令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.47は、砂質地盤での土留め(山留め)壁を用いた掘削工事において、ボイリングの発生を防止する方法として、最も関係のないものを選ぶ問題です。
この問題は、ボイリングを起こしているのが何かを分かっているかを問うものです。土留め壁の下を回り込んで上向きに流れる地下水です。
支保工は壁を支えるものなので、水の流れには効きません。
正解:選択肢3(土留め壁の支保工を強固にする)
| 選択肢 | 方法 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 掘削底面の地盤改良 | 水を通しにくくする。関係する |
| 2 | 土留め壁の根入れを深くする | 水の回り道を長くする。関係する |
| 3 | 土留め壁の支保工を強固にする | 壁の変形を防ぐもの。水には効かない |
| 4 | 土留め壁背面の地下水位を低下 | 水位差を小さくする。関係する |
最も関係のないのは選択肢3です。
引っかけの核心は、支保工を強くすれば土留めが丈夫になり、何にでも効きそうに見えるところです。ボイリングは壁が壊れる現象ではなく、掘削底面の砂が水と一緒に湧き上がる現象です。
砂質地盤で掘ると、掘削面の側だけ水位が下がります。背面の高い水位と掘削側の低い水位に差ができ、その差が地下水を土留め壁の下から掘削底面へ押し上げます。上向きの流れが強くなると、砂の粒が浮き上がって沸騰したように吹き出します。
| 対策 | どう効くか |
|---|---|
| 根入れを深くする | 水が回り込む道のりが長くなり、上向きの力が弱まる |
| 背面の地下水位を下げる | 水位差そのものが小さくなり、押し上げる力が減る |
| 掘削底面の地盤改良・止水 | 底面を水が通りにくい層にして、湧き上がりを抑える |
3つとも水の流れに直接はたらきかけています。支保工は切りばりや腹起こしのことで、土圧で壁が内側へ倒れるのを防ぐものです。水の通り道を変える力はありません。
この論点は繰り返し出ています。平成28年度 No.51では選択肢2の「土留め壁の支保工を強固にする。」が最も関係のないものとされました(公表正答は2)。今回の選択肢3とまったく同じ文です。
令和2年度 No.51では言い方を変えて「切りばりの間隔を狭くする。」が最も関係のないものとされています(公表正答は2)。切りばりも支保工なので、同じ理由です。
似た現象にヒービングがあります。こちらは軟弱な粘土質地盤で起き、背面の土の重さで掘削底面が盛り上がります。平成25年度 No.53、平成29年度の2級 No.36、令和3年度 No.52でいずれも同じ文が出ていて、答えはヒービングです。
| 現象 | 起きる地盤 | 原因 |
|---|---|---|
| ボイリング | 砂質 | 上向きの地下水の流れで砂が湧き上がる |
| ヒービング | 軟弱な粘土質 | 背面の土の重さで掘削底面が盛り上がる |
砂なら水、粘土なら重さと覚えます。地盤の種類が問題文に書いてあるので、そこで見分けられます。
ボイリングの防止に支保工の補強が効かないのはなぜか。
ボイリングは掘削底面の砂が地下水で湧き上がる現象で、壁が変形して起きるものではないからです。支保工は水の流れを変えません。
ボイリングとヒービングはどう見分けるか。
地盤で分かります。砂質地盤ならボイリング、軟弱な粘土質地盤ならヒービングです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月