令和3年度 地質調査技士 現場技術・管理部門 No.23を解説、膨張性地山の調査項目
令和3年度 地質調査技士資格検定試験 現場技術・管理部門 No.23は、トンネル掘削で留意すべき膨張性地山の調査項目に関する問題です。この問題では、4つの記述のうち最も不適当なものを1つ選びます。
この問題のポイント
膨張性地山は、掘ったあとに地山が水を吸って膨らみ、トンネルの内空をはらみ出してくる地山です。
だから調べるのは、地圧の大きさ・地山の変形しやすさ・水を吸って劣化するかどうかです。
引っかけの核心は1点、圧密は水が抜けて縮む現象で、膨らむ膨張性地山の把握項目ではないという点です。
※ 問題文そのものは、一般社団法人 全国地質調査業協会連合会(全地連)が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢2(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 調査項目 | 正誤 |
|---|---|---|
| 1 | 土被り | ○(正しい) 地圧の大きさに直結する。深いほど地山を押す力が大きい |
| 2 | 圧密特性 | ×(誤り) 正答。水が抜けて縮む現象で、膨らむ地山の話ではない |
| 3 | 変形係数などの変形特性 | ○(正しい) 地山がどれだけ変形しやすいかを示す |
| 4 | スレーキング特性 | ○(正しい) 水を吸って崩れやすいかを示す |
選択肢1・3・4は、いずれも膨張性地山で押さえる項目です。選択肢2だけが、軟弱な粘性土の沈下を調べるための項目です。
選択肢2のポイント(ここが誤り)
圧密は、粘性土の中の水がゆっくり絞り出されて、地盤が縮んで沈下する現象です。
軟弱地盤に盛土をしたときに、どれだけ沈むか・どれくらいの時間がかかるかを調べるのが圧密試験です。
向きが逆になっています。
膨張性地山は、掘って応力が解放された地山が水を吸って膨らみ、トンネルの内側へせり出してきます。
蛇紋岩・温泉余土・泥岩・凝灰岩などが対象です。
膨らむ原因は、粘土鉱物が水を取り込むことと、地圧で押し出されることです。
だから土被り(選択肢1)で地圧を知り、変形係数(選択肢3)で変形しやすさを知り、スレーキング特性(選択肢4)で水を吸ったときの劣化を知ります。
圧密特性を調べても、地山が膨らむかどうかは分かりません。
選択肢2が、膨張性地山の調査項目として最も不適当です。
覚え方
- 膨張性地山=水を吸って膨らむ/圧密=水が抜けて縮む。向きが逆
- 膨張性地山で調べるのは、土被り(地圧)・変形特性・スレーキング特性
- 対象の岩は蛇紋岩・温泉余土・泥岩・凝灰岩
- 圧密特性は軟弱粘性土の沈下を調べる項目=岩盤の膨張性の話に混ぜるのが引っかけ
理解度チェック
問題:膨張性地山で把握しておくべき調査項目には、圧密特性が含まれる。
〇か×か。
答えを見る
答え:×
圧密は水が抜けて縮む現象で、軟弱粘性土の沈下を調べる項目です。膨張性地山は水を吸って膨らむので、向きが逆になります。
問題:膨張性地山では、土被りを把握する必要がある。
〇か×か。
答えを見る
答え:〇
土被りは地山を押す力(地圧)の大きさに直結します。深いほど押し出す力が大きくなります。
出典・参考資料
- 膨張性地山(押出し性・膨潤性の地山/対象=蛇紋岩・温泉余土・泥岩・凝灰岩/指標=細粒分含有率・塩基性置換容量・地山強度比・スレーキング)。
- 一般社団法人 全国地質調査業協会連合会(全地連)「令和3年度(第55回)地質調査技士資格検定試験 現場技術・管理部門 試験問題」。
※ 出題番号・正答は全地連が公開する資料で確認しています。
※ この記事の確認日:2026年7月