令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.48は、水準測量に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、視準線が傾いたときの誤差の増え方を分かっているかを問うものです。角度が同じでも、遠いほどずれる量は大きくなります。
だから誤差は距離に比例します。選択肢3は反比例と書いています。
正解:選択肢3(誤差は器械と標尺の距離に反比例する)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 水準点は水準測量の基準 | 定義どおり。適当 |
| 2 | 標尺が傾くと読みは大きくなる | 斜辺のほうが長い。適当 |
| 3 | 気泡管の誤差は距離に反比例 | 比例する。不適当 |
| 4 | 移器点は前視と後視をともに読む点 | 定義どおり。適当 |
不適当なのは選択肢3です。
引っかけの核心は、比例と反比例のどちらでも文として成り立ってしまうところです。視準線が水平からわずかに傾いている状態を思い浮かべると、向きが決まります。
気泡管の泡が中央にないと、望遠鏡の視準線が水平から少し傾きます。その傾いた線をまっすぐ伸ばしていくと、遠くへ行くほど本来の水平線から離れていきます。
ずれの量
ずれ = 距離 × tan(傾きの角度)
角度が同じなら、距離が2倍になればずれも約2倍
つまり距離に比例して誤差が大きくなります。反比例なら遠いほど誤差が小さくなることになり、逆です。
この誤差を消す方法が、前視と後視の距離を等しくすることです。同じ距離なら同じ量だけずれるので、高低差を計算するときの引き算で打ち消されます。水準測量でレベルを2点の中間に据えるのはこのためです。
選択肢2の標尺の傾きも、読みがどちらへずれるかを考えます。標尺が前後に傾くと、望遠鏡の十字線が当たる位置はまっすぐ立てたときより目盛りの大きいところになります。直角三角形の斜辺が高さより長いのと同じです。
だから標尺は必ずまっすぐ立てます。前後に振って読みが最も小さくなったところを採るという方法もあります。
選択肢1の水準点は、標高が分かっている基準の点です。ベンチマークとも呼びます。令和元年度 No.52には「水準測量の基準となる点を、水準点(ベンチマーク)という。」という選択肢があり、誤りとされませんでした(公表正答は1で、そちらは器械高の説明が誤りでした)。
選択肢4の移器点は、レベルを据え替えるときに使う中継の点です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 後視 | 標高の分かっている点を視準した読み |
| 前視 | これから標高を求める点を視準した読み |
| 移器点 | レベルを移動する前に前視、移動した後に後視を読む点 |
1回の据え付けでは見通せない距離を測るとき、途中に移器点を置いて測量をつないでいきます。同じ点を2回読むので、そこが前の区間と次の区間の接ぎ目になります。
気泡管の泡が中央にないときの誤差は距離とどんな関係にあるか。
比例します。視準線の傾きが同じでも、遠いほど水平線からのずれが大きくなるためです。
前視と後視の距離を等しくするのはなぜか。
視準線の傾きによる誤差が同じ量になり、高低差を計算する引き算で打ち消されるからです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月