令和5年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.19は、地中電線路における電力ケーブルの絶縁劣化の状態を測定する方法として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、測定の対象がケーブルの絶縁体か、それとも接地極かを見分けられるかを問うものです。引っかけの核心は、同じ現場でよく行う試験を並べて、対象が違うものを1つ混ぜている点にあります。
接地抵抗測定が見ているのは、接地極と大地の間の抵抗です。
正解:選択肢3
> この論点をやさしく解説:接地抵抗の測定方法は?補助接地極の配置と測定前の確認点を整理
| 選択肢 | 測定 | 正誤 | 何を見ているか |
|---|---|---|---|
| 1 | 部分放電測定 | 適当 | 絶縁体の中のすき間で起こる小さな放電 |
| 2 | 誘電正接測定 | 適当 | 絶縁体の中で熱になる分の割合(tanδ) |
| 3 | 接地抵抗測定 | 不適当 | 接地極と大地の間の抵抗。絶縁体を見ていない |
| 4 | 直流漏れ電流測定 | 適当 | 直流電圧をかけたとき絶縁体を通って流れる電流 |
最も不適当なのは選択肢3です。
絶縁劣化の診断は、絶縁体そのものが出す信号を捕まえます。3つの適当な測定は、どれも絶縁体の中で起きていることを見ています。
| 測定 | かける電圧 | 劣化が進むとどうなるか |
|---|---|---|
| 部分放電測定 | 交流 | 放電の回数と大きさが増える |
| 誘電正接測定 | 交流 | tanδ の値が大きくなる |
| 直流漏れ電流測定 | 直流 | 漏れ電流が増える。時間とともに減らなくなる |
| 接地抵抗測定 | 交流 | ケーブルの絶縁体とは関係しない |
接地抵抗測定は、接地極を打った場所の土の状態を見るものです。測る場所からして違います。
接地抵抗測定が測っているもの
接地極に電流を流す
↓
接地極から大地へ電流が広がる
↓
そのときの電位の上がり方を補助電極で測る
↓
電圧÷電流=接地抵抗
目的は、事故電流や漏れ電流を大地へ確実に逃がせるかの確認です。ケーブルが傷んでいるかどうかとは別の話になります。
誘電正接(tanδ)は、絶縁体の良し悪しを1つの数字で表せる指標です。
tanδ が劣化を表す理由
良い絶縁体に交流をかけると、電流はほぼ充電電流だけ
↓
劣化すると、熱になる損失電流が混じる
↓
tanδ = 損失電流 ÷ 充電電流
↓
劣化が進むほど tanδ が大きくなる
部分放電測定は何を捕まえているか。
絶縁体の内部にできたすき間や水トリーの先端で起こる、小さな放電です。劣化が進むと回数と大きさが増えます。
接地抵抗測定の目的は何か。
接地極と大地の間の抵抗を確かめ、事故電流や漏れ電流を大地へ確実に逃がせるかを見ることです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月