令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.59は、建設工事における施工要領書を作成する際の留意事項として、最も不適当なものを選ぶ問題です。応用能力問題なので選択肢が5つあります。
この問題は、施工要領書が誰のための書類かを分かっているかを問うものです。その現場の作業員に、この現場でどう作るかを伝える書類です。
他の現場でも使える一般論を書くものではありません。
正解:選択肢2(共通に利用できるよう一般的事項を記入)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 品質の向上を図り安全かつ経済的な方法を検討 | 要領書の目的。適当 |
| 2 | 他の現場でも共通に使えるよう一般的事項を記入 | その現場固有の事項を書く。不適当 |
| 3 | 設計図書に明示のない部分を具体化 | 要領書の役目そのもの。適当 |
| 4 | 作業員に施工方針や技術を周知するため | 読み手は現場の作業員。適当 |
| 5 | 着手前に作成して工事監理者の承諾を受けた | 作ってから着手する。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、他の現場でも使い回せるほうが効率がよさそうに聞こえるところです。使い回せる文章になった時点で、その現場の作業員に伝わる情報が消えます。
施工要領書は、設計図書だけでは決まらない部分を埋めるための書類です。
| 書類 | 書く範囲 | 読み手 |
|---|---|---|
| 標準仕様書 | どの現場にも共通 | 設計者・施工者 |
| 施工計画書 | 工事全体の進め方 | 発注者・監理者 |
| 施工要領書 | この現場のこの部分 | 現場の作業員 |
一般的な決まりごとは標準仕様書に書いてあります。同じことを要領書に写しても、作業員が知りたいことは書かれません。
作業員が知りたいのは、この建物のこの場所を、どの寸法で、どういう順番で作るかです。部分詳細図や取付け位置の寸法など、その現場でしか通じない情報が中身になります。
この論点は平成25年度 1級 No.69で確定しています。そちらの選択肢2は「他の現場においても共通に利用できるようにする」で、公表正答も2でした。
令和5年度の選択肢2とほぼ同じ文が、別の年度でも同じく誤りと判定されています。
選択肢3は、要領書の役目そのものです。設計図書は「どういうものを作るか」を示しますが、細かい納まりまでは書いていません。そこを施工者が具体化します。
選択肢4は、読み手が誰かを示しています。要領書は現場の作業員に施工方針や技術を伝えるための道具です。選択肢2が誤りである理由も、ここから出てきます。
選択肢5は、作る時期と手続きです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時期 | 工事の着手前 |
| 手続き | 工事監理者の承諾を受ける |
作ってから着手するのは、先に手を動かすと後から直せなくなるからです。承諾を受けておけば、できあがってから食い違いが分かる事態を避けられます。
施工要領書に一般的事項を書くのが不適当なのはなぜか。
一般的な決まりごとは標準仕様書に書かれており、要領書はその現場固有の納まりや手順を作業員に伝えるための書類だからです。
施工要領書はいつ作成するか。
工事の着手前です。作成して工事監理者の承諾を受けてから着手します。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月