令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.51は、鉄筋コンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、かぶり厚さをどこから測るかを分かっているかを問うものです。最も外側にある鉄筋の表面から測ります。
柱では帯筋が主筋の外側に巻いてあるので、帯筋の表面が起点です。
正解:選択肢4(主筋表面からコンクリート表面までの最短距離)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 水セメント比が小さいほど圧縮強度は大きい | 水が少ないほど強い。適当 |
| 2 | スパイラル筋ははらみをおさえ粘り強さを増す | 拘束の効果。適当 |
| 3 | 主筋は曲げモーメントによる引張力を負担 | 鉄筋の役目。適当 |
| 4 | かぶり厚さは主筋表面から | 柱は帯筋表面から。不適当 |
不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、主筋が柱の主役の鉄筋なので、そこを起点にすると思ってしまうところです。かぶり厚さが守っているのは最も外側にある鉄筋です。
柱の断面では、主筋を囲むように帯筋が巻かれています。外側にあるのは帯筋なので、コンクリート表面までが最も近いのも帯筋です。主筋から測ると、帯筋の直径のぶんだけ数字が大きくなり、実際に守られている厚さより大きく見積もることになります。
| 部材 | 外側の鉄筋 | かぶり厚さの起点 |
|---|---|---|
| 柱 | 帯筋(フープ) | 帯筋の表面 |
| 梁 | あばら筋(スターラップ) | あばら筋の表面 |
かぶり厚さが要るのは鉄筋をさびさせないためです。コンクリートはアルカリ性で、その中にある鉄筋は表面に膜ができてさびません。しかし空気中の二酸化炭素で表面から中性化が進み、鉄筋のところまで届くとさび始めます。厚みがあるほど、そこまでの時間が長くなります。
火災のときも同じで、かぶり厚さが鉄筋への熱の伝わりを遅らせます。耐久性と耐火性の両方に効くので、施工では最も注意される寸法の1つです。
この論点は年度をまたいで裏返しで出ています。平成30年度 No.55には「柱のコンクリートかぶり厚さとは、主筋表面からコンクリート表面までの最短距離をいう。」という今回とまったく同じ文があり、これが誤りとされました(公表正答は3)。
平成27年度の2級 No.38には「柱のコンクリートかぶり厚さとは、帯筋表面からコンクリート表面までの最短距離をいう。」があり、こちらは誤りとされませんでした(公表正答は2)。帯筋が正しく、主筋が誤りです。
選択肢1の水セメント比は、セメントに対する水の重さの割合です。水が多いと余った水が抜けた跡が空隙になり、強度が下がります。だから小さいほど強くなります。ただし小さくしすぎると硬くて施工できません。
選択肢2のスパイラル筋は、帯筋をらせん状に連続で巻いたものです。コンクリートを外から締め付けるので、押されて横へふくらもうとする動きを抑えます。急に壊れず、変形しながら耐えるようになります。
選択肢3の主筋は、曲げによって生じる引張力を受け持ちます。コンクリートは圧縮に強く引張に弱いので、引張がかかる側に鉄筋を入れて補います。梁なら、下向きにたわむところでは下側が引張になります。
柱のかぶり厚さはどこから測るか。
帯筋の表面からです。主筋より外側にあるのが帯筋なので、そこが起点になります。
水セメント比を小さくすると圧縮強度はどうなるか。
大きくなります。余分な水が抜けた跡の空隙が減るためです。ただし小さすぎると施工しにくくなります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月