令和4年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.25は、送電線の再閉路方式に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、再閉路がどんな事故を前提にしているかを分かっているかを問うものです。雷などで一時的に絶縁が壊れ、時間が経てば元に戻る事故が対象です。
そういう事故が起きるのは架空送電線です。
正解:選択肢4(主に地中送電系統で使用されるとした記述)
> この論点をやさしく解説:再閉路方式とは?単相・多相・三相再閉路の違いを整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 設定時間の経過後に自動投入 | 適当 |
| 2 | 三相再閉路は三相一括で遮断・再閉路 | 適当 |
| 3 | 無電圧時間で高速度・中速度・低速度に区分 | 適当 |
| 4 | 主に地中送電系統で使用される | 不適当。架空送電系統で使う |
最も不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、停電時間を短くするという前半が正しいので、後半まで流して読んでしまうところです。再閉路が成り立つのは事故が自然に消える見込みがあるときだけです。
架空送電線の事故は、大半が雷によるフラッシオーバです。遮断器で電流を切ればアークが消え、絶縁は空気なので自然に回復します。
| 送電線 | 絶縁 | 事故の性質と再閉路 |
|---|---|---|
| 架空送電線 | 空気 | アークが消えれば回復する。再閉路が有効 |
| 地中送電線 | ケーブルの絶縁体 | 一度壊れると元に戻らない。再閉路しない |
地中ケーブルの絶縁体は固体です。一度絶縁破壊するとその部分は永久に壊れたままなので、再閉路しても同じところでまた事故になります。
それどころか、壊れた場所へもう一度電圧をかけると被害が広がります。だから地中送電系統では再閉路を行いません。
この論点は繰り返されていて、壊す場所が3か所を回ります。
| 出題 | 公表正答 | 壊した場所 |
|---|---|---|
| 平成29年度 1級 No.19 | 2 | 「主に地中送電系統で使用される」 |
| 令和元年度 1級 No.19 | 3 | 「三相再閉路方式では故障相のみを遮断・再閉路する」 |
| 令和7年度 1級 No.16 | 3 | 「多相再閉路方式では事故相に関わらず三相一括で遮断・再閉路する」 |
| 令和4年度 1級 No.25 | 4 | 「主に地中送電系統で使用される」 |
平成29年度の誤り肢は令和4年度と一字一句同じです。三相か多相かの取り違えも定番で、令和元年度と令和7年度では方式の名前と中身が入れ替えられています。
| 方式 | 遮断と再閉路のしかた |
|---|---|
| 三相再閉路 | 事故相に関わらず三相一括で遮断し、三相一括で再閉路する |
| 単相再閉路 | 故障した1相だけを遮断・再閉路する |
| 多相再閉路 | 故障した相だけを遮断・再閉路する。2回線で送電を続けられる相を残す |
選択肢3の区分は、遮断器を開いてから再び閉じるまでの無電圧時間で分けます。高速度は1秒以下で、アークが消えるのに必要な時間を確保しつつ、系統が同期を失う前に戻します。
地中送電系統で再閉路を行わないのはなぜか。
ケーブルの絶縁体は固体で、一度絶縁破壊すると元に戻らないためです。再閉路すると同じ場所で再び事故になり、被害も広がります。
三相再閉路方式はどのように遮断・再閉路するか。
事故相に関わらず三相を一括で遮断し、三相一括で再閉路します。故障相だけを扱うのは単相再閉路方式です。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月