令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.38は、光ファイバケーブルに関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、2つのモードのどちらが遠くまで届くかを分かっているかを問うものです。コアが細くて光の通り道が1本のシングルモードが長距離向きです。
選択肢3はこれを逆に書いています。
正解:選択肢3(マルチモードは長距離伝送に適している)
> この論点をやさしく解説:光ファイバとは?コアとクラッドの違いとシングルモード・マルチモードの使い分け
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | クラッドはコアより屈折率が低い | 全反射の条件。適当 |
| 2 | 光は全反射しながらコアの中を伝搬 | 伝わり方。適当 |
| 3 | マルチモードが長距離に適している | 逆。シングルモードが長距離向き。不適当 |
| 4 | 電磁誘導対策にノンメタリック型 | 金属を使わない。適当 |
不適当なのは選択肢3です。
引っかけの核心は、マルチのほうが多くて強そうに見えるところです。光の通り道が複数あることは、長距離ではかえって不利に働きます。
マルチモードはコアが太いので、光がいろいろな角度で入って進みます。まっすぐ進む光と、大きく反射しながら進む光では、着く時間がずれます。距離が長くなるほどこのずれが積み重なり、送り出したときは分かれていた信号の山が重なってしまいます。
| 項目 | シングルモード | マルチモード |
|---|---|---|
| コア径 | 小さい(約10μm) | 大きい(50μm・62.5μm) |
| 光の通り道 | 1本 | 複数 |
| 長距離伝送 | 適する | 適さない。到達時間のずれが積み重なる |
| 伝送帯域 | 広い | 狭い |
| 接続の手間 | 細いので難しい | 太いので楽 |
マルチモードは建物の中の配線のように短い区間で使われます。コアが太く接続しやすいので、施工の手間が少なくて済みます。長距離の幹線はシングルモードです。
この論点は繰り返し出ています。平成27年度 No.43には「マルチモードは、シングルモードと比べて長距離伝送に適している。」という今回とまったく同じ文があり、これが誤りとされました(公表正答は4)。同じ文が2年度とも答えになっています。
令和元年度 No.43では逆向きに「シングルモードは、マルチモードと比べて長距離伝送に適している。」が正しい選択肢として置かれ、「クラッドは、コアより屈折率が高い。」のほうが誤りとされました(公表正答は1)。クラッドの屈折率は低いほうが正しい、ということです。
これが今回の選択肢1にあたります。光がコアの中に閉じ込められるのは、屈折率の高いコアから低いクラッドへ向かうときに全反射が起きるからです。もしクラッドのほうが高ければ、光は外へ抜けてしまいます。
選択肢2の全反射は、令和元年度 No.43でも正しい選択肢として置かれていた内容です。
選択肢4のノンメタリック型は、テンションメンバや外装に金属を使わない構造の光ファイバケーブルです。金属があると近くの電力線から電磁誘導を受け、雷サージが伝わる経路にもなります。金属を無くせばこの心配がなくなります。平成30年度 No.48にも同じ文が正しい選択肢として置かれていました(公表正答は4)。
マルチモードが長距離伝送に向かないのはなぜか。
光の通り道が複数あり、進む経路によって着く時間がずれるためです。距離が長いほどずれが積み重なり、信号の形が崩れます。
コアとクラッドの屈折率はどちらが高いか。
コアです。屈折率の高いコアから低いクラッドへ向かうところで全反射が起き、光が閉じ込められます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月