令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.65は、バーチャート工程表の特徴に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、バーチャートで読み取れないものは何かを分かっているかを問うものです。各作業の余裕時間は、バーチャートからは読み取れません。
それが分かるのはネットワーク工程表です。
正解:選択肢3(各作業の余裕時間が把握しやすい)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 所要日数、日程が把握しやすい | 棒の長さと位置で読める。適当 |
| 2 | 工程変化に対し補正・補足が容易 | 棒を伸ばすだけ。適当 |
| 3 | 各作業の余裕時間が把握しやすい | 分からない。不適当 |
| 4 | 作業間の手順が概ね分かる | 「概ね」なら成り立つ。適当 |
不適当なのは選択肢3です。
引っかけの核心は、前半の「横線式工程表の一種であり」が正しいので、その勢いで後半も読んでしまうところです。横線式であることと余裕時間が分かることは、別の話です。
バーチャートは、縦に作業名、横に日付をとって棒を引いた表です。
| 読み取れるもの | どこを見るか |
|---|---|
| 各作業の所要日数 | 棒の長さ |
| 開始日と終了日 | 棒の左端と右端 |
| おおよその順序 | 棒の並び方 |
読み取れないのは、作業どうしのつながりです。棒が並んでいても、それが「前の作業が終わらないと始められない」のか「たまたま同じ時期に行う」のかは書かれていません。
余裕時間は、前後のつながりが分かって初めて計算できます。ある作業を何日遅らせても全体に響かないかは、その後ろに何がつながっているかで決まるためです。
| 工程表 | 作業のつながり | 余裕時間・クリティカルパス |
|---|---|---|
| バーチャート | 表さない | 分からない |
| ネットワーク工程表 | 矢印で表す | 計算で求められる |
同じ論点は令和5年度 2級 No.40にも出ています。そちらの選択肢2は「各作業の余裕時間が把握しやすいので、バーチャート工程表を用いた」で、公表正答も2でした。
同じ年度の1級と2級で、同じ論点が別の形で問われていることになります。
選択肢4が「概ね分かり」と書かれているのは、この弱点を織り込んだ表現です。棒の並びからだいたいの順番は見当がつくけれども、正確なつながりまでは分からないという意味になります。
選択肢2の補正が容易なのは、書き方が単純だからです。作業が遅れたらその棒を伸ばすか右へずらすだけで済みます。
ネットワーク工程表なら、1か所直すと全体の時刻を計算し直すことになります。手軽さと情報量が引き換えになっているのが、この2つの工程表の関係です。
バーチャート工程表で余裕時間が分からないのはなぜか。
作業どうしのつながりを表していないためです。余裕時間はその作業の後ろに何がつながっているかで決まります。
バーチャート工程表の補正が容易なのはなぜか。
棒を伸ばすか右へずらすだけで済むためです。ネットワーク工程表なら1か所直すと全体の時刻を計算し直すことになります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月