令和7年度 1級管工事施工管理技術検定 第一次検定 問題A【No.6】は、伝熱に関する問題です。4つの記述のうち、適当でないものを1つ選びます。
誤りは選択肢4です。壁の厚さの効き方が、2乗と書かれています。
これは前の年度の同じ論点で確かめられます。令和6年度の1級 問題A No.7は、まさにこの熱通過率の式を問う問題で、公表正答が式そのものです。
その式を見ると、壁の厚さは1乗でしか出てきません。しかも厚さの項のほかに、両側の表面熱伝達率の項が並んでいます。
※ このページに問題文そのものは載せていません。一般財団法人 全国建設研修センターの試験問題および正答肢のページには、2026年8月時点で令和7年度と令和8年度が掲載されています。
正解:選択肢4
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(適当) | 熱伝導による熱量が温度勾配に比例することは、平成30年度の1級 問題A No.8でも正しい肢として出ています |
| 2 | ○(適当) | 黒体の熱放射と絶対温度の4乗の関係です。この年度の正答肢により適当とされています |
| 3 | ○(適当) | 熱伝達率が流速や伝熱面の形状・寸法で変わることです。同じくこの年度の正答肢によります |
| 4 | ×(適当でない) | 熱通過率の式で、壁の厚さは1乗でしか現れません |
令和6年度の1級 問題A No.7が、この式をそのまま問うています。壁の両側の流体間の熱通過率Kを、壁の熱伝導率λ、厚さL、両側の表面熱伝達率α1とα2から表す形です。公表正答は選択肢4で、その式は次のとおりです。
令和6年度 1級管工事施工管理技術検定 第一次検定 問題A【No.7】の公表正答(選択肢4)
K = 1 /( 1/α1 + L/λ + 1/α2 )
K:熱通過率〔W/(m2・K)〕 λ:壁の熱伝導率〔W/(m・K)〕 L:壁の厚さ〔m〕
α1、α2:壁の両側の表面熱伝達率〔W/(m2・K)〕
厚さLは、L/λという1つの項の中に1乗で入っているだけです。2乗はどこにも出てきません。ですから、熱移動量が厚さの2乗に反比例するという書き方は成り立ちません。
さらに、この式の分母には厚さの項のほかに、1/α1と1/α2という2つの項があります。壁を2倍の厚さにしても、この2つは変わりません。そのため熱通過率は、単純に半分になるわけでもありません。
| 分母の項 | 何を表すか | 壁を厚くしたとき |
|---|---|---|
| 1/α1 | 流体1の側の表面 | 変わらない |
| L/λ | 壁そのもの | 厚さに比例して大きくなる |
| 1/α2 | 流体2の側の表面 | 変わらない |
選択肢1の熱伝導も、別の年度で確かめられます。平成30年度の1級 問題A No.8は、等質な固体内部における熱伝導による熱移動量が、その固体内の温度勾配に比例するという記述を、正しい肢として置いています。同じ年度で誤りとされたのは、熱放射が真空中では生じないという記述です。つまり熱放射は媒体がなくても生じます。
熱に関する用語の結び付きも、同じ平成30年度に出ています。
| 用語 | 組み合わされた語 | 平成30年度 問題A No.7での扱い |
|---|---|---|
| 気体の状態式 | ボイル・シャルルの法則 | 関係がある |
| 熱力学の第二法則 | エントロピー | 関係がある |
| 熱伝導 | ステファン・ボルツマン定数 | 関係がない(この年度の正答) |
| 熱伝達 | ニュートンの冷却則 | 関係がある |
熱の伝わり方の読み分けは黒体の熱放射は絶対温度の何乗か?熱と伝熱の読み分けで扱っています。
壁の両側の流体間の熱通過率Kは、どのような式で表されるか。
K = 1/(1/α1 + L/λ + 1/α2)です。λは壁の熱伝導率、Lは厚さ、α1とα2は両側の表面熱伝達率です。令和6年度の1級 問題A No.7の公表正答(選択肢4)によります。
壁を2倍の厚さにすると、熱通過率は半分になるか。
なりません。式の分母のうち厚さに比例して大きくなるのはL/λの項だけで、1/α1と1/α2の2つは変わらないためです。
熱放射は真空中でも生じるか。
生じます。平成30年度の1級 問題A No.8は、熱放射の伝達には媒体の存在を必要とするため真空中では生じないという記述を、誤りとして出しています。公表正答は選択肢1です。
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実際の壁は複数の層でできていることが多く、その場合は層ごとの項を足し合わせます。設計では対象ごとの条件をご確認ください。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月