令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.54は、鉄筋コンクリートに関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、表面の形と食いつきの関係を分かっているかを問うものです。節やリブのある異形鉄筋のほうが、つるつるの丸鋼より付着強度が大きくなります。
問題文は大小を入れ替えています。
正解:選択肢2(異形鉄筋より丸鋼のほうが大きい)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | クリープは持続荷重でひずみが増大 | 定義のとおり。適当 |
| 2 | 異形鉄筋より丸鋼のほうが大きい | 異形鉄筋のほうが大きい。不適当 |
| 3 | アルカリ性で鉄筋をさびにくくする | 不動態被膜を作る。適当 |
| 4 | 隣り合うガス圧接継手の位置をずらす | まわりを確保する。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、比べる2つの名前を並べ替えるだけなので、読み飛ばすと引っかかるところです。「AよりBのほうが大きい」のAとBを入れ替えた形です。
付着強度は、コンクリートと鉄筋がどれだけずれにくいかを表します。
| 鉄筋 | 記号 | 表面 | 付着強度 |
|---|---|---|---|
| 異形鉄筋 | SD | 節とリブがある | 大きい |
| 丸鋼 | SR | つるつる | 小さい |
異形鉄筋の表面には、輪のような節と縦に走るリブがあります。この出っ張りがコンクリートに食い込むので、引っ張っても抜けにくくなります。
丸鋼は表面が滑らかなので、頼れるのは摩擦とわずかな化学的な付着だけです。だから丸鋼を使うときは、端部にフックを設けて機械的に引っ掛けます。
この大小関係は3つの年度で確定しています。
| 出題 | 書かれた文 | 公表正答から分かること |
|---|---|---|
| 平成30年度 1級 No.55 | 丸鋼より異形鉄筋が大きい | 正答は3。この肢は正しい |
| 令和3年度 2級 No.37 | 丸鋼より異形鉄筋のほうが大きい | 正答は4。この肢は正しい |
| 平成27年度 2級 No.38 | 丸鋼より異形鉄筋が大きい | 正答は2。この肢は正しい |
3年度とも「丸鋼より異形鉄筋のほうが大きい」を正しい肢として置いています。令和5年度はこれを裏返した形です。
選択肢4のガス圧接継手も、平成30年度 1級 No.55で正しい肢として置かれていました。継手はふくらむので、同じ断面に集まるとコンクリートが回り込めません。位置をずらして間を空けます。
選択肢1のクリープは、荷重をかけ続けたときに起きる現象です。
| 現象 | 内容 |
|---|---|
| クリープ | 荷重が一定でも、時間とともにひずみが増えていく |
| 乾燥収縮 | 中の水分が抜けて縮む。荷重とは関係ない |
選択肢3のアルカリ性は、鉄筋を守る仕組みです。コンクリートの中は強いアルカリ性で、その中では鉄の表面に不動態被膜という薄い膜ができ、さびを防ぎます。
この膜は、コンクリートが中性化すると壊れます。空気中の二酸化炭素が入り込んでアルカリ性が失われ、中性化が鉄筋の位置まで達すると鉄筋がさび始めて膨張し、コンクリートを割ります。
異形鉄筋の付着強度が丸鋼より大きいのはなぜか。
表面に節とリブがあり、その出っ張りがコンクリートに食い込むためです。丸鋼は摩擦だけに頼るので抜けやすくなります。
コンクリートのアルカリ性が鉄筋を守るのはなぜか。
強いアルカリ性の中では鉄の表面に不動態被膜ができ、さびを防ぐためです。中性化が進むとこの膜が壊れます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月