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真空式温水発生機にボイラー技士が要るのか要らないのか、毎年迷います。
「必要」と書いてあったり「不要」と書いてあったり、どちらが正しいのか分かりません。
この記事の要点
労働安全衛生法の施行令は、ボイラーと小型ボイラーを圧力と伝熱面積の数値で定義しています。形式の名前では決まりません。
真空式温水発生機は運転中の内部圧力が大気圧より低いため、ボイラーの適用を受けません。取扱いに資格は要りません。
この論点は3年度で向きを変えて出ています。「必要」と書いてあれば誤りと判断できます。
法令はボイラーを形式ではなく数値で線引きしています。
施行令第1条第3号が「ボイラー」を、第4号が「小型ボイラー」を定義しています。
労働安全衛生法施行令 第1条第3号(ボイラー)
ボイラー 蒸気ボイラー及び温水ボイラーのうち、次に掲げるボイラー以外のものをいう。
ニ ゲージ圧力〇・一メガパスカル以下の温水ボイラーで、伝熱面積が四平方メートル以下(木質バイオマス温水ボイラーにあつては、十六平方メートル以下)のもの
ヘ ゲージ圧力一メガパスカル以下で使用する貫流ボイラー(管寄せの内径が百五十ミリメートルを超える多管式のものを除く。)で、伝熱面積が五平方メートル以下のもの(気水分離器を有するものにあつては、当該気水分離器の内径が二百ミリメートル以下で、かつ、その内容積が〇・〇二立方メートル以下のものに限る。)
使われているのはゲージ圧力と伝熱面積です。
第3号はイからトまで7つの除外を並べ、それに当たらないものがボイラーという書き方をしています。
除外に当たるものは適用の外に出ます。炉筒煙管や貫流といった形式の名前で決まるわけではありません。
第4号が別に定義しています。ボイラーのうち、次の数値に当たるものです。
| 号 | 小型ボイラーの例(施行令1条4号) |
|---|---|
| ハ | ゲージ圧力0.1MPa以下の温水ボイラーで、伝熱面積が8m²以下のもの |
| ニ | ゲージ圧力0.2MPa以下の温水ボイラーで、伝熱面積が2m²以下のもの |
| ホ | ゲージ圧力1MPa以下で使用する貫流ボイラーで、伝熱面積が10m²以下のもの |
同じ貫流ボイラーでも、伝熱面積5m²以下なら第3号ヘで適用の外、10m²以下なら第4号ホで小型ボイラーになります。
どちらにも入りません。3つの年度で公表正答が出ています。
| 出題 | 肢の内容と判定 |
|---|---|
| 令和4年度1級 問題A No.30 | 「ボイラーに該当することから、取扱いにボイラー技士を必要とする」誤り |
| 令和6年度1級 問題A No.39 | 「運転中の内部圧力が大気圧より低いため、ボイラーとしての適用を受けず、取扱い資格が不要である」正しい肢 |
| 令和7年度1級 問題A No.30 | 「運転には、ボイラー技士等の有資格者が必要である」誤り |
理由は令和6年度の正しい肢が書いています。運転中の内部圧力が大気圧より低いからです。
令和5年度1級では「真空式温水発生機と無圧式温水発生機は、熱交換方式の違いはあるが、特徴が類似しており、水温が100℃を超えることはない」が正しい肢として出ています。
施行令が作業主任者を選任すべき作業を並べています。
労働安全衛生法施行令 第6条第四号(作業主任者を選任すべき作業)
四 ボイラー(小型ボイラーを除く。)の取扱いの作業
小型ボイラーは括弧で外されています。この形は令和6年度と令和8年度の2級で、そのまま肢に使われています。
どちらの年度も「作業主任者を選任すべき作業に該当しないもの」を選ぶ問題で、この肢は該当するほうに置かれていました。
形式ごとの特徴も出ます。公表正答で確定しているものを並べます。
| 形式 | 正しい肢として出た記述 |
|---|---|
| 炉筒煙管 | 胴内部に炉筒(燃焼室)と多数の煙管を配置したもの。負荷変動に対して安定性があり、保有水量が多いため予熱時間は長い |
| 小型貫流 | 保有水量が少ないため予熱時間は短いが、高度な水処理を必要とする |
| 鋳鉄製 | 分割搬入が可能で、鋼板製に比べて耐食性が優れている |
令和6年度1級では「小型貫流ボイラーは、保有水量が少ないため、水質管理を行う必要がない」が誤りとされました。
保有水量が少ないことは、水処理が要らない理由にはなりません。
労働安全衛生法施行令はボイラーを何で線引きしているか。
ゲージ圧力と伝熱面積の数値です。第1条第3号がイからトまでの除外を並べ、それに当たらないものをボイラーとしています。
真空式温水発生機の取扱いにボイラー技士は必要か。理由は。
必要ありません。運転中の内部圧力が大気圧より低いため、労働安全衛生法におけるボイラーとしての適用を受けないからです。
作業主任者を選任すべきボイラーの取扱い作業から、外されているのは何か。
小型ボイラーです。施行令第6条第四号は、ボイラーの取扱いの作業から小型ボイラーを括弧書きで外しています。
小型貫流ボイラーの水処理はどうか。
高度な水処理を必要とします。「保有水量が少ないため水質管理を行う必要がない」とした肢は令和6年度1級で誤りとされました。
炉筒煙管ボイラーの予熱時間はどうなるか。
保有水量が多いため長くなります。負荷変動に対しては安定性があります。
設置届や取扱資格の判定は、機器の仕様と労働基準監督署の運用によります。個別の可否は所轄の労働基準監督署にご確認ください。
級ごとに分けています。1級 機器・材料|2級 機器・材料を見てください。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
引っかかるのは、名前に「温水」と付いているので加熱装置だと感じてしまう点です。
判定に使うのは圧力です。大気圧より低いので施行令が定めるボイラーの土俵に乗らず、資格が「必要」と書いてある肢は3年度とも誤りでした。
覚えるなら真空だからボイラーではないと、名前そのものに結びつけると迷いません。