令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.60は、ネットワーク工程表でクリティカルパスの日数を7日から6日へ1日短縮する場合の記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。応用能力問題なので選択肢が5つあります。
この問題は、トータルフロートが負になる作業を全部挙げられるかを問うものです。クリティカルパス上の作業はすべて負になるので、A・D・Gの3つです。
選択肢4はAが抜けています。
正解:選択肢4(負になるのは作業Dおよび作業G)
| 作業 | 区間 | 所要日数 |
|---|---|---|
| A | ①→② | 3日 |
| B | ①→③ | 1日 |
| C | ①→④ | 2日 |
| D | ②→⑤ | 3日 |
| E | ③→⑥ | 1日 |
| F | ④→⑦ | 3日 |
| G | ⑤→⑦ | 1日 |
| H | ⑥→⑦ | 1日 |
破線のダミー作業が②→③と③→④にあります。
まず最早開始時刻を左から求めます。
最早開始時刻
① = 0
② = 0+3(A) = 3
③ = max(0+1(B), 3(ダミー)) = 3
④ = max(0+2(C), 3(ダミー)) = 3
⑤ = 3+3(D) = 6
⑥ = 3+1(E) = 4
⑦ = max(6+1(G), 4+1(H), 3+3(F)) = 7
所要工期は7日で、クリティカルパスは①→②→⑤→⑦(A→D→G)です。問題文の7日と一致します。
次に、⑦の最遅完了時刻を1日短い6として、右から戻します。
最遅完了時刻(⑦=6として)
⑤ = 6-1(G) = 5
⑥ = 6-1(H) = 5
④ = 6-3(F) = 3
③ = min(5-1(E), 3(ダミー)) = 3
② = min(5-3(D), 3(ダミー)) = 2
トータルフロートは終点の最遅完了時刻から、始点の最早開始時刻と所要日数を引いた値です。
各作業のトータルフロート
A = 2 - 0 - 3 = -1
B = 3 - 0 - 1 = 2
C = 3 - 0 - 2 = 1
D = 5 - 3 - 3 = -1
E = 5 - 3 - 1 = 1
F = 6 - 3 - 3 = 0
G = 6 - 6 - 1 = -1
H = 6 - 4 - 1 = 1
負になるのはA・D・Gの3つです。選択肢4はDとGしか挙げていないので、Aが抜けています。
引っかけの核心は、2つだけ挙げられると「その2つで合っているか」だけを見てしまい、抜けを探さないところです。DもGも実際に負なので、書かれている範囲は正しいのです。
この3つがそろって負になるのは、A・D・Gがクリティカルパスそのものだからです。余裕のない経路を1日縮めろと言われれば、その経路上の作業すべてが1日分足りなくなります。
| トータルフロート | 意味 | この問題での作業 |
|---|---|---|
| 負 | その日数では間に合わない | A・D・G |
| 0 | 余裕がちょうどない | F |
| 正 | その日数だけ遅らせられる | B・C・E・H |
選択肢1〜3は、短縮を検討する手順です。目標の工期を先に決めて最遅完了時刻を計算し直し、負になった作業から短縮する対象を選びます。
選択肢5は、Aを1日短縮したときの影響です。
Aを2日にした場合の最早開始時刻
② = 0+2 = 2
③ = max(1, 2) = 2
④ = max(2, 2) = 2(もとは3)
Fは④から始まるので、開始が3日目から2日目へ1日早まります。Aの短縮がダミー作業を通って④まで伝わるためです。選択肢5は正しい記述です。
工期を1日短縮するとき、トータルフロートが負になるのはどの作業か。
クリティカルパス上のすべての作業です。この問題ではA・D・Gの3つで、Dだけ・Gだけということはありません。
作業Aを1日短縮すると、作業Fの開始はどうなるか。
1日早まります。イベント②が2日目になり、ダミー作業を通じてイベント④の最早開始時刻も3日目から2日目へ移るためです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月