令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.52は、示された記述に該当する土留め壁の名称として、最も適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、継手という言葉がどの壁を指すかを分かっているかを問うものです。板どうしを継手でかみ合わせるのは鋼矢板壁です。
引き抜いて再利用するのもこの壁だけです。
正解:選択肢2(鋼矢板壁)
| 記述 | そこから分かること |
|---|---|
| 遮水性がよい | 板が連続していて水を通しにくい |
| 継手の離脱が生じやすい | 継手でつなぐ構造をもっている |
| 引き抜くとき地盤沈下しやすい | 引き抜いて再利用する壁である |
引っかけの核心は、遮水性がよいという性質だけならソイルセメント壁も当てはまるところです。絞り込むのは継手と引き抜きの2語です。
鋼矢板は、両端に継手の付いた鋼の板です。1枚打ち込んだら、次の1枚をその継手にかみ合わせて打ち込みます。これを繰り返して壁にします。
| 土留め壁 | 遮水性 | 特徴 |
|---|---|---|
| 親杭横矢板壁 | 悪い | 板の間にすきまがある。地下水位が低い所向き |
| 鋼矢板壁 | よい | 継手でかみ合わせる。引き抜いて再利用できる |
| ソイルセメント壁 | よい | 土とセメントを混ぜて地中に造る。引き抜かない |
| 既製杭壁 | 杭の並べ方による | 既製のコンクリート杭や鋼管杭を並べる |
長い矢板を打ち込むと、途中でわずかな傾きが積み重なって継手が外れることがあります。外れれば水も土もそこから入ってきます。
工事が終わったら矢板を引き抜きますが、抜いた跡は板の厚み分の空洞になります。周りの土がそこへ流れ込むので、地表が沈みます。
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| 引き抜く | 矢板の体積分の空洞ができる |
| 周囲の土が動く | 空洞へ流れ込む |
| 地表 | 沈下する。隣接する建物に影響が出る |
対策としては、抜いた跡へ砂を充填しながら引き抜く方法があります。それでも影響が大きいと判断されれば、引き抜かずに残すこともあります。
選択肢3の親杭横矢板壁は、H形鋼の親杭を間隔をあけて打ち込み、掘り進めながらその間に横矢板を差し込む方式です。
板と板のすきまや親杭との間から水が入るので、遮水性は期待できません。地下水位の低い場所で使います。
選択肢4のソイルセメント壁は、地中で土とセメントミルクを撹拌して固める方式です。造ったものを引き抜くことはできません。芯材の鋼材だけを抜くことはあります。
選択肢1の既製杭壁は、工場で作った杭を並べる方式です。継手でかみ合わせる構造ではないので、この記述には当てはまりません。
鋼矢板を引き抜くと地盤沈下しやすいのはなぜか。
抜いた跡が矢板の体積分の空洞になり、周囲の土がそこへ流れ込むためです。砂を充填しながら引き抜く対策があります。
親杭横矢板壁の遮水性が悪いのはなぜか。
親杭の間に横矢板を差し込む構造で、板どうしや親杭との間にすきまが残るためです。地下水位の低い場所で使います。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月