令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.66は、進捗度曲線(Sチャート)を用いた工程管理に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、実績の線が計画の線より上にあるとき何を意味するかを分かっているかを問うものです。縦軸は出来高なので、上にあるほど多く進んでいます。
遅れているのは下側です。
正解:選択肢2(上側にある場合は遅れが生じている)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 上下の許容限界曲線でバナナ形になる | バナナ曲線と呼ぶ。適当 |
| 2 | 上側にある場合は遅れている | 進んでいる。不適当 |
| 3 | 平均施工速度を基礎として作成 | 計画時点の考え方。適当 |
| 4 | 許容限界があり回復しがたい状態を避ける | 限界を超える前に手を打つ。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、「上」と「遅れ」がどちらも短い言葉なので、向きを確かめずに読み流してしまうところです。グラフの縦軸が何を表しているかを見れば決まります。
| 軸 | 表すもの | 読み方 |
|---|---|---|
| 横軸 | 工期(時間) | 右へ進むほど日が経つ |
| 縦軸 | 出来高の累積(%) | 上へ行くほど多く仕上がっている |
同じ日付で比べたとき、実績の点が計画より上にあれば、予定より多くできあがっているということです。つまり工程は進んでいます。
| 実績の位置 | 状態 | とるべき対応 |
|---|---|---|
| 計画より上 | 進んでいる | 上方限界を超えていないか見る。人と機械の投入が過剰かもしれない |
| 計画より下 | 遅れている | 下方限界を超える前に応援を入れる |
進みすぎも管理の対象になります。予定より早く進むということは、その分だけ人や機械を余計に使っている可能性があるためです。上方にも限界線が引かれているのはそのためです。
選択肢1のバナナ曲線は、この2本の限界線が作る形です。
2本の限界線
上方許容限界曲線:これ以上早く進むと無駄が出る境目
下方許容限界曲線:これ以上遅れると取り返せない境目
工期の始めと終わりで2本が近づき、中ほどで開く → バナナのような形
始点と終点は0%と100%で決まっているので、両端では2本の線が重なります。中ほどだけ幅が生まれるので、細長い果実のような形になります。
選択肢3の平均施工速度は、計画時点の曲線をどう引くかの話です。工事は始めと終わりが遅く、中盤が速いのが普通なので、その形を織り込んで曲線を描きます。
| 時期 | 進み方 | 理由 |
|---|---|---|
| 初期 | 遅い | 段取りや準備に時間がかかる |
| 中期 | 速い | 体制が整い、同じ作業を繰り返せる |
| 終期 | 遅い | 残りの細かい仕上げや調整に手間がかかる |
この形が、Sの字に似ているのでSチャートと呼ばれます。
選択肢4は、限界線を引く意味そのものです。下方限界を超えてから対策を始めても、残りの工期では取り返せません。だから限界に触れる前に手を打ちます。
実施数量の累積値が計画の累積値より上にあるとき、工程はどうなっているか。
進んでいます。縦軸は出来高の累積なので、同じ日付で上にあるほど多くできあがっています。
バナナ曲線という呼び名の由来は何か。
上方と下方の許容限界曲線が工期の両端で重なり、中ほどだけ開くため、囲まれた形がバナナのようになるからです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月