m以上とした肢は正しくなります。
架空配電線路の電柱の施工は、2級で4年度に出ています。
肢の並びはほぼ固定で、入れ替わるのは根入れの数字と、電線の接続・引留めの部材です。
根拠は電気設備の技術基準の解釈 第59条第2項です。
言い換えると、「全長15m以下なら、柱の長さを6で割った値が根入れの下限」ということです。
電気設備の技術基準の解釈 第59条第2項(抜粋)
低圧又は高圧の架空電線路の支持物として使用するA種鉄筋コンクリート柱は、次の各号に適合するものであること。
二 設計荷重及び柱の全長に応じ、根入れ深さを59-3表に規定する値以上として施設すること。
59-3表(設計荷重6.87kN以下の部分)
| 全長 | 根入れ深さ |
|---|---|
| 15m以下 | 全長の1/6 |
| 15mを超え16m以下 | 2.5m |
| 16mを超え20m以下 | 2.8m |
15m以下は「全長の1/6」という式で、決まった数値ではありません。だから同じ2mでも、柱の長さで正誤が入れ替わります。
4年度すべてで、根入れの深さが並びました。
数字だけを覚えると逆になります。2mが正しいか誤りかは、柱の全長で決まります。令和7年度は設計荷重まで書き添えてありますが、6.87kN以下なので全長の1/6という決め方は変わりません。
令和7年度2級(後期)No.47は、根入れではなく足場ボルトが答えでした。
例えば、平成30年度2級前期と令和2年度2級は、どちらも選択肢1で長さ15mの柱に根入れ2mを当てています。2.5m必要なところに0.5m足りないという形です。同じ文が2年度そのまま使われました。
電気設備の技術基準の解釈 第53条【架空電線路の支持物の昇塔防止】(抜粋)
架空電線路の支持物に取扱者が昇降に使用する足場金具等を施設する場合は、地表上1.8m以上に施設すること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
一 足場金具等が内部に格納できる構造である場合
二 支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
三 支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように、さく、へい等を施設する場合
四 支持物を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合
肢は「足場ボルトは、地表上1.5mの高さに取り付けた」でした。1.8mに届いていません。
ただし書きは4つとも「人が登れない状態にしてある場合」の話です。肢にはそうした条件が書かれていないので、本則の1.8mで判断できます。同じ1.8mは有線電気通信設備の高さにも出てきますが、そちらの根拠は有線電気通信設備令 第7条の2で、別の法令です。
電線の接続や引留めについては高圧架空配電線路の施工、電柱に載せる変圧器については柱上変圧器の施工で扱っています。
残る肢は支線と電線の部材です。こちらは解釈ではなく、公共建築工事標準仕様書に定められています。
この節で押さえるのは、次の3点です。
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 2.11.1/2.11.5
2.11.1 (4) 電柱に設ける足場ボルトは、道路に平行に取付けるものとし、地上2.6mの箇所より、低圧架空配線では最下部電線の下方約1.2m、高圧架空配線では高圧用アームの下方約1.2mの箇所まで、順次柱の両側に交互に取付け、最上部は2本取付ける。
2.11.5 (5) 支線の基礎材は、その引張荷重に耐えるように施設する。
2.11.5 (7) 支線には、支線が切断した場合であっても地表上2.5m以上となる位置に玉がいしを取付ける。
玉がいしの2.5mは、この条文の値そのものです。4年度すべての肢に並び、いずれも正しい側でした。打込み式アンカは支線の基礎材にあたり、平成27年度・平成30年度2級前期・令和7年度の3年度とも正しい側です。
引留め支持のがいしは、平成27年度 選択肢4で多溝がいしとされて答えになり、令和2年度 選択肢4では高圧耐張がいしで正しい側でした。高圧架空配電線路の施工では、この論点が6年度のうち4年度で答えになっています。電線の接続に使う部材のほうは、平成30年度2級前期の「圧縮型分岐スリーブ」も令和2年度の「圧縮スリーブ」も正しい側でした。
混同しやすい語
全長15m以下と15m超:15m以下は全長の6分の1、15mを超え16m以下は2.5mです。15mちょうどは「15m以下」に入るので、6分の1で計算します。
根入れ2mと2.5m:長さ12mなら2m、長さ15mなら2.5mです。数字だけを覚えると逆になります。
足場ボルトと玉がいし:足場ボルトは地表上1.8m以上(条文)、玉がいしは地表上2.5m以上(正答肢)。どちらも高さの話ですが根拠が違います。
多溝がいしと高圧耐張がいし:引留めに使うと正しい側になったのは高圧耐張がいしです。
支線の高さ:道路を横断する支線は路面上5m以上と第61条第2項にあります。玉がいしの2.5mとは別の規定です。
低圧屋側電線路:同じ配電線路まわりでも、建物の外壁に沿わせる工事は別に定められています。低圧屋側電線路の記事にまとめました。
答えになった肢を、年度ごとに並べます。
| 年度・級・問 | 並んだ論点 | 答えの論点 |
|---|---|---|
| 平成27年度 2級 学科 No.41 | 根入れ12m/玉がいし/打込み式アンカ/多溝がいし | 多溝がいし |
| 平成30年度 2級前期 学科 No.41 | 根入れ15m/玉がいし/打込み式アンカ/圧縮型分岐スリーブ | 根入れ |
| 令和2年度 2級(後期)学科 No.41 | 根入れ15m/玉がいし/圧縮スリーブ/高圧耐張がいし | 根入れ |
| 令和7年度 2級(後期)第一次 No.47 | 打込みアンカ/足場ボルト/根入れ6.87kN・15m/玉がいし | 足場ボルト |
根入れの肢は4年度すべてに置かれ、2年度で答え、2年度で正しい側です。全長を読まないと決まりません。
肢は次の順に見ます。
全長15mのA種鉄筋コンクリート柱に必要な根入れの深さは?
2.5m以上です。59-3表で全長15m以下は全長の6分の1と決められており、15÷6=2.5mになります(設計荷重6.87kN以下の場合)。
長さ12mの柱で根入れ2mとした肢の扱いは?
正しい側です。12÷6=2mなので、2m以上とすれば表を満たします。
足場金具等を施設する高さは?
地表上1.8m以上です(第53条)。格納できる構造や昇塔防止装置がある場合などはただし書きで除かれます。
玉がいしはどの位置に取り付けるか?
支線が断線したときに地表上2.5m以上となる位置です。4年度すべてで正しい側に置かれました。
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
高さの数値が3つ並びます。かかる相手が違います。
足場金具は地表上1.8m以上(解釈 第53条)、玉がいしは地表上2.5m以上(標準仕様書 2.11.5(7))、足場ボルトの取付けは地上2.6mの箇所から(同 2.11.1(4))です。
出題は「足場ボルト」と書きますが、解釈の言葉は「足場金具等」です。表記が違っても同じものを指しています。