令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.73は、架空送電線路の延線工事に関する記述として、不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、延線の機械と緊線の機械を区別できるかを問うものです。メッセンジャワイヤを巻き取るのは架線ウインチです。
緊線ウインチは、電線を張る段階で使います。
正解:選択肢4(緊線ウインチを用いた)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | キャプスタンの軸方向を巻き取り方向に直角 | ロープが巻きつく向き。適当 |
| 2 | ジョイントプロテクタでスリーブを保護 | 金車通過時に守る。適当 |
| 3 | 張力を与えて安定した延線のため延線車 | たるませない。適当 |
| 4 | 巻き取り等のために緊線ウインチ | 架線ウインチ。不適当 |
不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、どちらもウインチという同じ機械で、名前の頭が違うだけなところです。分かれ目は工事のどの段階で使うかです。
架空送電線の架線工事は、大きく2段階で進みます。
| 段階 | やること | 使う機械 |
|---|---|---|
| 延線 | 鉄塔から鉄塔へ電線を引き渡す | 架線ウインチ(引く側)と延線車(ブレーキ側) |
| 緊線 | たるみを決めて張り、固定する | 緊線ウインチ |
延線では、まず細い先導ロープを渡し、それでメッセンジャワイヤを引き、最後に電線を引きます。引く側の機械が架線ウインチです。
緊線は、電線が渡り終わった後の作業です。決められたたるみになるまで引き締めて、がいしに固定します。ここで使うのが緊線ウインチです。
この区別は平成27年度 1級 No.61で確定しています。そちらの選択肢3は「緊線ウインチは、主に延線工事におけるメッセンジャワイヤの巻き取り、繰り出し、停止及び変速のために用いる」で、公表正答も3でした。
令和5年度の選択肢4と同じ論点が、別の年度でも同じく誤りと判定されています。
選択肢1のキャプスタンは、架線ウインチのロープを巻き付ける胴の部分です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 軸の向き | ワイヤの巻き取り方向に対して直角 |
| 理由 | ワイヤが胴に素直に巻きつき、片寄らない |
軸が巻き取り方向と平行だと、ワイヤが胴の端へ寄って乱巻きになります。直角にすればまっすぐ入ってきます。
選択肢2のジョイントプロテクタは、電線の接続部を守る筒です。延線中、電線は鉄塔に取り付けた金車の上を滑って進みます。
接続部にはスリーブという圧縮した金具があり、そこが金車の溝に引っかかるとスリーブや電線を傷めます。プロテクタで包んで滑らかに通します。
選択肢3の延線車は、引かれる側で張力をかける機械です。
| 機械 | 位置 | 役目 |
|---|---|---|
| 架線ウインチ | 引く側 | ワイヤを巻き取って電線を引き寄せる |
| 延線車 | 繰り出す側 | ブレーキをかけて張力を保つ |
両側から引っ張り合う形にすることで、電線が地面や建物に触れないだけの高さを保ったまま渡せます。ゆるめて送るだけでは、途中で垂れ下がってしまいます。
メッセンジャワイヤの巻き取りに使う機械は。
架線ウインチです。緊線ウインチは電線を張ってたるみを決める緊線の段階で使います。
延線車の役目は何か。
繰り出す側でブレーキをかけ、電線やワイヤロープに張力を与えることです。垂れ下がらせずに渡せます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月