けんせつる
先送りモルタルって、そのまま打っていいの?
水セメント比は大きくするの?小さくするの?
この記事の要点
運搬で気をつけるのは分離させないことと管を詰まらせないことの2つです。
定番の誤りは「先送りモルタルの水セメント比を大きくする」。大小を逆にしてきます。
まず、運搬で何を守るのかを押さえます。
コンクリートは、練り混ぜた瞬間から重い粗骨材と軽いモルタル分が分かれようとします。運搬中に揺れたり、高いところから落ちたりすれば、そのぶん分離が進みます。
もう一つ、ポンプで圧送する場合は管の中で詰まらせないことが要点になります。運搬の決まりは、この2つに向けられています。
バケットは、現場内での運搬に使う方法のうち材料分離を起こしにくいものです。振動や落差が小さいためです。
一方、シュートで流す場合は縦シュートを標準とします。斜めシュートでは重い粗骨材が先へ転がってモルタル分と分かれます。
運搬方法を選ぶ基準は「揺らさない・落とさない・転がさない」です。
ポンプで圧送するとき、コンクリートの前にモルタルだけを流します。これが先送りモルタルです。
目的は、管の内面にモルタルの膜を作って閉塞を防ぐことです。いきなりコンクリートを流すと、乾いた管の内面に骨材が引っかかって詰まります。
この先送りモルタルには、2つの決まりがあります。
2つはつながっています。廃棄するのが原則ですが、それでも万一入り込んだときに備えて、品質を落とさない側(水セメント比を小さく)で作っておくのです。
圧送での閉塞は、粘性が足りないときにも起きます。
管内閉塞を生じることなく円滑な圧送を行うには、単位粉体量をある程度確保する必要があります。「できるだけ単位粉体量を減らす」は誤りです。減らしすぎると粘性が不足し、かえって閉塞しやすくなります。
配合の原則は「できるだけ小さく」ですが、単位粉体量はその例外側にあたります。
混同しやすい用語
先送りモルタルの水セメント比を「大きく」と「小さく」
小さくします。先送りモルタルは管の内面に膜を作って閉塞を防ぐもので、原則型枠内に打ち込まず廃棄します。それでも万一入り込んだときに構造物の品質を落とさないよう、水セメント比は使用するコンクリートより小さくしておきます。「大きくする」と品質の低いモルタルが構造物に入り込むことになり、逆です。
単位水量 と 単位粉体量
向きが逆です。単位水量は所要のワーカビリティーが得られる範囲でできるだけ少なくします。一方単位粉体量は、圧送時の閉塞を防ぐためにある程度確保します。減らしすぎると粘性が不足してかえって詰まります。「配合はすべて小さく」と覚えていると、ここで引っかかります。
運搬は打込みとあわせて出ます。引っかけは2型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和4年度 2級前期(No.8) | 先送りモルタルの水セメント比を「コンクリートよりも大きくする」→ 誤り。小さくする ←①(正答2) |
| 令和6年度 1級(No.13) | 圧送のため「できるだけ単位粉体量を減らす」→ 誤り。ある程度確保する ←②(正答1) |
| 令和5年度 1級(No.10) | 斜めシュートを標準とする→ 誤り。縦シュートが標準(正答2) |
問題:先送りモルタルの水セメント比は、使用するコンクリートより大きくするか小さくするか。
小さくします。大きくすると品質の低いモルタルが構造物に入り込みます。先送りモルタルは、圧送前に管の内面へモルタルの膜を作り閉塞を防ぐためのもので、原則として型枠内に打ち込まず廃棄します。(令和4年度2級前期 No.8)
問題:円滑な圧送のために、単位粉体量はどうするか。
ある程度確保します。減らしすぎると粘性が不足し、かえって管内閉塞を起こしやすくなります。配合の原則は「できるだけ小さく」ですが、単位粉体量はその例外側です。(令和6年度1級 No.13)
問題:型枠内にたまった水は、どう扱うか。
コンクリートを打ち込む前に取り除きます。残したまま打つと水セメント比が変わるためです。なお、吸水するおそれのある型枠のほうは、あらかじめ湿らせておきます。たまり水を除くことと、型枠を湿らせておくことは別の話です。(令和4年度2級前期 No.8)
打込みの手順はコンクリートの打込み・締固め、配合の考え方はコンクリートの配合で確認できます。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
管理人からのコメント
先送りモルタルは、名前を知らないと手が出ませんが、役割が分かれば向きは間違えません。管を滑らせるための捨て材で、構造物には入れない。だからこそ、万一入っても悪さをしないように品質は落とさない。この筋が通っていれば「水セメント比を大きく」は選べません。
単位粉体量も同じで、配合の原則から外れる例外です。「小さく」が原則だからと機械的に当てはめると、圧送では逆になります。詰まるかどうかが判断の軸です。