令和5年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.20は、高圧配電線路で一般的に採用されている中性点接地方式として、適当なものを選ぶ問題です。この年度は「適当なもの」を選ぶ形になっています。
この問題は、電圧の高さで接地方式が変わることを分かっているかを問うものです。引っかけの核心は、送電線で使う方式を並べて、6.6kVの配電線路と混同させる点にあります。
身近な6.6kVの配電線路は非接地方式です。
正解:選択肢4
> この論点をやさしく解説:中性点接地方式とは?直接接地・抵抗接地・非接地の違いを整理
> この論点をやさしく解説:配電線路の保護とは?短絡・地絡それぞれに置く継電器の違いを整理
| 選択肢 | 方式 | 正誤 | 主に使われる場所 |
|---|---|---|---|
| 1 | 抵抗接地方式 | 不適当 | 66kV〜154kVの送電線路 |
| 2 | 補償リアクトル接地方式 | 不適当 | ケーブルの多い送電線路 |
| 3 | 直接接地方式 | 不適当 | 187kV以上の超高圧送電線路 |
| 4 | 非接地方式 | 適当 | 6.6kVの高圧配電線路 |
適当なのは選択肢4です。
接地方式は、地絡電流を大きくするか小さくするかの選び方です。どちらを取るかは電圧で決まります。
高圧配電線路が非接地になる理由
6.6kVは電圧が低いので、地絡時の電位上昇が小さい
↓
中性点を接地しなくても機器の絶縁が保てる
↓
接地しないと地絡電流が小さい
↓
通信線への誘導障害が少なく、1線地絡でも運転を続けやすい
超高圧側はこの逆です。電圧が高いと絶縁のほうが問題になります。
超高圧が直接接地になる理由
187kV以上では、地絡時に健全相の電圧が上がると絶縁が持たない
↓
中性点を直接大地につないで電位の上昇を抑える
↓
そのぶん地絡電流は非常に大きくなる
↓
保護継電器で早く検出して確実に遮断する
| 項目 | 非接地方式 | 直接接地方式 |
|---|---|---|
| 地絡電流 | 小さい | 非常に大きい |
| 健全相の電圧上昇 | 大きい | 小さい |
| 誘導障害 | 少ない | 大きい |
| 地絡の検出 | しにくい | しやすい |
非接地方式の弱点は、地絡電流が小さくて検出しにくいことです。そのため高圧受電設備では、零相変流器(ZCT)と地絡継電器を組で使い、わずかな零相電流を拾います。
高圧配電線路で非接地方式が使われる利点は何か。
地絡電流が小さくなることです。通信線への誘導障害が少なく、1線地絡が起きても運転を続けやすくなります。
超高圧の送電線路で直接接地方式が使われるのはなぜか。
地絡時の健全相の電圧上昇を抑えるためです。電圧が高いと絶縁が持たないので、中性点を直接接地して電位の上昇を小さくします。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月